Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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取引をしよう 配信者がどうのこうの

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 ササキさんがこちらを向いたので、お金を渡すのと同時に、気になったことを聞いてみた。

「これで、15KGです。ポーションの相場、前より下がってません?」

 何であのときの相場よりも下がっているんだろう。
 てっきりあのときが底値なのかと思ってたけど、何が起こるか分からないものだな。
 ササキさんは、あぁ、知らないんだと少し驚いたような顔をして言った。

「最近、薬師が増えてきて、初心者ポーションの値段がさらに下がったんだ。同業者が増えるのはうれしいんだが、薬師が増えすぎて、需要と供給が釣り合ってないんだよな」

 へぇ、薬師が増えたのか。
 何で急に増えたんだろう?
 攻略サイトでおすすめされたとかなのかな?
 まだ、第2陣は始まってないよな。
 ということは、第1陣の人たちだよな。まだ新しく始めるプレイヤーってたくさんいたんだな。
 ほとんどのプレイヤーは初日から始めているものだと思ってた。
 だってこんなにわくわくするゲームを、開始から何日も眠らせておける人がいるとは思えないから。
 ここに来てプレイヤー数が増えるってことは、数日様子を見てどの職業が良いのか情報が集まってから始めた人たちが、薬師を選んでいるって事なのかな?
 ということは、後発組に選ばれるぐらい、薬師が魅力的と言うことなのかな?
 薬師が、そこまで人気になるような魅力って何だろう?
 そこも気になってきたな。
 とりあえず、ササキさんに詳しく聞いてみよう。

「薬師が人気なんですか?」

 ササキさんは、薬師の現状を、俺に優しく説明してくれた。

「なんだか、APOの実況をやると公言していた有名な配信者が、配信開始から遅れて昨日、薬師で始めたらしくてな。その影響で、その配信者と一緒の職業を選ぶために、APOを始めていなかった、その配信者のファンプレイヤーが、薬師として始めているらしい。まぁ、人から聞いた情報だから、正確な情報なのかはよく分からないぞ」

 全然俺の予想とは違っていたな。
 まぁ、情報がない中でした予想なんて、当たるはずがないよな。
 へぇ、それにしても、APOって配信とかできるんだ。
 知らなかったな。
 というか、APOを始めてからはそういう配信とかを見なくなったな。
 見る時間がなくなったからかな。
 配信者の影響かぁ。
 というか、配信者なのに初日から配信しないんだな。初日からやった方が人気が出そうな気がするんだけどな。
 何か用事があったのかな? それとも、慎重に職業を選ぶために情報収集をしてたのかな?
 というか、よく何日もAPOをやるのを我慢できたな。
 配信者もそのファンもすごいな。
 俺なら無理だな。
 推しと同じ職業かぁ。
 俺には分からない感覚だな。
 戦闘職とかなら、別の職業の方が一緒にパーティーを組めるかもしれないけど、生産職なら、同じ職業にしたほうが、関われるのかもな。
 薬師かぁ。
 何で配信者は薬師を選んだんだろう?
 正直言って、薬師ってかなり地味な職業だよな。
 配信映えするとは思えないんだけどな。
 どうしてなんだろう?
 戦闘職とかの方が、冒険とかができて、配信映えしそうだと素人的には思ってしまう。
 まぁ、何かしらの考えがあるんだろうな。
 知らない人だから、全く予想できないけど。

「初日に他の予定があって入れなかった人以外にも、APOを持っているのに始めなかった人がいるんですね。俺なら我慢できずにやっちゃいそうだな」

 コルドは、うんうんと頷きながら言った。

「俺も待ちきれないだろうな!」

 そうだよな。
 そう思うよな。
 目の前にAPOがあって何日も耐えられるってすごいな。
 ローズは、俺達を見てあきれたように言った。

「あんた達は、推しがいないからそういうことがいえるのよ。分かってないわね」

 そう言われちゃったらそうでしかないんだけどな。
 まぁ、分からないよな。
 推しがいないし。
 どういう考えで、そういうことをしているのかなんて全く分からないな。
 コルドは苦し紛れに言った。

「ローズには推しがいるのかよ!」

 ローズの推しか。
 聞いたことはないな。
 まぁ、あんなに自信満々に言ってたんだし、推しの1人や2人いるんじゃないの?
 ローズは、平然と言った。

「いないわよ」

 いないのかよ。
 思わずこけそうになった。
 コルドも、ササキさんもこけそうになっていた。
 まぁ、そういう反応になるよな。
 まさか、あんなに堂々と言ってたのに、推しがいないとは思わないじゃないか。
 まぁそもそも、ローズは推しがいるような性格ではないと思うけどな。
 コルドは強くツッコんだ。

「じゃあ、ローズにも分からないじゃねぇかよ!」

 ローズは、カルキ逆ギレ気味に言った。

「そうよ。分からないわよ。だって私も、我慢できずにやっちゃう派だもの」

 分からないのによく堂々と言ってたな。
 これは軽いけんかになりそうだと察知した俺は、2人の間に入って、2人の顔を交互に見ながら言った。

「まぁ、まぁ、1回落ち着こう。ササキさんの前だし」

 深呼吸、深呼吸。
 落ち着いていこう。
 そんな喧嘩するようなことじゃないでしょ?
 ローズは、一度大きく深呼吸をして落ち着いてから言った。

「そうね。落ち着くわ」

 コルドもローズが深呼吸したタイミングで、同じように大きく深呼吸をし、落ち着いてから言った。

「思わずツッコんでしまった!」

 ふぅ、なんとか喧嘩の危機を回避できたな。
 よかったよかった。
 俺がほっとしていると、ササキさんが横から顔を出していった。

「俺でも、待ちきれずに始めるだろうな」

 ササキさんもこっち派なんだな。
 まぁ、薬師が増えた説明のときの感じから、こちら側なのではないのかと薄々思ってたけどな。
 俺は、話を進めた。

「その配信者が、APOに変な影響を与えないと良いですけどね」

 突然軍団を作って暴れ出したり、薬草の群生地の独占したりとかをやり出さなければ良いな。
 その配信者のことも、そこのファンの雰囲気も知らないからなんともいえないけど、ないことを願おう。
 コルドもにっこりと笑いながら言った。

「ファンがまともな人たちだといいな!」

 よそから来た人たちが暴れて、APOから人がスッと消えたら嫌だな。
 まぁ、そういう暴れる人がいるような楽しめないゲームからは、俺もすぐ身を引きたくなるな。
 そうやって、APOが過疎化しないことを願っておこう。
 ローズは、すました顔で言った。

「まぁ、多分私たちと関わることはないわね」

 まぁ、直接的な関わりは、町でいちゃもんをつけられるとかしかないと思うけど、ゲーム全体に影響するみたいな事をしでかさないでほしいよな。
 ササキさんは、気が重そうに言った。

「同じ薬師プレイヤーとして関わる可能性がある俺は、少し気が重いな」

 ササキさんは、薬師のコミュニティにもはいっているから、ある程度は関わらざるを得ない感じなのかもな。
 そういえば、顔合わせ会のときに、調薬のメンバーで話したときは、全くその話にならなかったな。
 配信者のハの字もでてなかったと思うけど、何でなんだろう?
 何か理由があるのかな?
 とりあえずササキさんに聞いてみるか。

「顔合わせで、調薬のメンバーで話したときは誰もその話をしてなかったですよね」

 ササキさんは、軽く言った。

「まぁ、多分、誰もその配信者に興味がないんだろう。薬師とかクラフターだから、そのことは知ってはいると思うぞ」

 まぁ、ササキさんも又聞きだったし、そこまで興味はないんだろう。
 確かにあのメンバーで配信とかに興味がありそうな人はいないよな。
 それよりよりよいポーションの作り方とかの方が興味がありそうだよな。
 俺は大きく頷きながら言った。

「そうなんですね」

 ササキさんは祈るように言った。

「まぁ、あいつらも、そいつとそのファン達が何か変なことをやらかさないでほしいと心から祈っていると思うぞ」


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