Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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『ビッグボスゴブリン』リベンジ道中 雑談と軽い戦闘

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 俺たちは雑談をしながら、『ビッグボスゴブリン』のいる場所へと向かって歩いている。
 早く戦いたいという気持ちの表れか、3人とも小走りぐらいのペースで歩いている。
 そのペースも徐々に速くなっていっている気がする。
 ちょうど話が一区切りして、無言の時間が流れた。
 しばらくの沈黙の末、コルドが驚いたように言った。

「なぁ、今気づいたんだけど、『ビッグラビット最遅討伐(記録32分18秒13)』って記録がさ、『元ビッグラビット最遅討伐(記録32分18秒13)』に変わってるぞ!」

「まじ?!」

 そういって俺は、すぐにステータスを確認した。
 すると確かに、『ビッグラビット最遅討伐(記録32分18秒13)』という称号が、『元ビッグラビット最遅討伐(記録32分18秒13)』という称号に変わっていた。
 まぁ、最遅記録って不名誉なものだから、他の人の称号になる分にはかまわないな。
 誰かが、『ビッグラビット』との戦いの中でへまをしたのかな?
 それにしても、記録が塗り替えられるとこういう風に称号が変化するんだな。
 これなら、記録を抜かれても称号の数が減らないからいいな。称号を数集めるときにあるがたい気がするな。

「本当ね! 今まで気づかなかったわ」

 ローズも同じように驚いている。

「ということは、俺たち以外の誰かが、『ビッグラビット』を俺たちよりもゆっくり討伐したってことだよな?!」

「「そう(ね)(だな)」」

 俺たちが首を振りながら相づちをうった。

「これって、他の人が俺たちより1日遅れてるってことなのかな?! それとも誰かがめっちゃへましたのかな?!」

 コルドが聞いてきたことに、まずはローズが答えた。

「誰かがへましたんじゃない? さすがにリリース3日目で、2番目の人と1日差が出るとは考えづらいし。まぁもしかしたら、攻略組の人たちは、『ビッグラビット』に興味がないのかもしれないわね」

 俺も、ローズと同じようなことを思っている。
 さすがに短期間でそこまでの差が出るものなのか?
 それも、24時間APOをやり続けるみたいな廃人プレイの人たちではなく、睡眠や食事など、休憩を挟みながら朝から夜までしかゲームをしていない、基本的にはエンジョイ勢の俺たちから、2番手が1日も遅れるなんてゲームバランスとしてどうなんだろう? と思ってしまう。だから、誰かがへましたんじゃないかな?
 俺もローズの主張に乗っかっていく。

「俺も誰かがへましたんだと思うぞ。2番目が俺たちからまる1日ぐらい遅れてるとしたら、他の人の成長が少し心配になるな」

「何で心配になるんだ?」

 純粋に何でだろうという顔をするコルド。
 そのコルドに説明するように言った。

「俺たちは廃人プレイ勢とかじゃないのに、2番目の人と1日も間が開いているんだとしたら、まずは、ゲームバランスが心配になるよな。それに、先に行きすぎると言われもない逆恨みとかしそうじゃん。あとは、後ろがちゃんとついてこないと不安じゃない?」

 コルドは、何でだろうという表情から、表情が変わり、納得した顔をした。
 だけれど、少しだけあきれたような顔をして言った。

「余計な心配だと思うぞ!」

「そうかな?」

 そういいながら俺は、ローズの方を向いた。

「それは、私も心配しすぎだと思うわ!」

 ローズもそう思うのか。
 俺はちょっとだけしょんぼりしながら言った。

「そうなのかなぁ……」

 コルドが、俺を励ますような雰囲気を出しながら言った。

「まぁ、人のことを心配する前に俺たちのことだな!」

 コルドにそう言われて、気持ちを入れ替える。
 他あの人がどれだけ進んでいるかの心配をする前に、自分の心配をしなきゃだよな。
 これから『ビッグボスゴブリン』と戦うんだし。

「コルド、いいこと言うわね!」

「そうだな、余計な心配する余裕はないな」

 気持ちを切り替えたところにすぐ、ゴブリンの群れが来た。
 ちょうどいいウォーミングアップだな。

「早速、5匹のゴブリンの群れが前から来ているぞ!」

「まずは、私とオクツで魔法を打ちましょう!」

「5匹ぐらいでわざわざ立ち止まるのもしゃくだし、進みながら行こう」

 いちいちゴブリンにかまって止まっているのもしゃくだから、俺たちは進みながら相手にすることにした。
 俺とローズは同時に『魔術(初級)』の『ダブル』を発動した。
 『ダブル』は、次に唱えた魔法を2つ同時に使う代わりに、使った魔法の3倍のクールタイムを要求されるというものだ。
 2人して『ダブル』を唱え終えると、俺は『ウォーターランス』を、ローズは『ファイアランス』を発動した。
 同じタイミングで、俺たちの魔法はゴブリンに向かって飛んで行った。
 同時に飛んで行った魔法は、AGI値の高い俺の魔法から着弾した。


 228ダメージ
 追撃! 25ダメージ
 228ダメージ

 2つの『ウォーターランス』をぶつけて、やっと1体のゴブリンを倒すことができた。
 少し遅れて、ローズの魔法が着弾した。


 886ダメージ
 886ダメージ


 ローズの高火力の魔法は、1つの『ファイアランス』で1体ずつのゴブリンを焼き払っていった。
 俺が1体、ローズが2体のゴブリンを倒して、残るゴブリンは後2体。

「鉄球投げるぞ!」

 だんだんとゴブリンが近づいてきて、ようやく鉄球の射程範囲に入ったので、鉄球を『投擲』『サイドスロー』のスキルを使って投げた。
 現実の世界で鉄球をサイドスローしたら、確実に手首とか肘をやるな。
 派手さはないけれど非現実的だなぁと思いながら投げた。
 投げてはストレージから鉄球を出し、投げてはストレージから鉄球をだしと、5球ほど鉄球を出した。
 『投擲』や『サイドスロー』の補正やDEXのおかげで、1球目と2球目がきちんと同じゴブリンに着弾した。


 223ダメージ
 追撃! 25ダメージ

 223ダメージ
 追撃! 25ダメージ


 2球の鉄球を浴びたゴブリンはあっさりと倒れた。
 これで残り1体!
 5球投げたうちの3球目が、少し遅れて最後のゴブリンに着弾した。


 クリティカル! 604ダメージ!


 クリティカルが出て、一発で最後のゴブリンを葬り去った。
 クリティカルとは運がいいな。
 3球目がクリティカルで一発で最後のゴブリンを倒したことによって出番を失った4球目、5球目は、最後のゴブリンの居た場所を通り過ぎて少し奥に着弾した。
 一瞬、投げた鉄球を回収しに行こうとした。
 そういえばこの鉄球、3分経ったら自動的にストレージに返ってくるんだったと思い、鉄球を取りに行くのをやめた。
 周囲の安全を確認する。
 さっきの1体で、今のところ確認できる、俺たちに向かってきたゴブリンは最後のようだ。
 これで敵が居なくなった。
 少し進めばまた別のゴブリンが出てきて戦闘になるだろうが、一時的に敵が居なくなった。
 臨戦態勢を解き、歩きながら話した。

「倒し切っちゃったな!」

 コルドから、戦いたかったという雰囲気があふれている。
 そんなに戦いたかったのなら、コルドに1体残しておけばよかったかな?

「剣の出番がなかったな」

「本命の『ビッグボスゴブリン』まで、体力温存とでも思えばいいわ!」

「そうだな!」

「そうだな」

 始まりの町を出て10分強。『ビッグボスゴブリン』がいる場所まであと少しだ。
 そう思いながら1歩ずつ歩みを進める。
 早く『ビッグボスゴブリン』と戦いたいな。リベンジしたい!
 少しずつわくわくしてきたな。
 今の状態なら、『ビッグボスゴブリン』に勝てるんじゃないかな?
 そんなことを思いながらも、楽しく雑談をしつつ俺たちは、『ビッグボスゴブリン』のいた場所へと向かっている。











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