Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

文字の大きさ
上 下
93 / 193

『クランの町フラッグ』観光 北の監視塔 らせん階段を上って ※確実に地の文のペースを間違えた…

しおりを挟む
 俺たちは、マルコさんと別れ、監視塔に入った。
 監視塔は、入ってすぐ正面にらせん階段があった。
 それ以外にも、監視塔の1階には、事務スペースのような場所と、奥へ続く扉などもあった。扉の奥は仮眠室とかなのかな? 中世系の作品だと、そういう部屋があるイメージだな。
 これも、なんとなくだけど触っては行けなさそうな場所も多そうだよな。
 この監視塔は、観光地用に整備されている場所というよりは、領兵の人たちの職場に入れてもらっている、社会科見学みたいなものの方が近い気がする。
 マルコさん以外に、この監視塔勤務の領兵の方は居ないのかな?
 1階部分には、誰も居ないようだった。
 俺たちは、他に寄り道することなく、まっすぐ階段を上り始めた。
 他の施設にも興味はあるけど、勝手にそっちを見だしたら、マルコさんに怒られそうだし、なにより、早く監視塔の上からの景色を見たいからな。

 監視塔のらせん階段は、人が1人通れるぐらいの幅だ。
 頑張れば、すれ違えるぐらいの余裕はあるけれど、2人が並んで歩くのは難しそうな幅になっている。
 俺たちは、俺、ローズ、コルドの順番に並んで、監視塔のらせん階段を上っていった。
 コンコン、コンコン。コツコツ、コツコツ。
 俺たちは、らせん階段を上る小気味いい音とともに、テンポよく階段を上っていく。

 俺は、らせん階段を上りながら、塔の内側を観察する。
 この塔は、1階の部分と、展望台部分しかフロアがないみたいだ。
 下を向けば、先ほどまでいた、下のスペースが見えるし、上を見れば、小さな天井のようなものが見える。真上を見れば、らせん階段の1周上の床が見える。
 これは、外からは分からなかったな。

 この塔のあかりは、塔の壁にいくつもつけられているランプのようなものでまかなわれている。
 ランプのような光源は、塔の壁の至る所につけられていた。
 それでも塔の中は全体的に薄暗い。
 明かりの強さは、火の明るさとは違い、ほんわかとした優しい明かりだ。
 魔法を利用したランプとかなのかな?
 どんな仕組みなんだろう?
 いわゆる魔道具みたいなことなのかな?
 もしかして、APOにも魔道具要素があるのかな?
 あるのだとしたら、楽しみだな。魔道具作りも今後やってみたいな。
 あのランプの取り替えはどうやって居るのかな? 一度取り付けたら故障することなく動き続けるみたいな、ありがたい道具なわけではないだろう。
 取り替えのための足場のようなものがあるようには見えないんだよな。
 もしかして、空を飛ぶ魔法か何かで、取り替えをしているのかな?
 現実的な案を出すとしたら、このらせん階段から棒のようなもので取り付けているのかな?
 まぁ、ゲームに世界としての完璧を求めているわけではないから、”ランプは故障することはない”でも良いんだけどね。

 俺は、上りながら別のことを考え出した。
 階段を上るとき、手すりは持つべきなのかな?
 俺は、外側にだけ取り付けられている手すりを見ながら思った。
 手すりの高さは、胸の位置ぐらい。
 手すりに手をかけるとしたら、変な位置になり、力は入りにくそうだな。
 俺は、幼稚園児の頃以外で、手すりを握りながら階段を上り下りをしたことがない。
 手すりが必要なほど、幼くないし、衰えてもいないと思っている。
 まぁ、そんなことはどうでもよくて、この手すりは多分、手すりとしての機能以上に、らせん階段を上っている人が階段から落ちないようにする、ガードレールのような役割の方が大きいんじゃないかな?
 いろいろと、余計なことを考えながら、階段を上っていった。

 登り出してから、2分弱。
 考えるのも、塔の内側を観察するのにも飽きてきたので、後ろを歩いている2人に話しかけた。

「門番の人、いい人だったね」

「好青年って感じだったわ」

「兵士とか門番の人って、もっと威圧的な感じなのかと思ってた!」


「マルコさんが好青年だと分かっても、門番の人と会話をするのって緊張しちゃうね」

「ずっと緊張しっぱなしだったわね」

「まぁ、いい人だと分かっていても緊張しちゃうよな!」

「「それはそう」」

 思ったよりも、塔の内部で声が響いて居るみたいだから、少し声を抑え気味にして、楽しく雑談をしながら、階段を上っていった。
 だんだんと天井が近づいてくる。
 登り始めてから、3分強。
 そろそろ階段を上るのにも飽きてきた。
 手すりをつかんで、下をのぞき込みながら、俺は愚痴をこぼした。

「今何週目? そろそろ着いてもよくない?」

「何週目なんだろうな! 無心で上ってたから分からないな!」

「そろそろ着いてほしいね」

「登り始めて3,4分は経ったわよね?」

「同じ気色が続いて、時間が流れる感覚もないな!」

 確かに、どれぐらい時間が経ったのか、時計を確認しなきゃ分からないぐらいには、時間の感覚が狂っているな。
 時々下を見て、入り口の方向を見ないと、方向感覚も狂ってくるな。

「らせん階段って、方向感覚を狂わせるよね。それと、時間の感覚も」

「そうだな!」

「実は永遠に同じ場所を歩いているんじゃないかって気がしてきたわ」

「そうだったら怖いな!」

「ループものにとらわれているのかもね。もしそうだったら、どうやって抜け出すんだろう?」

「乗ってこないでよ! 余計怖いじゃない」

「ネガティブに考えても階段は終わらないぞ! 楽しく雑談でもしていれば、そのうち着くんじゃないか?!」

「それはそうだな」

「そうね! もう気にしないわ。『ジョギング』スキルでも使いながら、楽しく上るわ!」

 俺は気合いを入れ直した。
 コンコンコンコン。コツコツコツコツ。
 変わらぬペースで、階段を上っていった。

 そういえば、だんだん塔が細くなって言っているな。
 地上の辺りだと、かなり手すりと塔の壁の間に空間があったのが、身を乗り出せば塔の壁に手が届きそうなぐらいまで近づいている。
 もしかして上に行くほど細くなっているのかな?
 上の方が小さく見えたのが、遠いからではなく、実際に小さくなっていたからなのかな?
 外から見て、上が細く見えていたのも、実際に細くなっていたから何だな。
 歩きながら俺は新しい気づきを得た。
 歩き始めて5分。
 そろそろ、ゴールが見えてきても良い頃、コルドが叫んだ。

「上の方からランプ以外の光を感じるぞ!」

「なんとなく新鮮な空気みたいなのを感じるね」

「ということは、もうすぐなのね!」

「5分ぐらい登り続けてようやくだな!」

「『ジョギング』スキルを使ったから、ほどよい疲労感だわ」

 そういえば、全然疲労感がないな。
 『ジョギング』スキルを手に入れると、疲労感という感覚が追加されるのかな?
 それとも、『ジョギング』スキルを使うと、疲労感をちょうど良いぐらいに調整してくれるのかな?
 もし、後者だとしたら、俺が疲労感をミリも感じていないのはなぜなんだろうな?

「どのステータスの補正か分からないけど、あまり疲れとかはないな」

「俺も、ほとんど疲れていないな!」

「HPもSTRも低いから、こんなに疲労感があるのかしらね? もしくは、同じ景色が続いた精神的疲労?」

「どっちか分からないな!」

「考えて分かることでもないんだし、今は、考えるのは止めましょう」

 かなり話が元々の話題からそれていたので、俺ははなしを断ち切って、元の軌道に戻した。

「話を本題に戻して、いまなら、どんな景色でもよく見えそうだよ」

「そうね。階段を上るのを頑張った分補正がかかる気がするわ」

「どんな景色なんだろうな?!」

「もうすぐ、後2回転分ぐらいかな?」

「それぐらいな気がするな!」

「あと少し頑張りましょう!」

 そろそろ、絶景が見えてきてもいい気がするんだよな。




しおりを挟む
「いいね」「お気に入り登録」「しおり」などもお願いします!感想も書いていただけると嬉しいです。
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜

八ッ坂千鶴
SF
 普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。  そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……! ※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~

夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。 多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』 一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。 主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!! 小説家になろうからの転載です。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く

オイシイオコメ
SF
奇跡の保存状態で頭部だけが発見された戦国時代の武士、虎一郎は最新の技術でデータで復元され、VRゲームの世界に甦った。 しかし甦った虎一郎は何をして良いのか分からず、ゲーム会社の会長から「畑でも耕してみたら」と、おすすめされ畑を耕すことに。 農業、食堂、バトルのVRMMOコメディ! ※この小説はサラッと読めるように名前にルビを多めに振ってあります。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

処理中です...