Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

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『クランの町フラッグ』観光 家具屋 500KG!!!

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「ちなみにお値段ってどれぐらいですか?」
 俺は恐る恐る聞いた。
 マージュさんは、自信ありげにこういった。

「こちらの商品ですと、500KGです」

 俺たちは、マージュさんの言葉を聞いて、無意識に言葉をそろえて驚いた。

「「「500KG!!」」」

 そんなにするんだ。
 まぁ、そうだよな。
 家具って安いわけがないよな。
 一生ものだしな。
 そうだよな。
 500KGか。500KGかぁ。
 スキルオーブガチャのリッチ向けガチャ5回分か。
 完全ランダムガチャだと40数回分か。
 かなりの額だな。
 でも、そのぐらいの価値は確実にあるよな。
 500KGか。
 購入をためらうというわけではないが、その値段に圧倒されている。
 間違いなくAPO内で、今までで一番高い買い物だ。
 今はこんなに衝撃を受けているけど、他の家具を買っていくうちに金銭感覚がずれていくのかもな。
 あれ? そもそも俺たちって、500KGも金を持っていたっけ?
 まとまった依頼の処理を最後にしたのはいつだっけ?
 不安になってきたので、2人に確認を取る。

「直近でいつ依頼祭りしたっけ?」

 俺が、そう言うと、「500KG!!」といったまま止まっていた2人が動き出した。
 もしかして、2人は衝撃で固まっていたのかな?
 自分の内側に集中しすぎて、2人が固まっていることに全く気づかなかったな。
 俺の問いにまずは、コルドが返してくれた。

「クランつくるときは、しなかったよな!」

「昼前よ。『ビッグラビット』の周回が終わって戻ってきた時よ」

 あぁ、あのときか。
 俺が途中で気になったことがあったから、受付に聞きに行っちゃって終わらなかったやつだ。
 2人は黙々と作業していたし終わったのかな?
 まぁ、終わったんだろうな。
 そうすると、俺の所持金が2人と比べて少ないってことになるのかな?
 その場合、誰がどれぐらい出すかとかも決めなきゃだよな。
 そもそも、3人合わせて所持金が500KGを超えているのかな?
 不安になってきたな。

「あぁ、あの時か。それから大きな買い物とかはしていないよな。ちなみに、今の所持金っていくらぐらい?」

 それからおのおのがストレージに入っている所持金の額を確認した。

「私の所持金は216KGくらいよ。昼前に素材を全部依頼消化に回したから、こんなもんよ。手元にある、ゴブリンとか、『ビッグボスゴブリン』の素材とかを換金すれば、もうちょっと行くと思うわ」

「俺は、184KGぐらいだな! 昼前の依頼消化の時に、休憩を入れつつやっていたから、少しだけ素材が残っちゃったんだよな! その素材と、ゴブリン系の素材を合わせれば、ローズと同じぐらいまで行くと思うぞ」

「俺は、153KGぐらいだな。昼前の時は、受付の人と話してたりしたから、午前中の素材も結構余っちゃってるんだよな。俺も、今ある素材を全部依頼に回せば、ローズと同じぐらいまでは行くと思うぞ」

 俺の所持金が、一番少ないみたいだな。
 まぁ、昼の時に終わらなかったから仕方がないな。
 ざっくり計算したけど、全員足せば、500KGは超えるな。
 よかったよかった。
 これで、ソファを買うことはできるな。
 コルドが珍しいものを見たという顔をしていった。

「オクツが一番金がないのは珍しいな!」

「そうね。貯金とかをちゃんとするオクツにしては珍しいわね」

 ローズの少し笑いながら言った。
 俺は少しだけ低めのテンションで言った。

「まぁ、昼にちゃんと依頼の処理ができなかったし仕方がないな。それと、俺は使うところはちゃんと使うぞ。使いどころをきちんと見極めているだけで」

 俺がいじられたことで、意識せずに流れていた500KGと聞いてからの切羽詰まった感じがなくなった。
 全体的に空気に余裕が出た気がする。
 俺がいじられたからではなく、全員分の資金を足せば、このソファが買えるという安心からかもしれないけど、いつもの緩く楽しい空気が戻ってきた。
 ローズがそれていた話を本筋に戻した。

「合わせて、現金だと550KGくらいなのね。いくつか家具を買おうと思っていたけど、ソファ1つで限界ね」

 何個か家具を買うつもりで来たけれど、さすがにソファ以外は買えないな。
 まぁ、仕方がないか。
 ゴブリン系の素材をギルドで換金したらまた来よう。

「今の所持金じゃ、ソファを買ったら、さすがに他のものは買えないな」

「机とか椅子とかは後日だな!」

「まぁ、ソファは買えるみたいでよかったわね」

「じゃあ、このソファを買いますか」

「そうだな」

「そうね」

 そういえば、クランのソファって、何個もあるから、買うソファを1個に絞らなくてよかったんじゃないか?
 まぁ、予算的に1つしか買えないから、1つに絞る必要はあったんだけど、値段を聞く前の時は、迷うなら全部買うみたいな選択をとってもよかった何じゃないかな?
 俺はふとそう思い、ソファを買う流れを一度止めていった。

「今思ったんだけど、クランって、初期の家具を置き換えるにしても、ソファを置く場所が何個もあるから、それぞれ重視するものを変えてみてもいいかもな」

「確かにそうだな!」

「そうね」

 2人は、少し驚いた後、うんうんと頷きながらそういった。
 2人も気づいていなかったらしい。
 俺たちの中で、ソファは1つという固定観念があったのだろう。
 気づかぬうちに無意識にそう思っていたのだろう。
 固定観念って怖いな。
 そう思っていると、今度は、コルドが話の流れを止めていった。

「今思ったんだけど、クランって、初期からある程度の家具がついているだろ? その初期の家具からわざわざ変える必要ってあるのか?!」

 変える必要か。
 確かに家を手に入れたら、とりあえず家具を買うという気持ちで、この家具屋に来たな。
 必要性か。必要性。
 本拠地に備え付けられている家具は、最低限のものを最低限の品質でおいているだけだから、俺としては、買い換えた方が良いと思うぞ
 必ずしも必要なわけではないが、クランバフとか、これからあの本拠地を使っていくときに必要になってくる使い心地などの面でも変えた方が良いと思うな。

「確かに、おすすめされたし、家を手に入れたのだからまずは家具屋かなって思ってきたけど、初期の家具があるのにわざわざ買う必要ってあるのかしらね?」

 ローズまで、コルドと同じようなことを言い出してしまった。
 このままでは、ソファを買わない流れになってしまう。
 そう思った俺は、2人を説得するように言った。

「良い家具で生活したいと思うし、買う意味はあるんじゃないか。初期の家具は、普通よりちょっと悪いぐらい品質の家具だし、使い心地の良いものを使うために少しずつでも買い換えていくべきじゃないか? それに、クランバフとかも大事になってくるだろうし、家具を買う競合がいない今から買っておく方が良いと思うな」

 俺の言葉をかみ砕いていく2人。
 しばらく沈黙が流れた。
 たっぷり間を取って、満を持してローズが言った。

「そうね。そうよね。あまりに高い買い物だったから、思考がそっちの方向に向いていたわ。家具を買う必要はあるのよね。買いましょう」

 よし! まずはローズが家具を買うことについて肯定派になった。
 続いて、コルドが言った。

「スキルオーブガチャのリッチ向けガチャ5回分だと思うと、すごく高く感じられて、思わず買うのを躊躇しちゃったな! 買おう!」

 よし! コルドも、肯定派になった。
 危なかった。2人共が否定派に回っていたら、家具を買わずに店を出るところだった。
 そうだよな。不安になるよな。躊躇しちゃうよな。わかるめちゃくちゃわかる。俺も躊躇しそうになったし。でも、このソファがほしくてなんとか踏ん張った。踏ん張れた。
 このソファじゃなくて別のソファとか、別の家具を買うってことだったら、不満はないけど、満足しているわけではない今の家具のままでもいいかと思って、帰っていたかもしれない。
 このソファでよかった。
 これでスムーズに買い物ができる。


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