Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

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クランの話 説明回

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 町の人に場所を聞いたりしながら、なんとか『クランの町フラッグ』のギルドまで来た。
 『クランの町フラッグ』のギルドも、内装はほとんど変わらなかった。
 一カ所だけ違うところがあった。
 それは、依頼カウンターの横に、クランカウンターというものがあった。
 多分、俺たちの目的地はあそこだろうと思い、3人そろって、クランカウンターまで来た。
 クランカウンターの前まで来たところで、カウンターの奥に座っている職員さんに話しかけられた。

「こちら、クランカウンターです。クランに関する要件でしょうか?」

 俺は、少々緊張しながら答えた。
 こういう職員さんとか店員さんとかと話す時って、妙に緊張するんだよなぁ。
 なんでなんだろう?

「クランを作りに来ました。クランに関する説明を聞きたいです」

 職員さんは、俺たちの目を見ながら言った。

「クラン設立希望で、説明希望の方ですね。それでは、まずこちらの冊子をお渡しします」

 職員さんから、冊子を手渡された。
 職員さんと会話をしている俺だけではなく、斜め後ろから、頷きながら話を聞いているコルドとローズも受け取っていた。
 これは何の冊子なんだろう?

「これは何ですか?」

 俺は冊子を眺めながらそういった。
 すると職員さんが丁寧に説明してくれた。

「ここには、クランに関する様々なことが書いてある、クラン初心者向けの冊子です。私の説明を聞き逃したときや、忘れてしまったときに読んでください」

 こういう丁寧な説明を聞いたり、受け答えを聞いたりすると、最新のゲームのNPCのすごさを感じるな。
 感覚的には、ほとんど普通の人と話している感覚と変わらないな。
 むしろ、悪筆な人たちがいない分、NPCの方が話しやすいんじゃないかとすら思えてくる。
 もしかして、全員やトワレの人が操作しているんじゃないかと思うほど、違和感のない受け答えができるんだな。
 関心関心。
 さすがAPOだな。

「はい。わかりました」

 落ち着いたトーンで、職員さんが説明を始めた。

「では、説明させていただきます。クランとは、目的を持って活動する集団や互助会のことを言います。位置づけ的には、ギルドの中のグループ的なものです。クランには、ギルドなどから求められる役割などはありません。自由に活動することができます。その代わり。クランメンバーの行動に対する責任は、クランで取ってもらう必要があります。クランに入る・クランをつくるメリットの話をします。クランに加入することで得られるメリットは、クラン内でなら、ものの共有が簡単にできるということ、クランメンバー同士の通話や、チャットなどの意思疎通が簡単になるということ、クラン効果という、クランごとに持っているバフやデバフの影響を受けられることなどがあります。デメリットとしては、クランのルールに従わなければいけないことなどがあります。ここまでの説明は、理解いただけましたか?」

 頭の中で、1つずつ理解しながら、話を聞いていく。
 幸い、職員さんの話すペースはゆっくりで、頭が話している内容を吸収する時間を作ってくれている。
 このあたりも気遣いのできる人みたいだなぁと思った。
 俺は、自分の中で話をかみ砕きながら、理解していく。
 ちゃんと理解しながら話を聞けたから、自信を持って答えた。

「はい。大丈夫です」

 俺がそう言うと、職員さんは説明を再開した。

「では、続いて、クラン設立に関してのお話をさせていただきます。クランを設立する上での条件は、3つあります。1つ、クランの設立は、ここ『クランの町フラッグ』のギルドで許可を得て行うこと。2つ、クランのメンバーは、クランマスターと、サブマスターを行う、最低2名以上が在籍すること。3つ、ここクランカウンターでクラン設立に関する説明を受けることです。この3つを達成すれば、クランを設立することができます。ギルドからの許可は、前科などがなければ基本的には通ります。ご安心ください。そのほか、クランの特典などは、先ほど渡した冊子をご覧ください」

 ここで、職員さんが一呼吸入れた。
 こういうところも人間ぽいんだよなぁ。

「最後に、本拠地の話です。クランの本拠地は、ギルドから貸し出された『クランの町フラッグ』内の物件になります。本拠地を変えることはできません。本拠地でのみ行えることがあります。詳細については、冊子をご確認ください。以上が、クランの説明となります」

 職員さんが説明を終えた。
 内容は大体理解することができた。
 細かいところは後で冊子を確認しようと思った。
 それにしても、この文章量を何も見ずに言えるってすごいな。
 まぁ、NPCだから当然なのかもしれないな。
 この文章量をすらすら言えるところが唯一、人間っぽくないポイントかもしれないな。
 それぐらいしか違和感がなかった。
 一緒に聞いていた2人はちゃんと理解ができたのかが気になったので、後ろを振り返った。
 2人は、うんうんとうなずいていた。
 多分話の内容をある程度理解できたんだろう。
 まぁ、小中居ところは追々やっていくことだろうし、大枠が理解できていたら良いのかな。
 前に向き直ると、説明を終えて一息をついた職員さんにさらに話しかけられた。

「クランの設立を行いますか?」

 俺は再び2人の方を振り返った。
 とりあえずつくるか2人に聞いてみた。

「どうする? 今つくる? それとも、冊子の内容とか熟読してからつくる?」

「今つくろう! 冊子を熟読している間に、他の人がクランをつくっちゃったら、最初のクランにならないし! 最初にこの町に来たんだから、せっかくだし最初のクランになろうぜ!」

「私もそう思うわ」

 2人はかなり乗り気のようだ。
 じゃあつくろうかなと思いかけたところで、後ろから職員さんに言われた。

「クラン内のルールの設定など、後から行う設定が多く、今決めることは、クランマスターとサブマスターぐらいで、それも後から変更可能なので、とりあえず、今つくってしまっても良いと思いますよ」

 へぇ、そうなんだ。
 じゃあなおさら今つくっちゃうか。
 最終的には、職員さんに背中を押されて、今、クランをつくることに決めた。

「じゃあ、今つくっちゃいます」

「登録するクランマスターの方と、サブマスターの方を決めてください」

 職員さんにそう言われたので、少しだけ自慢げに言った。

「決まっています!」

 職員さんは、表情を崩すことなく、次の指示をくれた。

「クランマスターの方と、サブマスターの方のギルドカードの提出をお願いします」

 俺は、ストレージから、ギルドカードを取り出して職員さんに渡した。
 ローズも同じように渡していた。
 俺たちのギルドカードを受け取った職員さんは、手元にある機械で作業を始めた。
 何をしているんだろ?

「照合中です」

 しばらくして、手元の機械を動かすのを止めていった。

「こちら、ギルドカードです。返却いたします。前科や、依頼失敗などがないため、すぐにギルドからの許可が下りました。今すぐ、クランをつくることができます」

 そう言って職員さんがギルドカードを返却してきた。
 俺は、ギルドカードを受け取りながら言った。

「じゃあ、お願いします」

「クラン設立後でもかまわないんですが、手続きを簡単にするために、クラン設立前に、こちらの用紙にクラン名などの項目を書いていただけるとありがたいのですが、書いていただけますか?」

 職員さんがどこからか、紙みたいなタブレットを取り出した。

「あぁ、書きます」

「こちらの用紙のここと、ここと、ここに、それぞれ書き込んでください」

 そう言って、職員さんが紙みたいなタブレットとペンを渡してきた。

「そっちのカフェスペースで記入をしてきてください」

 ギルド内にあるカフェスペースをさして職員さんが言った。
 まぁ、各箇所は、相談して書かなきゃいけないようなところが何カ所かあったから、カフェスペースで書いてくるのは納得だ。
 だけど、さっき、今決めることは、クランマスターと、サブマスターぐらいだって言ってなかったっけ?
 任意っぽいほとんど強制のそういうのどうかと思うよ。
 普通に、書くけど!
 そう思いながら、俺たちはカフェスペースに移動した。







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