Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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『ファースト』の本拠地 リビングから二階

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 エントランスの奥の壁には、左右に2つの扉があった。
 そのうち、左の扉を開けた。
 そこには、これこそリビングという風なリビングがあった。
 家具は、エントランスと同じように最低限だけ。
 ソファが4脚に低いテーブルが1脚。
 くつろぐ場所という雰囲気が出ている。
 俺たちは、リビングに入った。

「こっちがリビングだな」

「そうね。そんな感じがするわね」

「何人用なのかな?!」

 広さ的には、エントランスと同じぐらいありそうだな。
 いや、エントランスよりは少し狭いのかな?
 あっちが、15,6人用ぐらいのサイズ感だったから。こっちは10人前後ぐらいじゃないかな?

「10人前後じゃない?」

「俺もそう思う」

「その人数を超えたらどうなるんだろうな?!」

 確かに、本拠地のキャパを超えるメンバー数になったらどうするんだろうな?
 それと、これからどんどん次の町、次の町ってなったときに、前線からこの本拠地が離れすぎるとつかいづいらいけど、そこのところはどうなってるのかな?

「どうなるのかしらね?」

「わからないけど、追加のクランメンバーをギルドで登録するときに、クランカウンターで教えてくれるんじゃない?」

「確かに! そのときにでも聞けば良いか!」

 リビングを見ながらも、エントランスにあった右側の扉の奥が気になって、全く集中できなかった。リビングの内装は後でじっくり見よう。
 だから俺たちは、リビングの方はそこそこに、一度エントランスまで戻って、次は右の扉を開いた。
 こっちの扉の向こうには、ダイニングがあった。
 12脚の椅子と、12人掛けのテーブル。
 それだけがおいてあった。
 シンプルな作りの部屋だな。

「こっちは、ダイニングだな」

「椅子が12脚あるわね」

「じゃあ、ここは12人想定の建物なんだな!」

 椅子が12脚ということはそういうことなんだろう。
 12人がこの本拠地のキャパなんだろうな。
 この部屋と、さっきのリビングは扉でつながっていた。
 リビング側の扉は、リビングを詳しく見ていなかったから見落としていた。
 俺たちは、ダイニングとリビングをつないでいる扉から、リビングの方へ来ていた。
 リビングのソファに腰掛けて話した。

「1階は、共用スペースだな」

「そうね」

「そうだな」

 3人で話しながら、じっくりリビングの内装を見た。
 すると、奥の壁に壁と同色の扉を見つけた。
 もうちょっと目立つ色にしてほしいな。
 あの奥には何があるのかな?
 そう思ってソファから立ち上がった。
 俺がゆっくりソファから立ち上がっている間に、コルドは扉をかけて奥をのぞき込んでいた。
 コルドは、こっちを振り返り言った。

「こっちに、階段あるぞ! 上ってみようぜ!」

 階段は大事なんだから、もう少しわかりやすい場所に置いてよ。
 かくすような配置は止めてよ。
 ぱっと見だと、気づけないよ。

「2階もあるんだな」

「行ってみましょう」

 俺たちは、階段を上がっていった。
 階段はそこまで急なものではなく、踊り場があるタイプの階段で、上りやすかった。
 これから日常的に使っていく場所だから、こういう細かな良さも大切にしていきたいな。
 階段の途中でも俺たちは話していた。

「2階には何があると思う?!」

 ローズが自信たっぷりに言った。

「私は、個室だと思うわ」

 俺は、少し考えたあと、真剣に言った。

「俺は、応接室的な場所かな」

 コルドは、いつものように元気いっぱいに言った。

「俺は、会議室!」

「これで、屋上とかだったら、それはそれで面白いな」

「その可能性もあるわね」

 全員が、次の回には何があるのかとわくわくしている。
 雑談しながら俺たちは階段を上っていった。
 階段を上っていくと、正面に扉があった。
 階段は、まだまだ上に続いているみたいだ。
 ということは3階もあるのかな?
 3階もあると思うと、この本拠地かなり広いんだな。
 階段が上に続いていることを確認したコルドが、はしゃぎながら言った。

「さらに上があるみたいだぞ!」

「そっちは、2階を見終わってからね」

 俺たちは、2階の扉を開いた。
 2階は、1階の3部屋を合わせたぐらいの広さの作業場があった。
 その広い作業場には、作業台が6つ置かれていた。
 広々と空間を使っている。
 贅沢な場所の使い方だなぁ。
 この作業台、ギルドの作業場のものより、1周り大きい気がする。
 クランの方が良い作業環境ということなのだろうか?
 6台の作業台のほかには、部屋の奥側に棚のようなものが並んでいた。素材でも置く場所なのだろうか? それとも、このクランの倉庫的な役割なんだろうか?
 棚は、何列かになっていて、部屋の3分の1を占めていた。
 かなりの大きさの棚だな。
 作業台6台で、部屋の3分の2を通っている方が異常なのかな?
 一旦座って話をするか。
 2人が、この部屋を見てどう思ったのかも気になるし。
 俺たちは、作業台に収納されている椅子に腰掛けた。

「2階は、物置と作業場って感じか?」

「かなり広い作業場ね!」

「他の人がいないし、作業台もゆとりを持った配置だし、快適に作業ができそうだな! まぁ、俺が使う機会はあまりないだろうけど!」

 この設備に、ササキさんとかミヤネさんとかは満足してくれるかな?
 せっかく、『ファースト』に来てもらう人には、できる限り良い環境で作業させてあげたいな。
 福利厚生って大切だよね。
 実際まだ誰も誘っていないから、こんなことを考えていても捕らぬ狸の皮算用だけど、気になるものは気になっちゃうな。
 ついでに、クランに誘うときの、クランの宣伝ポイントにもしたいしな。

「この設備で、『ファースト』に誘う生産職の人たちは満足してくれるかな?」

 ローズは少し悩んだ後、言った。

「ギルドよりは良いんだし、現状だと最高の環境なんじゃない?」

 コルドは、面白いことを思いついたという顔をしていった。

「もしかしたら、この作業場もカスタマイズできるかもな! 作業台とかも!」

 作業台のカスタマイズか。
 面白そうだな。
 できるとしたらどんな風にカスタマイズされるのかな?
 いらない生産設備を抜いて、専門性の高い設備を入れるとかかな?
 それは面白そうだな。
 それなら、おすすめできる要素だな。
 興味を持ってもらえそう。

「それができたらかなり面白いな」

「生産職の人6人誘うんでしょ? ちょうど1人1作業台になるわね!」

 ササキさんに、ミヤネさん、けんけんぱさん、ダイアさん、クジョウくん、天野さん。
 本当だ、ちょうどぴったりだ。
 もし全員来てくれても、最低限、1人に1台渡せるな。

「カスタマイズするとしたら、カスタマイズ用に1人1作業台を渡せるな!」

 カスタマイズの話で流れたけど、そもそも、作業台が大きいってかなりのアドバンテージなんだよな。
 それだけでも良い環境だよな。
 大きければ、台の上にいろんなものを出せるし、一度にできる作業の量も増えるだろうし。
 それだけでもかなりの魅力だな。

「カスタマイズできなくても、ギルドより良い環境だしな」

 それから、俺ならこういうカスタマイズをするという話で盛り上がった。
 しばらく話した後、実際に、作業台を使ってみた。
 ものの出し入れをしてみる。
 俺は、調薬用の道具を出した。
 道具は、ギルドのものと全く変わらない。
 これが最低限の装備というやつなのかな?

「設備は、ギルドのものと変わらないわね」

 ローズの方もギルドと変わらなかったらしい。
 コルドは、そろそろ、作業場にも飽きてきたという表情をしている。
 そろそろ、次に移動するか。

「じゃあ、3階行くか」

 そういって、俺たち階段の方へと向かった。
 階段へ向かいながら、コルドはウキウキとした声で言った。

「3階には、何があるかな!」

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