Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

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シルさんと狩り シルさんのAPO~初日から3日目~

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 俺達は、初戦から戦い方を変えながら狩りをした。
 前衛が最初にヘイトを取って、それから後衛が火力を出すという普通の戦い方ではなく、後衛が、遠くの敵にちょっかいをかけて、近づいてきた敵をみんなで叩くという戦い方に変えた。
 それにより、より効率的に狩りをすることができるようになった。
 初戦みたいな戦い方は、津力が拮抗した敵に対しては、効果的なのだけど、格下の敵をメインに狩る今回の狩りでは非効率的だ。
 今回の狩りは、これぐらいなめ腐っていた方がちょうど良いのかもな。
 まぁ、引き寄せるゴブリンの数は、10匹前後にして、余裕で倒せるようにしている。
 メインである楽しくおしゃべりをしながら、狩りをしている。
 ローズがゴブリンに向かって魔法を撃ちながら言った。

「シルさんは、初日から3日目までどんな感じだったの?」

 確かにそれは気になるな。
 そういえばシルさんのこと、スタートダッシュをミスったことしか知らないな。
 どんな3日間を送ったんだろう?
 面白いイベントとかにも出会っているのかな?
 期待に胸を躍らせながら、俺は目の前のゴブリンを剣で切る。
 シルさんが、起こったことを懐かしむ声色で言った。

「いろいろあったよ。初日は、まず、キャラクター設定で、運極振りの弓士にしたんだよ」

 そこまでは知っている。
 事前の情報通りの出だしだ。
 こっからだな。
 こっから俺達が知らない展開が始まるんだな。
 落ち着いた声でローズが言った。

「そこまでは知ってるわね」

 俺は頷きながら言った。

「そうだな」

 そう言っている間に、ゴブリンを1体切った。
 早く続きを聞きたいとわくわくしていたら、俺の方からコルドの方にゴブリンが1体行ってしまった。
 俺は、会話の流れを遮ってでも言わなきゃいけないやつだ。
 このままだとコルドが視界の外からの攻撃を受けてしまう。
 俺は、シルさんの話を遮ったことを申し訳なく思いながら、声を張って言った。

「あ、コルド! そっちに1体俺の方からゴブリンが抜けた!」

 いやぁ、会話を遮って申し訳なかったな。
 なんとなく、シルさんが話し出そうとしていたタイミングだと言うことは、雰囲気でなんとなく分かっていたから、余計に申し訳ない。
 そう思いながら、俺は目の前のゴブリンを切る。
 コルドからはすぐに返事が来た。

「了解!」

 認識さえすればゴブリンの1体ぐらいコルドにとってはどうということはないのだろう。
 これで、いつでも話を再開できるな。
 そう思いながら、シルさんの話の再開を待ち望む。
 そのタイミングで、シルさんが放った矢が、俺の方からコルドの方に抜けたゴブリンに刺さり、そのゴブリンが倒れた。
 これは、カバーのお礼をしなきゃな。
 また話の流れを中断してしまって申し訳ないと思いながら、シルさんに届く声量で、シルさんに感謝を伝えた。

「シルさん、カバーありがとう」

 カバーのお礼をしながら、目の前の魔物に『ウィンドボール』を当てる。
 後ろからシルさんの上機嫌な声が聞こえた。

「どういたしまして」

 よかった、話を中断してしまって怒っているわけではないんだな。
 俺は、ホッと方をなで下ろした。
 安心すると同時に目の前のゴブリンに『二連斬り』をする。
 それから少し間をおいて、再びシルさんが話し出した。

「運極振り弓士だとさ、ダメージも出ないし、射程も出なかったから、1体狩るのもめちゃくちゃ大変だったんだよ。効率が悪すぎて。それで、運の極振りは早々にあきらめたんだ」

 運極振りって大変そうだよなぁ。
 そもそも弓士ソロの時点で大変そうなのに、さらに運極振りって相当、序盤は大変だったんだろうな。
 まぁ、ちゃんとSTRとかDEXにステータスを振らないと、ダメージって出ないよな。
 ちゃんとダメージが出ないと、普通のダメージ×何倍というダメージの出し方をするクリティカルダメージの方も全然入らないよな。
 そう考えると、シルさんはよくLv.9まであげられたな。
 スゴすぎないか?!
 俺は驚きながら目の前のゴブリンを切る。
 俺なら無理だね。
 コルドがやったSTRの極振りでもくじけてる可能性があるな。
 たしか、STRが全くないと物理攻撃だとそもそもダメージが出ないって、ササキさんが言ってたけど、そこはどうしたんだろう?
 極振りでも、少しはSTRを持ってたのかな?
 あれか? 職業の補正で初期から配分されているSTRで頑張ったのかな?
 そうなんじゃないかな?
 そう思いながら、逃げようとするゴブリンの背中を切る。
 それはかなり大変だな。
 ローズがうわぁ大変そうと言う顔をしながら言った。

「そうだったのね。確かに、DEXとかSTRがまともにない弓士って大変そうね」

 そうだよな。
 そう思うよな。
 俺もそう思うよ。
 そう思いながら目の前のゴブリンに『ウィンドランス』を当てる。
 自分に置き換えたとき、STRが1桁とかしかない剣士って想像できないもんな。
 そもそも、LUKに全部振ろうという発想にはならないな。
 シルさんも流行に乗って極振りにしたのかな?
 まぁ、いろんな作品であんだけ極振り極振りと言われてたら、極振りにしたくなるよな。
 気持ちは分かるけど、俺なら絶対にやらないなと改めて思った。
 そう思いながら目の前のゴブリンを切った。
 俺は心の底から思ったことをそのまま言った。

「やっぱり、極振りにしなくてよかったな」

 俺の最初の発想は間違ってなかったな。
 極振りにして心配するリスクを考えたら、極振りなんてやりたくないな。
 バランスよくやってきてよかったな。
 最初極振りにしちゃうと、後々の軌道修正が大変そうだもんな。
 ボロボロのステータスでいろんなことをしなきゃいけないとか地獄だな。
 まぁ、極振りで、バチッとはまってめちゃくちゃ成功する人はいるかもしれないけど、俺はやらなくてよかったな。
 極振りを体験したわけではないけど、バランス型が一番、俺にあってるな。
 あのときの俺ありがとう。
 極振りにせずに思いとどまってくれてありがとう。
 俺は全力で過去の俺に感謝した。
 感謝をしながら目の前のゴブリンを切った。
 コルドは実感たっぷりな声で言った。

「俺も極振りはお勧めしないな!」

 コルドも極振りで苦労したっぽいからな。
 極振りでダメージが出ないとかよりも、移動の時に自分の思うスピードの1割も出ない事に対するストレスがスゴそうだな。
 前衛弓の時とか、特にその乖離がつらいだろうな。
 そう思いながら目の前のゴブリンに『ハイソードアタック』をする。
 シルさんがかこのやらかしを話すように言った。

「あきらめて他の能力値もバランスよく上げるために、スキルオーブ屋に早々に行って、各ステータスアップのスキルオーブとかを買い、露店とかで、いろんな装備を買い、少し上がったステータスで、前よりも少しだけ効率のいい狩りをしてレベルを上げて、狩りで得た素材を売って金を手に入れて、この繰り返しで少しずつましなステータスにしていったんだよ」

 このサイクルの全てのところにおっそい移動速度がつきまとうのか。
 かなりのストレスだろうな。
 俺だったらストレスで、APOを続けるか止めるかのギリギリのラインまで行きそうだな。
 やったことは、大体俺達と変わらないんだな。
 違うことがあるとするなら、最初に極振りにしたかしてなかったかと、ソロかパーティーかの違いぐらいか。
 大体同じことしていたんだな。
 まぁ、戦闘職がやる事ってそれぐらいしかないしな。
 狩って換金して買って以外に強くなるためにやる事ってあるのかな?
 どうなんだろう?
 どこかにクエストみたいなのもあるのかな?
 秘密のクエストみたいなのを誰かがどこかでやってるのかな?
 あるのなら、俺達も見つけたいなぁ。
 そう思いながら、目の前のゴブリンに、『ウィンドバレット』を当てる。
 ローズが、うわぁ大変そうという声色で言った。

「割と大変だったのね」

 俺は、ローズの発言に頷きつつ言った。

「極振りに夢見ると大変だな」

 コルドはなぜか胸を張って言った。

「極振りは不便だよな。俺は、足の遅さが嫌で極振り辞めたな!」

 俺が極振りしていたとしても同じ理由でリタイアしていた自信があるな。
 移動が遅いのってすごいストレスだよなぁ。
 何かサイトを立ち上げたときのぐるぐるぐらいストレスだよなぁ。
 俺は、コルドの言っていることにはげしく同意しながら目の前のゴブリンを切った。
 シルさんが、言った。

「そこから、3日目までずっと同じルーティーンだよ。まぁ、いまだにLUKが一番高いんだよね」
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