Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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西の森探検隊 突入、初戦

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 西の森の前についた俺たちは、ゆっくりと1歩ずつ着実に、西の森に入っていった。
 過剰なほどゆっくりと警戒しながら進んでいく。
 警戒はするが、黙ったりなどはせず、話ながら、警戒をしている。
 足の裏で木の根やこけなどを感じながら歩く。
 今までとは違う独特な緊張感の中、ローズは言った。

「最初の接敵をするまでは警戒しながら行きましょう」

 そう言いながら、ローズは辺りをキョロキョロと見回している。
 多分警戒とは別に、森の様子に興味津々なんだろう。
 いつも通り、異常なほどに再現性の高い森が気になって仕方がないのだろう。
 そういう俺も、森の景色の良さに惹かれてついキョロキョロとしてしまう。
 だって仕方がないじゃないか。
 木漏れ日とか、森特有の涼しさとか、森独特の匂いとか、そこまで再現されていたら気になってキョロキョロしてしまうでしょ。
 魔物が居そうな空間とか関係なく、興味が出た場所を手当たり次第に眺めていく。
 歩きながら、警戒しながら、景色を眺めながら、話すというハチャメチャなマルチタスクを俺たちはしている。

「浅いところの魔物は、どのぐらいの強さなんだろうな?!」

 かなりのマルチタスクのためか、森独特の雰囲気に流されてか、会話のテンポはいつもよりもゆっくりになっている。
 風に当てられてなびく葉まで再現されている森から、マイナスイオンが出ていたりしそうだな。
 そもそもマイナスイオンって何なんだろう?
 学校で習った気がするけど、まぁ、覚えてないな。
 APOのことだから、マイナスイオンに変わる何かを、森から放出されていそうだな。
 APOなら十分にあり得ると思う。
 それぐらいAPOには驚かされているしな。

「南の草原の奥の方のウルフ系とか、北の街道のゴブリンぐらいの強さはほしいよな」

「それぐらいの敵なら、それ以上に強いであろう森の奥の敵に期待ができるな!」

 強さ的には、南の草原、北の街道、西の森なのかな。それとも、南の草原、西の森、北の街道、なのかな。
 どちらにしても、南の草原が最弱なのは変わらないな。
 まぁ、南西に出てきた、西の魔物は、南の草原の魔物よりは確実に強かったから、南の草原より、西の森の方が強いのだろう。

「浅瀬の魔物が、『ビッグラビット』ぐらい強かったら、さすがに撤退ね」

 そうなったら、中盤の敵が、『ビッグボスゴブリン』とかになるのか。
 さすがにそうなったら撤退だな。
 間違って、大量の『ビッグラビット』級の強さの奴に追われるなんて展開になったら、確実にやられるからな。

「それはそうだな」

 楽しく話ながら、森の中を進んでいくと、突然、コルドが足を止めた。
 コルドが立ち止まったのに合わせて俺とローズも立ち止まる。
 それと同時に、好奇心からいろいろなところを眺めていた視線を正面に向け直す。
 足を止めたコルドは、正面にある大きな木を指さして、言った。

「あれ、鹿じゃないか?」

 俺は、コルドが指さした先に、鹿を確認することができなかった。
 俺は、目をこらしてコルドが指す場所を眺める。
 それでもやっぱり鹿を見つけることができない。
 コルドが指さした場所はそこまで遠い場所ではないのに、何でだろう?

「早速、見つけたのね」

「どれだ?」

 何度見ても、やっぱり鹿の場所が分からないので、コルドに聞いてみることにした。

「正面にある、他の木よりも太めの木の裏から、鹿の尻がはみ出ているのが見えたぞ!」

 コルドに説明してもらって、やっと見つけることができた。
 木の幹の端から、少しだけ茶色い尻のようなものが見える。
 ほとんど幹の色と変わらない、保護色になっていて、見つけるのが難しかったみたいだ。
 俺は一度鹿から視線を外して、2人に聞く。

「どうする、3人で戦う?」

 どれぐらいの強さか分からないし、最初は3人で戦った方が安全だよな。
 とりあえず、どれぐらいの強さの敵なのかを知っておいた方が良いよな。
 個別で戦うとしたらその後だよな。
 何より、最初ぐらい3人で戦いたいよな。

「初戦なんだし、3人で戦いましょう」

 ローズの意見に、コルドも深く頷いている。
 2人の俺と同じ意見なようだ。
 まぁ、初戦は3人で戦った方が安全とかよりは、3人で戦いたいという気持ちがこもった目をしている。

「じゃあ、いつも通りの陣形で行くぞ!」

 コルドの号令に合わせて、陣形を変えた。
 3人横並びで並んでいたのを、俺とコルドが前に立ち、ローズが後ろに立つという、いつもの戦闘使用の陣形に素早く切り替えた。
 コルドに続いて、俺も声かけをする。

「他の魔物の乱入を警戒しつつ、接敵」

 俺の声かけに続いて、ローズも声かけをした。

「あの木を大きく回り込むように行くわ」

 コルドが拳を振り上げながら言った。

「じゃあ、木の右側から行くぞ!」

 それに俺とローズはノリノリで乗っかった。

「「おぉ!」」

 そう言って俺たちは走り出した。
 まずは、大回りで、木の周りを回っていく。
 小回りで行ってしまうと、急に敵が目の前に出てくるみたいな事態があり得るから、安全を考慮して大回りをしている。
 木を回り込むと、1匹の鹿が立っていた。
 鹿との距離は5メートル弱。
 俺は鹿の名前とレベルを確認するために、鹿の頭上を見た。

 プレーンディアLv.5

 そのままな名前だな。
 プレーンディアか。
 ラビットとか、ウルフにも、プレーンが居たな。
 と言うことは、ディアにも、ホーンとか、ハイがいるということなのかな?

「開戦ね」

 後方から、ローズが『マイク』を使って言った。
 ホーンディアってどういうことなんだろう?
 角がもう1つついていたりするのかな?
 そんなことを考えていたら、動きが一瞬遅れてしまった。

「行くぞ」

 気がついたら、コルドがプレーンディアに向かって走り出していた、
 俺は少し遅れて、プレーンラビットに向かって走り出した、
 走りつつ、剣を鞘から抜く。
 剣を構えてから、回り込めばよかったな
 何で剣を出すのを忘れていたんだろう?
 コルドは、こぶしで戦うから常に戦闘態勢だし、ローズは森に入ってから杖を杖として使っているからそのまま構えれば良いし、多分2人が森に入ってから、常に武器を構えているから、武器を構えるタイミングがなかったんだな。
 そういうことにしておこう。
 俺はギリギリで剣を構えて、通常攻撃をした。
 コルドよりもAGIが高い俺が一瞬遅れたことで、攻撃のタイミングが、俺とコルドで同時になった。
 攻撃の瞬間にコルドが叫んだ。

「そこ!」

 俺の剣と、コルドのこぶしが、プレーンディアに突き刺さる。
 それぞれのダメージが出る。
 コンマの差で俺の方が攻撃が早かったのか、俺のダメージから先に出た。

 70ダメージ

 すぐにコルドのダメージの出た。

 124ダメージ

 俺たち2人の攻撃を受けて、プレーンディアは倒れた。
 通常の魔物にしてみたら、かなり防御が固めだったな。
 まぁ、コルドの攻撃力からしたら誤差みたいなものかもな。
 俺としては、防御力の1の差も大事になってくる。


 プレーンディアLv.5が討伐されました。


 切っていたはずの、戦闘時のアナウンスがなった。
 間違ってアナウンスの設定を初期化しちゃったのかな?
 何で流れたんだろう?
 突然なった戦闘時アナウンスに困惑していると、プレーンディアが消えた場所に、魔法が放り込まれた。
 なにごとと思い後ろを振り返ると、ローズが、ミスったという顔をした。
 魔法をキャンセルし忘れたんだろう。
 戦闘が終わったから俺たちは集まった。

「パパッと倒せたな」

 俺とコルドの一撃ずつで倒せたな。
 でも、俺の一撃を耐えた時点で南の魔物よりは強いということになるだろう。

「他の魔物の乱入もなかったわね」

 確かに、割と大きな声とかを出していたのに、寄ってくる敵は居なかったな。
 それは良いことだな。
 初戦から集団戦は、かなりきついからな。
 前回西の森に潜ったときも確か、集団戦でボコボコにされたんだよな。
 木々が邪魔で、対集団戦がしづらいんだよな。
 森になれてきたのか、今のところ、木の根に足を取られるなんてこともなく、前回潜ったときよりも森の中でうまく動けている気がする。

「他の魔物の気配もないから安心して話せるな!」

「話しながら次の魔物を探しましょう」

 俺たちは、次の魔物を求めて歩き出した。

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