Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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クラン顔合わせ 道中

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 俺は、顔合わせに行くために頑張って手を動かしながら,ついでに口も動かしていた。
 依頼書とにらめっこをしながら、俺はコルドに聞いた。

「そういえばさぁ、シルさんの話どうなったの?」

 確かコルドが昨日、「明日の朝にでも誘っておく」っていってたような気がするんだよな。
 誘ったのかな?
 その結果はどうなったんだろう?
 シルさんと一緒にAPOできるのかな。
 そういえば、ローズがそのとき、「明日の朝に、シルさんを誘うことを忘れてないかチェックする」っていってたけど、もしかしてローズは、忘れてるのかな。それともタイミングを計っていただけなのかな?
 どっちなんだろう? まぁ、どっちでも良いか。俺が代わりに確認したんだし。
 コルドは、誘うのを忘れていたと言うよりは、俺達に伝えるのを忘れているような感じの声色で言った。

「あぁ、兄さんの話か! 朝に兄さんに話そうと思ったんだけど、俺が起きたときにはもうAPOにログインしていたっぽくて、あれ以降まだ話せてないんだよな!」

 確かに、コルドより早起きのシルさんに、コルドが朝、話しかけることは不可能だな。
 コルドが起きるときには、とっくに  APOの世界に入っているのだろう。
 シルさんはそういう人だし。
 今度はローズがコルドに聞いた。

「じゃあ、どうするのよ?」

 コルドは、うーんと悩んでいる。
 コルドの方を見たから確実なことではないが、悩みながらもコルドは、確実に納入依頼を処理していっているのだろう。
 それぐらい、コルドなら十分できるはずだ。
 悩み終わったコルドが言った。

「APO内で連絡取れるから、顔合わせの後にでも連絡取ってみるか!」

 APO内で連絡取れるのか。
 連絡を取れるなら、最初から教えてほしかったな。
 それなら、昨日の夜に連絡入れておけば、朝から会えたかもしれないな。
 まぁ、タラレバを言ってても仕方がないな。
 できることなら顔合わせの前がよかったな。
 それなら、シルさんも顔合わせに参加できたんだけどな。
 まぁ、そういう順番になってしまったのはしょうがない。
 受け入れるとしよう。

「じゃあ、そうしよう」

 ローズがウキウキとした声色で言った。

「シルさんどういう見た目でAPOプレイしているのか気になるわ」

 コルドもノリノリで言った。

「確かに、集合とかしても初見で分からない可能性があるな!」

 確かに初見で分からなければ、待ち合わせは大変そうだな。
 何か目印になるようなことをしていてもらえば、簡単に待ち合わせできそうだな。
 でも、目立つようなことをされたら、こっちが恥ずかしくなるかもな。
 無難に、どこかのベンチに座っているとか、そういう判別方法が良いな。
 そうだ、連絡先を持っていると言うことは、コルドはもしかして、シルさんに会ってるのか?
 もしそうだったら、シルさんにコルドが気づけば、待ち合わせは簡単だな。

「ちなみにコルドは、APO内ではまだ会ってないんだよな」

 コルドはけろっと言った。

「あぁ! 俺もまだ、兄さんに会ってないぞ」

 もしかしてあれか? ふみが俺に連絡取れるみたいな感じで、外部の連絡ツールと紐付けてるってことなのかな?
 それならAPO内で会わずに連絡先を交換できるな。
 もしくは、IDを現実で教えて、それを使ってフレンド登録をしたとかなのかな?
 そういう方法でフレンド登録ってできるのか?
 後で確認しておこう。

 それからも俺達は、頑張って手を動かしてついでに口も動かして、一生懸命依頼を処理していった。
 そういえば、最近、納入依頼はやるけど、討伐系の依頼とか全くやってなかったな。
 まぁ、毎回ギルドに受けに来るのが面倒くさいんだよな。
 それに、納入系だけで、十分回ってるし。
 納入依頼ばかりにならないように、たまには討伐系の依頼を受けてみるのも良いかもな。
 まぁ、それは追々だな。
 手と口を頑張って動かしていた俺達は、コルドの分の素材の納入依頼を終わらせることができた。
 コルドは、依頼書から顔を上げながら、両手を天に突き上げて叫んだ。

「よっしゃあ、終わった!」

 俺は、達成感からパッと切り替えていった。

「じゃあ、集合場所に行くか」

 ローズは、依頼処理が終わった達成感から顔合わせに意識を切り替えたのか、達成感を上回るわくわくがあるのかは分からないけれど、テンションを上げて言った。

「クラン『ファースト』の顔合わせ会へGO!」

 俺達は、ギルドの依頼のところから作業場に向けて歩き出した。
 歩きながら、顔合わせに関する話をする。

「2人は、誰とまだ会ってない?」

 2人は指を折りながら会った人を数えだした。
 ローズが先に数え終わったみたいだ。
 ローズが先に言った。

「私は、ダイアさんと、クジョウさんかな。それ以外のメンバーには一度はあっていると思うわ」

 調薬組の2人か。
 確かに、俺の知る限りでも、2人とローズは会ってないな。
 ローズは初対面の人が2人いるわけか。
 良い感じにコミュニケーションがとれると良いな。
 ローズに続いてコルドが言った。

「俺は、ダイアさん、クジョウさん、天野さんかな! ササキさん、ミヤネさん、けんけんぱさんとはもちろんあってるな!」

 調薬組の2人に加えて、天野さんもか。
 多分、コルドもミヤネさんの露店には何回も行っているから、天野さんを見たことはあると思うんだよな。隣の露店だし。
 まぁ、でもコルドなら集中したらあまり周りを見ないタイプだから、全く見たことない可能性もあるか。
 その3人とコルドが話していた様子は、俺の記憶にはないな。
 少なくとも話すのは初めてなんだろう。
 そういえば、『ファースト』って3人共通の知人と、追加で俺の知人だけを誘ったから、全員と知り合いなのは俺だけなのか。
 まぁ、みんな生産職だし、元から全員と知り合いの人がいるかもしれないな。
 まぁ、厳密にはどうとかは、今は良いか。

「じゃあ、顔合わせ前の段階で、全員と会ったことがあるのは、俺だけなんだな」

 コルドが、バシバシと俺の背中をたたきながら言った。

「そうだぞ! オクツがなんとかするんだぞ! クランマスターでもあるんだし!」

 ローズは親指を立ててグッドマークをしながら言った。

「頑張ってねオクツ」

 俺達は楽しく話しながら、集合場所の1224号室に向かっている。

「もう俺達以外、全員集合しているらしいけど、今顔合わせ会の会場はどうなってると思う?」

 もうすでに楽しく盛り上がっているのかな。
 もしくは、お通夜状態の可能性もあるな。
 どっちなんだろう。
 前倒しをしたいってササキさんが言うということは、お通夜状態が耐えられないという意思表示なのかもしれないな。
 もし、そうだったらどうしよう。
 まぁ、どうしようもないな。

「それぞれ、どこかしらでつながりがあるから、お通夜状態にはなってないんじゃないか?!」

 そうだといいな。
 お通夜状態から始まるクラン『ファースト』はなんか嫌だな。
 盛り上がっていると良いな。
 誰も取り残されていないといいな。

「みんな生産職だし、意外と話が合うかもしれないわね」

 俺は心から言った。

「わいわい盛り上がっていると良いな」

 コルドは軽く笑いながら言った。

「盛り上がっているところに、俺達が登場して途端に盛り下がられたら困るな!」

 そんな不安にさせるようなこと言わないでよ。
 ローズはクスクスと笑いながら言った。

「そんな明るく言うことではないわね」

 集合場所の様子は分からないけど、俺達ができるのは、俺達が会場に着いてからのことだけだな。

「まぁ、そうならないように頑張ろうな」

「もちろん!」

「そうね」

 話しているうちに、集合場所の1224号室についた。
 俺は部屋番号を指さしながら言った。

「ここで間違いないよな?」

「あぁ、大丈夫だ!」

「ここであってるわ」

 ここであってるよな。よかったよかった。
 俺は、ドアをノックした。

 コンコンコン

「オクツと」

「コルドと!」

「ローズです」

「入っても良いですか」

 俺達がそう言ってから一拍ぐらい間を開けて、中から声が聞こえてきた。

「もちろん良いぞ」

 多分ササキさんの声だな。
 ということは、ササキさんが一番ドアの近くにいるのかな?
 そんなことを考えながらドアを開けた。

「「「失礼しまーす」」」








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