上 下
97 / 123

『第2陣開始、前夜祭』『第1陣、最高決定戦』告知 謎の空間で

しおりを挟む
 俺は、APOにログインするために、VRを装着した。
 電源を入れて、APOにログインする。
 俺は、APOにログインした。
 ログインしたと思ったのだが、なぜか真っ白な空間に俺はいた。
 不具合かな?
 景色が表示できていないのかな?
 もしかして、VR機器側の故障かな?
 買って数日で故障なんて止めてほしいんだけど。
 いくらしたと思っているんだよ。
 まぁ、故障だとしても、保障に入っているから大丈夫なはずだ。
 でも、故障だったら、数日から数ヶ月APOができなさそうだな。
 それはかなり困るな。
 他に何か可能性があるとしたら、俺が何か違うアプリを起動しちゃったとかかな?
 でも、俺のVRには、APOしか入っていないはずなんだけどな。
 それに、手足とか俺が見えている自分の姿は、APOの俺の装備なんだよな。
 真剣にそんなことを考えていると、いつの間にか目の前にいつものウィンドウが出現していた。
 いつの間にこんなにが出ていたんだ? 気づかなかった。
 俺は、ウィンドウに書かれていることを読んだ。


 APOにログインする前に特殊な空間に招待しました。
 この空間は、プレイヤー名『オクツ』が、本日6時30分に行われた『告知イベント』に参加しなかったため、現れています。
 この空間で閲覧するものは、APOにログイン後、『運営からの告知』というメッセージから確認することができます。
 「次へ」


 どうやら、ここがAPOで間違いはなかったようだ。
 それと、どうやらここは、通常のマップではない空間らしい。
 ということは、APOの不具合でも、俺のVRの故障でもないということだな。
 俺は状況を理解してかなり安心した。
 よかった。故障とかじゃなくて。
 この特殊な空間、なんか見覚えがあるな。
 あ! あれだ!
 キャラ設定の時の白い空間だ。
 あの空間とほとんど同じなんだ。
 もしかして、APOにログインする前にやることがあるときに通される空間ということなのかな?
 そんなことをしてまで読ませたい告知があるということかな?
 APOを始めてから、軽い不具合の修正とか、ちょっとした修正は、何度かあったけどこんな空間には通されずに、普通に通知が来ただけだったよな。
 どんな告知なんだろう?
 わくわくしてきたな。
 後からも読めるのか。俺は、忘れっぽい方だし、後から見返せるのはかなりありがたいな。
 たぶんログインした後に、コルドとローズと一緒にもう1回確認することになるんだろうな。
 わくわくしつつも、そう思いながら、「次へ」をタップした。
 すると、ウィンドウに表示されている文章が切り替わった。


 本日6時30分に行われた『告知イベント』で行われた告知内容をお伝えします。
 「前へ」「次へ」


 6時半か。
 ちょうどご飯を食べていた頃だな。
 そう思いながら、ささっと「次へ」を押した。
 次も、短めの1文が表示された。


 4日後の7月26日に、『第2陣開始、前夜祭』というイベントを行います。
 「前へ」「次へ」


 こんなに短いなら、2回に分けなくても、まとめて1コのウィンドウでよくないか?
 内容の感想より前にそう思った。
 『第2陣開始、前夜祭』か。
 面白そうだな。
 何をやるのかな?
 こんなに全力で告知するんだし、すごいことするのかな?
 期待を込めて「次へ」を押した。


 町中はイベント仕様で彩られ、第2弾プレイヤーを迎える準備が整った状態になります。
 住民も、第2陣プレイヤー歓迎ムードになります。
 「前へ」「次へ」

 それだけなの?
 その告知のために、別空間まで来させたの?
 ちょっとだけ、失望しながら、俺は「次へ」を押した。


 それに合わせて、『第1陣、最高決定戦』を行います。
 「前へ」「次へ」


 そうだよね。
 さすがにあれだけじゃないよね。
 下げ合っていたテンションが一気に戻ってきた。
 そうだよね。うんうん。
 『第1陣、最高決定戦』か。
 何をやるのかな?
 今の段階で面白そうだな。
 詳細を求めて俺は「次へ」を押した。


 『第1陣、最高決定戦』とは、様々な分野で活躍する、プレイヤーたちが、それぞれの分野で競い合い、その分野の最高を決める大会です。
 「前へ」「次へ」

 戦うのかな?
 この説明だと何をやるのかがあまり分からないな。
 「次へ」があるということは、次に詳細があるのかな?
 その希望を乗せて、俺は「次へ」を押した。


 『第1陣、最高決定戦』大会要項
 開催日時:7月26日 ※参加する部門によって、開催時間は異なります。各部門の開催時間は、部門の詳細を見てください。
 開催場所:始まりの町
 参加資格:第1陣のプレイヤーであること
 大会内容:ボス討伐最高決定戦・魔物討伐最高決定戦・パーティー戦闘最高決定戦・個人戦闘最高決定戦・職業別戦闘最高決定戦・職業別技能最高決定戦・作品最高決定戦・作品別作品最高決定戦

 ※この大会は、APO公式チャンネルで配信されます。
 ※その他、部門ごとのルールは、部門ごとの詳細を確認してください。
 「前へ」「次へ」「部門別詳細へ」


 へぇ、面白そうだな。
 これぐらい書いてくれると、どんな大会なのかなんとなく分かって良いね。
 部門がいろいろあるんだね。
 職業別の大会とかもあるんだ。
 今のところ、”ボス討伐最高決定戦”がお気に入りかな。名前だけだけど。
 部門別の詳細を見るものいいんだけど、「前へ」の表示もあるし、戻ってこれるだろうとふんで、先に「次へ」を見ておこうかな。
 脇道にそれる前に本筋を終わらせておきたいしね。
 さらに大きな告知があるかもしれないしね。
 もっと大きい告知があるならそっちをいっぱい見たいしね。
 そう思いながら、「次へ」を押した。


 大会への参加お待ちしています。
 「前へ」「部門別詳細へ」「ログイン」


 どうやら、さっきの告知で最後だったっぽいな。
 どうしよう? 部門別の詳細を見てからログインしようかな?
 それとも、ログインしてから、部門別の詳細を見ようかな?
 一応こっちで見ておくか。
 ログインしてから、もう1回見ることになると思うけど。
 そう思いながら、「部門別詳細へ」をおした。


 部門別詳細
  「ボス討伐最高決定戦」
 「魔物討伐最高決定戦」
 「パーティー戦闘最高決定戦」
 「個人戦闘最高決定戦」
 「職業別戦闘最高決定戦」
 「職業別技能最高決定戦」
 「作品最高決定戦」
 「作品別作品最高決定戦」
 「前へ」


 こんな風になっているんだ。
 じゃあ、1つくらい見ておくか。
 俺は、なんとなく気になっていた、「ボス討伐最高決定戦」を開いた。


 ボス討伐最高決定戦
 開催日時:7月26日7時から20時まで
 開催場所:始まりの町噴水広場。専用特殊フィールド
 参加資格:第1陣のプレイヤーであること
 競技内容:2種類のランキング
 噴水広場から専用の特殊フィールドにワープして、そこで大会専用ボスと戦闘する。
 戦闘は開催期間内であれば、いつでも行うことができます。
 討伐にかかった時間。討伐で使用したアイテム。与えられたダメージ。パーティーの人数など様々な要素を総合的に見たポイントによりランキングされます。
 ランキングは、一度に獲得したポイント数によるものと、合計ポイント数の2種類行います。
 景品:上位入賞者には、称号などの景品が与えられます。

 ※戦闘の様子などが、APO公式チャンネルで配信される場合があります。
 ※不正があった場合は、APOからアカウント停止になる可能性があります。
 「前へ」「部門別詳細へ」「ログイン」


 へぇ、面白そうだな。
 いわゆるイベントラン的な要素と、スコアアタック的な要素があるのか。
 面白いな。
 これは、参加したいな。
 スコアアタックの方に参加するなら、戦闘は、1回だけで良いだろうし。
 気軽にできそうだな。
 詳細を見て、『第2陣開始、前夜祭』が楽しみになってきたな。
 残りの詳細は、2人と話しながら見ようかな。
 そう思い、俺は、「ログイン」を押した。

 気がつくと、俺は、APOにログインしていた。





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

ファーマー生活はじめました!〜ゲーム1おいしい野菜を目指します〜

毎日のお味噌汁
ファンタジー
 農園系ゲームとハウジング系ゲームが好きな主人公がオープンワールドのVRMMOを始めたらどっぷり生産沼にハマっちゃった。  もう!ゲームは動かなくても冒険できるから素晴らしいんですよ?仮想空間でも動かないに越したことはないんです!!そんな主人公の意識低め省エネ生産ライフ。

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

ユニーク職業最弱だと思われてたテイマーが最強だったと知れ渡ってしまったので、多くの人に注目&推しにされるのなぜ?

水まんじゅう
SF
懸賞で、たまたま当たったゲーム「君と紡ぐ世界」でユニーク職業を引き当ててしまった、和泉吉江。 そしてゲームをプイイし、決まった職業がユニーク職業最弱のテイマーという職業だ。ユニーク最弱と罵られながらも、仲間とテイムした魔物たちと強くなっていき罵ったやつらを見返していく物語

ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜

八ッ坂千鶴
SF
 普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。  そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……! ※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。

春空VRオンライン ~島から出ない採取生産職ののんびり体験記~

滝川 海老郎
SF
新作のフルダイブVRMMOが発売になる。 最初の舞台は「チュートリ島」という小島で正式リリースまではこの島で過ごすことになっていた。 島で釣りをしたり、スライム狩りをしたり、探険したり、干物のアルバイトをしたり、宝探しトレジャーハントをしたり、のんびり、のほほんと、過ごしていく。

―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――

EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ―― とある別の歴史を歩んだ世界。 その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。 第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる―― 大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。 そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。 そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。 そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。 そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。 果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。 未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する―― 注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。 注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。 注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。 注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。 注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。

処理中です...