Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

文字の大きさ
上 下
36 / 193

2日目の自由行動その2 個室で調薬談義~口動かして、手動かさず~

しおりを挟む
「ところで、オクツ君の調薬は何レベル?」

 ダイアさんに聞かれたので俺は素直に答えた。

「今は、Lv.2でもちろん入門です」

 すると、ダイアさんの表情は、優しい表情になった。
 子供を見るかのような優しい表情をしている。

「まだまだ調薬は初心者さんだ!」

「それなら教えられることがありそうです!」

 クジョウさんも「ふんす」という効果音が似合いそうなくらいぐいぐい来た。

「ちなみに、キャラクターレベルはいくつだ?」

「えーっと、Lv.10です」

 ササキさんの問いに何も考えずに、答えた。
 すると、さっきまで子供をあやすような表情をしてた、ダイアさんが驚愕の表情に変わった。

「え?! スゴッ!」

 ササキさんまで驚いていた。
 あ! そういえば、ササキさんにレベルの話とかしたことなかったかも。

「さすがオクツだな!」

「すごいです! 極振りじゃないのって、不利なんじゃないですか?」

 クジョウさんは「いろいろ教えるぞ!」って感じの気合いの入った雰囲気から、尊敬していますみたいな雰囲気に変化した。
 え? 極振りじゃないのって不利なの?
 確かにちょっとだけ特化っぽいコルドとかローズよりは火力が出ないけど、いろんなことができていいと思うんだけどなぁ。
 遠距離も行けるし、近距離も行けるし。
 継戦能力も高いと思うんだけどなぁ。

「極振りじゃないのって不利なの?」

 思ってることをそのまま言ったら、ダイアさんが意外そうな顔をした。
 その後、ダイアさんは「知らないのか」という顔をし、説明をしてくれた。

「掲示板とか、攻略サイトとかだと、極振りの検証ばっかりだよ! だから、話題にも出されない万能型? は、なんとなく不利なんじゃないかって言われてるよ」

「そうなんですね。攻略サイトも掲示板も見たことがないので知らなかったです!」

 へぇ、検証すらしないのかぁ。
 まぁ、検証があったとしても、攻略サイトを見る予定がないからいいんだけど。
 話題にすらならないのは、流行りが極振りだし、仕方がないかぁ。
 いままでって、VRMMOジャンルは、極振りとか、ロマンプレイみたいなのばっかりだったから、皆のあこがれがそっちに向いていたとしても仕方がないのかな? 流行ってるしなぁ、極振りロマンプレイ作品。俺もそういう作品好きだし!
 まぁ、でも、そういう作品って、どれも実際にフルダイブVRMMOができる前の作品だしな。参考にはならないよな!

「ちなみに、掲示板で高レベルだってイキってる人たちは、自称Lv.8とかです!」

 クジョウさんが追加情報をくれた。
 今までは、クジョウさんって心の中で言っているけど、なんとなく雰囲気的に、クジョウさんより九条君って感じだな。
 これからは、心の中ではクジョウくんって呼ぼう!

「へぇ、じゃあ俺って結構高レベルなの?」

 無自覚主人公みたいな発言をしちゃった!

「そうだと思います!」

「最前線レベルかな?」

 クジョウくんとダイアさんがおだててくれた。
 なんか気分がよくなってきた。

「言えるならでいいんだが、能力値ってどんなもんだ?」

「満遍なく振ってるので、こんな感じです」

 おだてられて気持ちよくなっているところに、ササキさんからそう聞かれたので、ノリノリで開示した。
 3人に消費値と能力値の部分だけを表示させたステータスを見せた。


 HP:163/163(132+15+16)
 MP:77/77(58+19)
 STR:96(45+38+13)
 VIT:31(15+16)
 INT:22(13+9)
 MND:16(10+6)
 DEX:20(12+8)
 AGI:59(31+28)
 LUK:36(19+17)


 すると、さっきレベルを言った時よりもリアクションが大きかった。
 俺の能力値ってそんなに驚くようなもんなのかな?

「え?! そんなに高いんですか?!」

「なんかもっと、全部20台から30台ぐらいの能力値だと思ってた」

 あぁ、満遍なくって言ったら、全部平均で上げてると思うのかな?
 とりあえず追加で説明をしつつ、話を振る。

「ステータスアップ系のスキルをいっぱい取ったんで。皆さんは調薬とキャラクターレベルってどんな感じなんですか?」

「俺は、調薬は初級のLv.5だな。なんとなくだが、もう少しでLv.5になりそうなとこだと思うぞ。キャラクターレベルは8だ。生産職だから、ゆっくりではあるんだが、確実に上がってるぞ。オクツに能力値と消費値を見せてもらったから、俺のも見せておこう。俺はこんな感じだ!」

 まず、ササキさんが能力値・消費値を見せてくれた。
 ササキさんはノリノリで能力値・消費値を見せてくれた。
「見せてもらったから見せる」とか消極的なことを言っていたけど、見てもらいたかったんじゃないのかな?
 ササキさんの能力値・消費値はこんな感じだった。


 HP:50/50
 MP:50/50
 STR:0
 VIT:0
 INT:0
 MND:0
 DEX:168(91+77)
 AGI:35(24+11)
 LUK:48(20+28)


 あれ?
 やけに消費値が低いな。
 なんでなんだろう?
 極振りとまではいかないけど、0の項目が4つもあるだいぶ偏ったステータスをしている。
 流行りに乗ったってよりは、無駄を極限まで省いたみたいな能力値をしている。

「今朝見せてもらった時より、結構上がってるな!」

 ダイアさんは、今朝も見せてもらったらしい。
 やっぱりササキさんって見せたがりなんじゃないだろうか?

「DEX以外にもステータスを振ってるんですね!」

「AGIがあった方が作業が速くなるんだ。LUKは良いことがありますようにという気持ちを込めてちょっとだけ振ってる」

 へぇ、AGIで作業の早さが変わるんだ。知らなかった。
 確かに起用だけど、めっちゃ動きが遅かったら、よりイライラしそうだな。
 ついでに、消費値が少ないことも聞いてみた。

「消費値が少ないのはなぜなんですか?」

「それはな、調薬にHPもMPもどっちも使わないから、初期の時以外で振ってないんだ」

「BPのままにしてるんですね!」

「そっちの方が、もし仮に今後HPかMPのどっちかが必要になった時に割り振れるしな!」

 確かになぁ。
 どっちかを使うことになった時のために取っておいているんだ。
 常にHPとMPのどっちも必要な俺にはできないことだな。

「じゃあ、次は私の番だね! 私は、調薬は初級のLv.2だよ。細工とかにも手を出してるから、調薬バカのササキよりは、レベルが低いよ! キャラクターレベルは、7だよ。ゆっくり上げてってるよ! じゃあ、私の消費値と能力値も見せちゃうよ!」

 続いて、ダイアさんが能力値・消費値を見せてくれた。
 ダイアさんも結構ノリノリで見せてくれた。
 もしかして、能力値とか消費値って自慢したくなるものなのかな?
 ダイアさんの能力値・消費値はこんな感じだった。


 HP:50/50
 MP:50/50
 STR:0
 VIT:0
 INT:0
 MND:0
 DEX:167(91+76)
 AGI:43(29+14)
 LUK:16(10+6)


 ダイアさんも消費値を初期以降振ってなさそうだ。
 薬師だとこれがスタンダードなのかな? それともあれか? βテスターの知恵ってやつか?
 まぁ、そこらへんはどうでもいいな。
 ダイアさんの能力値は、ササキさんとの同じく下3つにしかBPを振ってないみたいだ。
 これも、無駄を省いた結果みたいな能力値だなぁ。
 運がササキさんよりだいぶ低めなのがポイントかな?

「だいたい俺と変わらねぇじゃねぇか!」

「ササキさんより、LUKが低くてAGIが高いですね!」

 各々が能力値・消費値を見た感想を言っていく。
 最後に、ダイアさんが反応して終わる。

「あんまり、運任せにしたくないじゃん! 速く作業できた方が、いっぱいいろんなものを作れるし!」

「最後は僕ですね。ふたりとも、ゆっくりと言ってる割にレベルが高すぎるんですよ。僕は、調薬は入門のLv.7です。クラフターなので、だいたいの生産に手を付けていて、調薬に割く時間も労力も、専門の2人よりは少ないです! キャラクターレベルは、6です! 僕の能力値と消費値はこんな感じです!」

 最後は、クジョウくん。
 クジョウくんは、2人とは違って、職業が『クラフター』だ。
 だから、全然違う能力値・消費値が期待できる!
 クジョウくんもノリノリで能力値・消費値を見せてくれた。
 クジョウくんの能力値・消費値はこんな感じ。


 HP:10/10
 MP:123/123(120+3)
 STR:34(20+14)
 VIT:0
 INT:34(20+14)
 MND:0
 DEX:127(60+67)
 AGI:32(20+12)
 LUK:25(5+20)


 クジョウくんは、STRにもINTにもBPを振っていた。
 へぇ、同じ生産職でも、こんなに違うんだ。
 それに、消費値の方も振っている量は少し少ないけれど、ちゃんとBPを振っていた。
 見た目的には、2人とは全然違う能力値・消費値をしている。
 いろんなところに能力値を振っている感じが、俺と同じオールラウンダー感がある。

「お、全体的に上がってきたじゃねぇか!」

「クジョウは、装備が抑えめだよね!」

「必要なスキルがいっぱいあって、それらを買ってたらスキルを買うお金が残っていなかったので、装備は控えめです!」

 確かに補正値がちょっとだけ控えめな気がする。
 それもそこまで気にならないレベルだ。
 レベルが低いからかな? で済まされそう。
 というか、クジョウくんが控えめなんじゃなくて、ダイアさんとササキさんが装備をつけすぎなんじゃないかな? 俺も多分、2人と同じくらいつけてるけど!

「STRとかINTにも能力値を振っているんですね! それと、2人とは違って、結構消費値も振ってるんですね」

「僕は、調薬以外にも、鍛冶とか錬金術とかいろいろしてるので、必要な能力値が多いんです!」

 へぇ、いろいろやってるんだ。
 クラフターは、生産の中でのオールラウンダー的な職業なんだ。
 大変そうだなぁ。

「クラフターって、大変なんですね!」

「いろんなものが作れて楽しいですよ! それに、魔法も物理も生産にも手を出してるオクツさんよりは大変じゃないと思いますよ」

 クジョウくんから謙遜が返ってきたので、謙遜で返した。

「俺は完全なエンジョイ勢なんで、大変じゃないですよ」

「またまたぁ」

「そっちこそぉ」

 クジョウくんとじゃれていると、ふと気になったことがあったので、急に冷静になって聞いてみた。

「気になってるんですけど、3人はどういう関係なんですか?」

「あぁ、俺たちは、β版の掲示板での調薬板の住人だ」

「攻略情報とか出して楽しんだよね。それにみんな生産総合板の方にもいたから、結構いろんなこと話したよね」

「実際にゲーム内であったのは、ベータ版の後半でした!」

 へぇ、β版からの付き合いなんだ。
 ていうことは、2人もβテスターなんだぁ。
 ゲームで仲良くなった人のβテスター率が高いなぁ。
 なんでだろう?
 いい生産職をたどっていってるからかな?

「ということは、ダイアさんとクジョウさんの2人もβテスターなんですか?」

「そうだよー」

「そうですよ」

 ちなみに、この雑談の間で、みんな口は達者に動かしていたけれど、誰の手も動いていなかった。
 あれ? ここに何のために来たんだっけ?



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~

夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。 多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』 一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。 主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!! 小説家になろうからの転載です。

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...