Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

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クラン勧誘 緊張、あっさり

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 1426号室の前についた。
 俺はとりあえず扉をノックした。

 コンコンコン

 少しだけ緊張しながら言う。

「ササキさん、オクツです」

 内側から、ササキさんの声が聞こえてきた。

「開いてるから入っていいぞ」

 ノックしてから部屋に入るのって、なんか緊張するよね。
 職員室とかそういうのを思い出すからなのかな?
 まぁ、そんなのは置いておいて、勧誘のことを考えなくちゃ。
 俺は静かに扉を開けた。

「失礼します」

 扉を開けると、そこには、ササキさん1人だけではなく、ダイアさんとクジョウ君の2人も居た。
 え? なんで?
 俺は緊張から急に来た驚きで、驚きを通り越して、体が固まった。
 居るなら居ると言っておいてほしかったな。
 せっかくメッセージも送ったんだし。
 俺と目が合った3人は声をそろえていった。

「「「いらっしゃい」」」

 3人の声を聞いて、驚いて硬直していたからだが自由になった。
 体が動くようになったので、驚きをそのまま声に乗せて、3人に向かっていった。

「え?! ダイアさんとクジョウ君もいたんですか?!」

 最初に返答したのはササキさんだ。
 ササキさんは、黙っていたのが申し訳ないと思っているのか、少し申し訳なさそうな顔をしている。

「そうだぞ。ちょうど今3人で話しながら『調薬』をしていたところだ」

 ダイアさんは、悪巧みが成功したみたいな顔をしている。
 俺が来るのが分かっていたのかな?
 それとも、俺がすごく驚いていたことがただただ面白かったのかな?
 ダイアさんは、半笑いで言った。

「作業中暇だから、今日も集まってたんだよね」

 クジョウ君は、少しだけ驚いたような顔をしている。
 クジョウ君には、俺が来ることを伝えていなかったのかな?
 それにしても、まだ驚いているのか。長くない?

「オクツさんは、次の町に行ったと聞いていたのでお誘いしませんでした。こっちに来てたなら言ってくださいよ」

 あぁ、なんとなく予想ができた。
 まず、3人でこの部屋で、雑談をしながら『調薬』をしていたのだろう。
 そこに俺が、メッセージを入れて、ササキさんと、ダイアさんは、メッセージを確認して、2人でなんとなく示し合わせて、代表でササキさんだけが返事をした。
 それを俺が、ササキさんだけが居ると勘違いした。
 ドアを開けると3人が居て、俺は予定と違ったため、かなり驚いた。
 クジョウ君は、メッセージが来たときは作業に集中していたから、メッセージには気づかず、突然俺が来たから驚いている。
 こういうことなんじゃないのかな?!
 長々と言っているけれど、まぁ、ただの想像なんだけどね。

「いや、返信なかったけど、クジョウ君にも、ダイアさんにもメッセージを入れたはずです」

 俺の言葉を聞いて、ダイアさんが驚いた。
 あれ、もしかして、俺の推理が早速間違っていたのか?

「あ! ほんとだ。オクツ君からメッセージ来てた」

 あぁ、ダイアさんは、驚いている俺と、クジョウ君が面白くてニヤニヤしていただけなんだろうな。
 もしくは、ササキさんから話を聞いてたけど、メッセージは見てなかったのかもな。そうすると、クジョウ君は、作業に集中していて、ササキさんの話を聞いていなかったとかなのかな?

「作業中は、通知を切っているから気づかなかったです」

「私も通知切ってた」

 へぇ、2人とも通知を切ってたのか。
 それは気づかなくても仕方がないな。
 まぁ、通知音って、作業の邪魔だよね。

「それなら仕方がないか」

「2人が居て驚いたのは分かるが、そろそろ入り口で話してないで、中に入ったらどうだ?」

 ササキさんにそう言われたので、俺はドアを閉めて中に入った。

「そうですね。失礼します」

「どうぞ」

「えーっと、オクツさんはここに座ってください」

 そう言ってクジョウ君が指さした椅子に俺は座った。
 俺が椅子に座ったタイミングに合わせて、ダイアさんが言った。

「改めて、『クランの町フラッグ』到達おめでとう!」

「おめでとうございます」

「おめでとう」

 3人が拍手をしながら、それぞれ言った。
 俺は少し照れくさくなりながらもきちんと返すことができた。

「ありがとうございます」

 お祝いムードが去って行く。
 それと同時に、普通のトーンに戻った、ササキさんが言った。

「『クランの町フラッグ』についたのに、何で『始まりの町』に戻ってきたんだ?」

 あ、そうだ。
 元々の目的を忘れるところだった。
 俺は目的をきちんと思い出していった。

「それは、皆さんに話したいことがあって戻ってきました」

 俺がそう言うと、ダイアさんが、ぐいぐいとこちらに寄りながら言った。

「なになに? 気になる!」

 俺は、緊張しながら、3人にまとめていった。
 ここで、それぞれに勧誘するのはなんか違うからな。

「えっと、クランの勧誘です。皆さん、うちのクラン”『最古の』クラン『ファースト』”に入りませんか?」

 返事を待つ時間。俺は心臓が口から飛び出そうなぐらい緊張していた。
 ササキさんは、そんなことかと言いたげな顔をして、けろっと言った。

「オクツのクランか。良いぞ!」

 ダイアさんもけろっと言った。

「じゃあ、私も入ろうかな」

 クジョウ君もあっさり言った。

「じゃあ、僕も入ります!」

 3人があまりにもあっさり、クランの勧誘を受けてくれたから、頭の処理が追いつかずにドドドドと疑問が舞い込んできた。
 あれ? こんなにあっさりいくもんだっけ?
 もっとプレゼンとかをして決めてもらうものなんじゃないのかな?
 友達に誘われたからみたいな判断の速さだったな。
 もしかして、いつのまにか俺たちって、友達ぐらいの距離感になっていたのかな?
 一旦落ち着こう。
 深呼吸。深呼吸。
 深呼吸をして判断力を取り戻した。
 みんな凄腕の薬師とかなんだから、引く手あまたなんじゃないの?
 気になったから、他に誘われているのか聞いてみた。

「そんなにあっさり決めていいんですか? 他に誘われたりしてないんですか?」

「生産系クランの誘いは何件か来てるけど、断ったから大丈夫だ」

「私も、何個かお誘いもらったけど、全部断ってるから大丈夫だよ」

「僕は、まだどこにも誘われてません」

 ササキさんと、ダイアさんは、他を断っているのに、うちは即答でOKなの?
 それはそれでよく分からないな。
 とりあえず聞いてみよう。

「そんなに何件も断っているのに、なんで俺の誘いにはあっさり乗ってくれたんですか?」

「直感ってやつだな。オクツと一緒にAPOをやっていったら楽しそうだと思ったからだな。まぁ、具体的に言うと、クランをつくってから誘いに来るっていうのが面白かったからだな。他の誘いはクランができたらのタラレバの話だったからな」

「私は、ササキと同じところに行こうと思ってたから、ササキが行くなら行くって感じかな。まぁ、一番最初のクランに入るっていうのも面白そうだっていうのもあるから。あとは、オクツくんのところに入ったら、『クランの町フラッグ』にすぐに連れて行ってくれそうじゃん」

「僕は誰にも誘われていなかったので、一番最初に誘ってくれたオクツさんのところに入ろうと思いました」

 3人お話を聞いておれはああためて驚いた。
 そういうものなのかな?
 直感とか、そういうことで決めるもんなの?
 人の決断にケチをつける気はないけど、そういうものなのかな?

「クラン入りって、そんなあっさり決めるものなの?」

「クランって言っても、ゲームのコミュニティなんだから、それぐらい気軽に受けても良いんじゃないの」

 まぁ、そうだよな。
 進路を決めるわけでもないんだし、気軽でも良いのかもしれないな。
 ゲームなんだから、直感を信じてもいいのかもな。
 だんだんと、3人が、クランの誘いを受けてくれた実感が湧いてきた。うれしさがこみ上げてくる。それと一緒に、受けてくれるにしろ、ちゃんとクランの説明をしなきゃだめだよなぁという気持ちも膨れ上がってきた。

「誘いを受けてくれたのはうれしいんですが、ひとまずクランの説明を聞いてください」

「じゃあ、説明してくれ。まぁ、どんなクランなのかは気になるからな」

「どういうクランなのかしらね」

「説明お願いします」

 3人が聞きの姿勢になった。
 それを確認してから、俺は話し出した。

「じゃあ、説明始めますよ」









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