Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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スキルオーブガチャ?!!その2 集合から、ガチャ開始!!!

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「どうする? やるかい?」

 おばあさんは、俺たちに声をかけた後、首を傾げた。
 俺たちに、なにかおかしいところがあったのかな?
 どうしたのだろう?

「おや、もう1人の元気な坊主はどうしたんだい?」

 あぁ、コルドがいないことか。
 確かに今までは、3人でスキルオーブ屋に来てたから、コルドがいないのが不思議だったんだろう。
 今のNPCってそんなに高度なAIを積んでいるんだ。
 過去に2回しか来てない奴の情報がちゃんと入ってるってすごいな。
 人でも、できる人はほとんどいなさそうだな。
 おばあちゃんなのに、メイさんはすごいな!
 俺は、丁寧に言うことを心掛けながら説明した。

「今そいつと待ち合わせしてまして」

 メイさんは「あぁ、そうか」みたいな顔をした。
 その後店の扉を開くと、店内を指さしながら言った。

「そうかい。それなら店内で待ちな」

 メイさんの言葉を聞いて、ローズが返答しながら入っていった。

「お言葉に甘えさせてもらいますわ」

 俺も、ローズに続いて店に入っていく。
 俺たちが入ったのを確認して、メイさんは、店の扉を閉めた。
「カランッ」とドアベルが鳴った。

 店内は前に来た時から随分変わっていた。
 店内の半分がガチャコーナーになっていた。
 ガチャスペースは、並んでいるガチャガチャと、それを開封するためだと思われる、机と椅子が何脚か置いてある。
 残りの半分は、前回よりも効率的に配置された棚に、所せましにスキルオーブが置いてある。
 だいぶ内装を変えたなぁ。
 俺は数時間でここまで変わるのかと驚いていた。
 俺たちは、ガチャコーナーにある椅子に腰かけた。
 俺は座ってすぐに内装への感想を言った。

「ガラッと内装が変わったんですね!」

「何十年も同じ内装だったから、久しぶりに内装を変えてたんだけど、慣れなさと、新鮮さがあるよ」

 メイさんは、すがすがしそうな顔をしながら言った。
 何十年も同じ内装だったのに、数時間でこんなガラッと変わるもんなんだ。
『ガチャ』が、運営が準備してた要素かもしれないけど、こう、数時間にガラッと変わると、ゲームと分かっていてもびっくりするな。
 俺が、内装の変化に驚いている間に、今度はローズがメイさんに話しかけた。

「なんで、ガチャを始めたんですか? 前来たときはやってなかったと思うんですけど」

「最近の流行りに乗ってみようと思って、若い客に何が受けるか聞いてみたら『ガチャ』が良いと言っておったから、始めてみたんだよ」

 これからも流行りに乗ろうと思うってすごいな。
 さすが商売人という感じだな。
 若い客の意見を受け入れられるってすごいな。
 メイさんの方が、若い客とは比べ物にならないくらいの人生経験しているだろうに。
 それにしても、メイさんに『ガチャ』を提案してくれた、”若い客”ナイス!
 そういう設定なだけで、運営が用意したのかもしれないけど、なんで出来たのかを聞くのって面白いな!

「そうなんですね」

 メイさんが、軽く聞いてきた。

「あんたらも、ガチャをやっていくのかい?」

 何故かそのセリフが、めちゃくちゃNPCっぽく感じた。
 俺は、少しだけ元気よく答えた。

「そうしようと思ってます! まぁ、コルドが来てからですけど!」

「ガチャを設置してから、売り上げがうなぎ上りでね。正直驚いているんだよ」

 メイさんが、嬉しそうにそう言った。
 メイさんの目がお金になってた気がする。
 普段は優しいおばあさん感があるのに、たまに垣間見える金の匂いに敏感な感じが、職人とかってよりは、商売をやっている人って感じがする。

「みんな、ガチャが好きですからね」

「なんでそんなギャンブルをしたがるんだろうね?」

 メイさんが不思議そうに言った。
 まぁ、メタ発言をするなら、プレイヤーは、ゲームでギャンブルをして負けたところで、あまり損害に感じないからじゃないのかな?
 まぁ、そんなこと言わないけど。
 この世界に則した理由だと、始まりの町だからかな。”ここから一山当ててやろう! ”って考えのやつが、この町にあやかるために、いっぱい来るからなんじゃないかな?
 俺はそれを、ふんわりと伝えた。

「ここから、冒険を始める奴なんて、ギャンブル好きですよ!」

「確かにそうね」
 メイさんはそう言って納得した様子だった。

 それからしばらく雑談をした。
 偶々なのか、その間に店に来る客はいなかった。
 本当に繁盛しているんだろうか?
 それとも混雑防止か何かで、個別のフィールドになってるとかなのだろうか?
 繁盛しているのかちょっとだけ不安になった。
 あれ、もしかして貸し切りなのかな? って途中思ったけど、まぁ、ないだろう。
 そんなお得意様でもないしな。
 雑談を楽しんでいると、急にメイさんがつぶやいた。

「待ち人が来たみたいだね」

 なんだろう? 意味深なことを言ってどうしたんだろう? そう思った瞬間、「カランッッ! カランッッ! カラン!」と豪快なドアベルの音が聞こえた。
 ドアベルの音に気を取られていると、急に目の前にコルドが現れた。
 あぁ、コルドが入ってきたのか。気づかなかった。
 もうちょっと丁寧に入ってきて欲しいものだな。
 音の豪快さがコルドらしかったけど、ドアベルの音がデカ過ぎて怖かったぞ。

「おまたせ!」

 あぁ、待ち人って、俺たちの待ち人か。
 メイさんが誰かを待ってたのかと思った。
 ローズは、和やかに雑談しているところに、急に入ってきたコルドに驚いている。

「びっくりしたわ!」

 コルドが来たということはやっとガチャができる。
 せっかくフルダイブのVRMMOをしているのに、テーブルを囲んで和やかに雑談っていうのは、ちょっともったいない。楽しいけどね! 雑談も!
 ゲームならではのことをそろそろしたいと、少しだけ思ってたのだ!

「お! 来たか」

「オクツ! 誘ってくれてありがとうな! 1人だけ蚊帳の外になってたら、明日は拗ねてログインしてなかったかもしれない!」

 コルドよ、それってそんなに堂々と言うことなのか?
 俺は思わずツッコミを入れてしまった。

「そんなにか?」

 コルドも落ち着いてきたころ、メイさんに声をかけられた。

「3人そろったようだし、ガチャをやってくか?」

 俺たちは元気いっぱい息ぴったりでこたえた。

「「「やります!」」」

 このままいくと、『ガチャ』をしたいという気持ちが強すぎて、各自が勝手にやって終わりそうだ。
 それだと、なんか面白さが足りない。
 盛り上がりが足りないのだ!
 だから、俺は2人に、ガチャの回し方を提案する。

「3人バラバラで各自勝手にガチャを回してたら、招集した意味がないから、1人ずつ見守られながら回してこうぜ!」

 1回ずつ盛り上がった方が楽しいよな!

「「了解!」」

 俺たちの『ガチャ』がやっと始まった!



「じゃあ、まず俺から!」

 俺は『物理戦闘職向けガチャ』の前に立った。
 やっぱり、まずは、『ガチャ』側から、おすすめされているガチャから!
 一発の攻撃力が、2人に比べて低いから、それを補えるスキルのスキルオーブが出るといいな。
 必殺技! みたいなスキルのスキルオーブが欲しいな!
 あと、査定額の高いレアスキルとかがいいな! 当たりが欲しいな!
 1回20,000Gってそこそこ高いよな。
『ビッグラビット』の周回ができてなかったら、少しためらってたかもしれない。
 ポンポンできるようなガチャじゃないよなぁ。
 でも、普通にスキル買うのと比べると、安いのかな?
 まぁ、ものによるけど。
 ちなみに、2人は、俺の後ろからのぞき込むように立っている。

「俺は、この『物理戦闘職向けガチャ』を引くぜ!」

 俺は、『物理戦闘職向けガチャ』に20,000Gを入れた。
『1回』と書かれたボタンを押す。

 すると、『物理戦闘職向けガチャ』が光り出した。

「「「おぉ!」」」

 光が収まると、1つのスキルオーブが出てきた。


 スキルオーブ『脳筋化』を手に入れました。



 これはどうなんだ?
 これは強いのか?




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