Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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西の森探検隊 シルさんの話

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 俺たちは森のより奥地へと向かいながら雑談をする。
 もちろん話ながらも、周りへの警戒や、索敵は忘れては居ない。
 忘れては居ないけど、毎回コルドが敵を見つけているのは何でなんだろう?
 もしかして、手に入れたvrの性能でも違うのかな?
 まぁ、一緒にやっているんだから、誰が敵を見つけたとしても問題ないよな。

「そういえばさぁ、コルドのお兄さんって、APO始めたの?」

 俺たちに、APOのソフトをくれたコルドのお兄さんのAPO話を全く聞いてなかったから、コルドに聞いてみた。
 もしかして、お兄さんは、忙しくてまだAPOを始められていないとかなのかな?
 それともあれか? 今、コルドがお兄さんとけんかしていて、情報交換とかをあまりしていないから、コルドからお兄さんの話を聞かないとかなのかな?
 いろんなことを考えている俺に対して、コルドはけろっと言った。

「もちろん初日からやっているぞ!」

 初日からやっているんだ。
 俺がお兄さんの話題を出したときのコルドの感じから見ても、別にけんかしているわけでもなさそうだよな。
 となると、なんでお兄さんの話が出てこないのかな?
 妹たちの話は、ここ3日で何回かしているから、別に兄弟の話をしたくないわけではないはずだよな。

「そういえば、お兄さんの話、全然聞いていてなかったわね」

 そういえば、コルドのお兄さんだけ、名前じゃなくて、お兄さんって言っちゃうんだよな。
 何でなんだろう?
 俺たち子供達の幼なじみの中で、唯一、年上だからかな?
 年上って、お兄さんとか、お父さんとか、お母さんとか、そういう風に言いたくなるよな。
 名前で呼ぶより、お兄さんって呼ぶようになったのはそういうのが原因なのかな?
 まぁ、どうでも良いことは置いておいて、会話に集中しよう。

「確かに話す機会なかったな!」

 あ、これは、話すのを忘れていた感じの奴だ。
 コルドの反応からそう感じた。

「プレイヤー名は何にしているの?」

「確か、えっと、シルだったと思うぞ!」

 シルさんか。
 思い切って、お兄さんではなく、シルさんって言ってみようかな。
 そっちの方がよさげだよな。

「シルさんか、良い名前だな」

「リアルの知り合いをプレイヤー名で呼ぶのってなんかむず痒いわね」

「確かにそうだな! 俺たちの間だと、かなり慣れたけど、他の知り合いをプレイヤー名で呼ぶのは、なんか恥ずかしいな! 特にシルは兄だし!」

「いろんなゲームでプレイヤー名で呼び合ったから、慣れたよな」

 まぁ、いつも3人でゲームしているから、さすがにここ3人でのプレイヤー名での呼び合い離れたものだな。
 たまにだけど、ついうっかり前の名前を言いそうになったり、リアルの方でプレイヤー名を言いそうになったりするんだよな。

「シルさんとは、情報共有とかしているの?」

「ご飯時にしているぞ。基本夕飯の時に話すかな! うちのご飯は短めだから、話し込むことはあまりないけどな!」

 俺が食後にログインするといつも、ログインしているんだよな。
 どうやったらそんなに早くご飯を食べられるんだろう?
 毎度不思議で仕方がないんだよな。

「食後は、いつも俺より早くログインしているよな」

「私よりも早く居るわよね」

「まぁ、ローズとはほとんど誤差ぐらいの時が多いな!」

 ログアウトするタイミングは俺と同じだから、多分食事を始めるタイミングはそこまで変わらないはずなんだよな。
 どこで差がつくんだろう?

「2人って、ご飯で呼ばれたりしないけど、タイミングは大丈夫なのか?」

「まぁ、オクツの家と同じ時間に朝食以外のご飯を食べているから、オクツのログアウトにあわせていたら大丈夫だわ」

「まぁ、オクツのところに来るお昼のメッセージにあわせれば、ちょうどご飯の時間になるからな! 母さんが、ふみちゃんが3人に知らせてくれるから、呼ばなくて良いのが楽だって言っていたぞ!」

「そんなこと言っていたんだ」

 脇にそれた話をローズが本筋に戻した。

「話を元に戻して、シルさんは、APOの職業は何にしたの?」

「えっと確か、弓使いだったと思うぞ!」

 弓使いか。
 弓って、玄人が使う武器なイメージがあるんだよな。
 矢を用意しなきゃいけないし、距離を取らなきゃいけないしで大変そうなイメージがあるな。

「難しそうなところ行ったな」

「まぁ、それがシルさんらしいよね」

「それはそうだな!」

 あの人、難しいプレイとか好きそうだよな。
 喜んでハードモードに突っ込んでいくタイプだからなぁ。
 もしかして変態なんじゃないかな?
 その可能性は十分あると思う。

「シルさんは、ソロプレイをしているのか?」

「そうだぞ!」

「後衛の1人プレイってすごいわね」

「ゲーマーっぽいな」

 後衛ソロプレイって、やはり変態プレイ。
 そうじゃなかったとしたら、究極のぼっちプレイ。
 どちらにせよ、かなり変なプレイな事には変わりない。
 まぁ、それがシルさんぽいといったら、まぁ、そうなんだけどね。

「まぁ、ログイン時間は俺たちより多いと思うぞ!」

「そんなにログインしているの? 私たちって、ご飯と寝るとき以外ずっとログインしているわよね?」

「寝る時間が俺たちより短いからその分ログイン時間が多いんだと思うぞ!」

 あぁ、あの人ショートスリーパーだからな。
 それも、早寝、超早起きタイプのショートスリーパーなんだよな。
 8時9時に寝て、夜中の2時3時には起きるような究極のおじいちゃんみたいな睡眠時間しているんだよな。
 ちょっとだけ遅寝、大分遅起きのコルドとは真反対なんだよな。
 どうしたら兄弟でそんなに変わるんだろう?
 コルドの妹も、コルドタイプだから、シルさんが異常なのかな?

「あぁ、あの人、コルドと兄弟なのか疑いたくなるぐらい睡眠時間が短いよな」

「俺はロングスリーパーだからな!」

「コルドがロングスリーパーってよりは、シルさんがショートスリーパーって感じだよね」

「俺たちよりプレイ時間が長いってことは、結構強くなってる感じ?」

 どういう感じで成長しているんだろう?
 あの人なら、極振りプレイとかをしていそうなんだよな。
 やるとしたら何極振りなんだろう?
 DEXかな、それともAGIかな、王道のSTRかもしれないな。

「最初LUK極振りビルドを組んだらしくて、ダメージがほとんど出なくてマジで大変らしいぞ!」

 あぁ、大変そうなルートだな。
 俺なら絶対にやりたくないな。

「そのやらかしも、なんかシルさんらしいわね」

「まぁ、シルさんなら何とかしそうだな」

「まぁ、あの兄ならなんとかするだろ!」

 そういえば、コルドはクランに誘いたい人いないって言ってたけど、シルさんを誘わなくてよかったのかな?

「シルさんをクランに誘わなくてよかったの?」

「あ! 忘れてた!」

 忘れていたのか。
 まぁ、忘れていたなら仕方がないな。
 俺も忘れっぽいから人のこと言えた義理じゃないし。

「忘れてたのか」

「忘れてたのね」

「誘っても良いか?」

「「もちろん」」

 俺たちは声をそろえていった。
 そりゃもちろん。
 今俺たちがAPOをできているのは、シルさんのおかげなんだから。
 断る理由はないよな。

「じゃあ、明日の朝にでも誘っておくぞ!」

「じゃあ、明日はAPO内でシルさんと初対面になるんだな」

 シルさんどんな感じになっているのかな。
 楽しみだな。

「それは楽しみね。後は、APOをくれたことを、改めて、APO内でお礼を言いたいわね」

「それ良いな」

「誘うのを忘れないようにしておかないとな!」

「忘れるなよ」

「明日の朝に、忘れてなかったかチェックするわよ」

「大丈夫! 大丈夫だと思う!」

「そうだといいんだがな」

 楽しく雑談しながら俺たちは、森のより深い方へと向かっていった。








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