百々五十六の小問集合

百々 五十六

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私の他作品のあらすじ

Alliance Possibility On-line 追加作品例

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 チュートリアルを開始します。


 視界は動かすことはできるけど、どこか別のところに行くことはできない。
 あぁ、いわゆる強制イベントというやつか。
 強制イベントに体を任せることを決意したタイミングで、次の指示がウィンドウに書かれた。
 それを呼んだタイミングで金縛り?、身体の制限は解かれた。


 リスポーン地点を設定しよう!!

 ①メニューを開いてください。
 ※メニューを開くには、「メニュー」と念じるか、声に出してください。


 俺は心の中でメニューと念じてみた。
 すると、さらに1枚、新しいウィンドウが開いた。
 最新の技術はここまで来ているんだぁ。
 脳波を感知して、VRを動かしてるとは聞いてたけど、念じるだけで何かができるようになるなんて、未来過ぎてちょっと戸惑っている。
 指示ウィンドウが次の指示をしてきた。


 ②『リスポーン地点』の項目を開いて、リスポーン地点の設定を始まりの町にしてください。
 ※ウィンドウの操作は、念じるか、手で触れて操作することで行えます。
 ※ウィンドウは、他の人からは見えていないため、手で操作をすると、空中に向かって手を動かしている人のように見えます。


 この注意喚起をしてきているってことは、念じる操作を推奨してるってことじゃないのかな?
 変な動きをしてると思われるのも恥ずかしいし、今までしたことのなかった念じる操作に慣れるためにも俺は念じての操作を選んだ。
 メニューウィンドウの左下にある『リスポーン地点』を開くように念じる。
 メニューウィンドウが『リスポーン地点』に切り替わった。
 それから、ゆっくりと一つずつ念じながら操作していく。
 少しだけスムーズに念じる操作ができるようになってきた気がする。
 俺は、指示通りリスポーン地点を切り替えた。

 リスポーン地点:なし
 ↓
 リスポーン地点:始まりの町

 切り替えが終わり一息付くと、ウィンドウの表示がクリアに変わった。



 リスポーン地点を設定しよう!! クリア

 ①メニューを開いてください。 (済)
 ②『リスポーン地点』の項目を開いて、リスポーン地点の設定を始まりの町にしてください。 (済)
 ※メニュー『リスポーン地点』のウィンドウを閉じて構いません。閉じる操作は、念じる場合、そのウィンドウを閉じると念じれば閉じます、手で操作する場合は、そのウィンドウを握りつぶすでも、縮小しようとするでも、画面を小さくしようとする動作をすると閉じます。

 へぇ、手の操作だと、そういう遊び心ある感じになってるんだ。
 まぁ、俺は念じて閉じるけど。

 次の指示がウィンドウに表示される。



 道具屋で、旅の準備をしよう!!

 ①視界に表示される赤色の誘導線に沿って、道具屋に向かってください。



 視界に赤い半透明な線が表示された。
 これに沿って行けばいいのか。
 どうやらメニューをゆっくり動かしている間に、だいぶプレイヤーが増えたらしい。
 俺より遅いプレイヤーがこんなにいるってことは、みんな、ステータス設定で相当迷ってたのかな?
 この噴水の広場にいる人の多くが、誘導線の方向に移動しだした。
 みんな、すごくゆっくり移動している。
 もしかして、まだVRで体を動かす感覚に慣れていないのかな?
 そんなに難しいのかな?

 皆チュートリアルをやってるのかなぁ。
 今日がサービス開始日だし、この広場にどんどんプレイヤーが増えていきそうだな。
 よし、少し駆け足でチュートリアルを進めて混雑を回避しよう。
 この世界に来てまで、混雑でぎゅうぎゅうとか嫌だからな!!
 誘導線に沿って一歩目を踏み出した瞬間、頭の中に直接、音が聞こえてきた。


 ステータスアップSTR(極微)Lv.1/Lv.10 がレベルアップしました。
 ステータスアップAGI(極微)Lv.1/Lv.10 がレベルアップしました。



 どうやらスキルがレベルアップしたらしい。
 使ってないのになんでかな?
 あ、そういえばこの2つのスキルはパッシブスキルというやつだ。
 常に発動しているから、もう経験値がたまってレベルアップしたのかな?
 スキルがレベルアップしたタイミングで、何故か誘導線が消えた。
 そしてウィンドウに書かれている指示が変わった。


 スキルについて知ろう!!


 スキルには、パッシブスキルとアクティブスキルの2つがあります。

 パッシブスキルは、常に発動しているスキルのことです。
 パッシブスキルは、発動時間によって経験値が得られます。この経験値が一定量に達するとレベルアップをします。
 一部のパッシブスキルは、発動時間ではなく、スキルの効果が発揮されるたびに経験値が得られます。

 アクティブスキルは、発動を念じるまたは、スキル名を発声することで発動するスキルです。
 ※発声して発動する場合でも、発動の意志がなければスキルは発動しません。
 アクティブスキルは、スキルを発動し終えたタイミングで経験値が得られます。パッシブスキルと同様、経験値が一定量に達するとレベルアップします。
 アクティブスキルには、クールタイムが存在します。
 クールタイムは、スキルを発動し始めてから、一定時間はそのスキルを発動できないというものです。


 スキルレベルを各スキルに与えられている上限レベルまで上げると、SPが5もらえます。
 上限レベルまで上がったスキルの昇華が3SPを消費することで、行えます。
 他にも、初期ステータスを決める時に見たスキル一覧から、スキルを3SPを消費することで習得することも出来ます。
 スキル一覧は、個人によってバラバラに、ラインナップが成長していきます。


 スキルを習得する方法は、SPを使う他に、特定の行動をする、住民に教えてもらう、スキルオーブを使用するなどの方法があります。
 スキルオーブは、魔物からのドロップ、宝箱から出てくる、スキル屋で販売しているものを購入する、友人からもらう、などの方法で得ることができます。


【読了】


 俺は流し読みをせず、ゆっくりと『スキルについて』を読み、しっかり理解してから末尾に添えられていた【読了】のボタンを押した。
 すると、クリアのウィンドウを挟んで、再び『道具屋で、旅の準備をしよう!!
 』のウィンドウが戻ってきた。
 視界に再び惹かれる赤い半透明の誘導線。
 今度こそ道具屋へ、という気持ちで一歩踏み出した。
 さっき急いで行こうとしたら、出鼻をくじかれたし、もうゆっくり景色とか建物とかを楽しみながら行こう。
 それから、2、3分、町の建物とかを眺めながらゆっくり歩いて道具屋へ向かった。
 道中何故か、数10人のプレイヤーを追い抜いた。
 まだ、フルダイブ慣れしてないのかな?
 でも、歩き出しても全く違和感がなかったけどなぁ。
 違和感があるとすれば、アバターが現実の体よりも少しだけゆっくり動いていることぐらいかなぁ。AGIに結構振ったけど、ちょっとだけ遅いんだよなぁ。
 たぶんこの感じなら、AGIが40くらいで、ちょうど現実と同じ感じになるんじゃないかな?
 あ!
 もしかしてゆっくり歩いている人みんな極振り勢なんじゃないかな?
 AGIに何も振っていないなら、あののっぺり、のっしりした動きでも納得がいく。
 やぁ、やっぱり極振りって人気なんだぁ。
 流行りだもんなぁ。
 ロマン追い求めたいもんなぁ。
 でも、俺は極振りじゃなくてよかったかな。
 あののっぺりとした動きなら、イライラしてすぐにやめちゃいそうだし。
 そんなことを思っていると、道具屋についた。
 道具屋は、こじんまりとしたお店だった。
 店員は少しイカつめのオヤジが一人。
 現実なら、声をかけるのにも勇気が必要なタイプ。
 オヤジの顔を観察していると、ウィンドウの指示が変わった。

 ②店員に話しかけてみよう

 冒険をはじめにこの町に来たことを伝えてみよう。



 えぇ、あのオヤジに声をかけるのかぁ。
 声かけないと進まなさそうだし、声をかけるかぁ。
 俺は、やる気20%くらいの声でオヤジに声をかけた。

「あのぅ、こんにちは」
「おう、坊主!道具屋”初”に何の用だ?」
「冒険をはじめにこの町に来たんですけど、旅の道具ってありますか?」
「お前さん!新人の冒険者か!!なら、いいもんがあるぞ。これだ!その名も初心者セット!!冒険を始めるのに必要なものは最低限入っているぞ」
「それっておいくらですか?」
「これは、無料でいい!!」
「え?!いいんですか?」
「あぁ、国の方針で、この町から冒険を始めるやつに、こいつを一つ渡すことになっているんだ!!なんてったって、この場所は、今の王の先祖がその前の王朝に反旗を翻し、圧政に苦しむ民を救った、その始まりとなった場所なんだ。だから、この町は、何かを始めるやつに対してすごく親切なんだ。国の方針でも、住民の気持ちとしても」
「そうなんですか、じゃあありがたく初心者セットをいただきます」

 俺は、オヤジから初心者セットを受け取った。
 受け取った初心者セットは、自動でストレージに入ったらしい。

「おう、今度は何か道具を買いに来いよ」
「はい!」

 それから道具屋を出て、少し進んだところでウィンドウを確認した。
 すると、『道具屋で、旅の準備をしよう!!』がクリアになっていた。


 道具屋で、旅の準備をしよう!! クリア

 ①視界に表示される赤色の誘導線に沿って、道具屋に向かってください。 (済)
 ②店員に話しかけてみよう (済)
 ③初心者セットを手に入れよう (済)


『道具屋で、旅の準備をしよう!!』のクリアを確認したら、次の指示がウィンドウに表示された。



 ギルドへ行こう!!

 ①視界に表示される赤色の誘導線に沿って、冒険者ギルドに向かってください。


 また、赤の半透明の誘導線が表示された。
 誘導線の方に行く前に、初心者セットの中身の確認をしよう。
 メニューからストレージを開き、初心者セットを選択。
 初心者セットを開封する。
 ストレージの中に、初心者セットに変わりいろいろなものが入っていた。

 初心者セット

 マジックソード
 ATK:2
 MAG:1
 破壊不可


 初心者胴あて
 VIT:2
 破壊不可

 初心者ズボン
 VIT:2
 破壊不可

 初心者靴
 VIT:1
 破壊不可


 1000G


 初心者HPポーション×5
 初心者MPポーション×5




 武器と防具をセットしよう!!

 メニューから装備を開き、武器と防具を装備してみてください。

 初心者セットを開けたら、ウィンドウの指示が変わっていた。
 誘導線も消えていた。
 ウィンドウの指示通りに、装備を装備していく。
 防具は、初期の簡易な服よりは少し重い。
 だけど、動きを阻害するほどの重さじゃない。
 これもSTRに振っているおかげなのかな?
 初心者装備を装備すると、『武器と防具をセットしよう!!』がクリアになり、『ギルドへ行こう!!』と誘導線が戻ってきた。
 誘導線の指す方へ今回は少し駆け足気味に行ってみた。
 初心者装備を手に入れて、早く町の外に出て戦いたくなっちゃったんだから仕方がない。
 1分くらいで、ギルドについた。
 ギルドは、遠くから見てもわかるくらい大きかった。
 この町で、1,2を争うくらいの大きさだ。
 中へ入ると、誘導線の指示に従って登録・依頼カウンターへ向かった。
 登録・依頼カウンターは、10個近くあり、どこに行けばいいんだろうと思っていると、誘導線が一つのカウンターを指し示した。
 誘導線が指し示す登録・依頼カウンターの奥には、仕事のできそうなお姉さんが座っていた。
 登録・依頼カウンターの前に着いたタイミングで、ウィンドウの指示が更新された。


 ②登録・依頼カウンターの職員に話しかけて、ギルドに登録しよう。



 ギルドには多くの人がいて、登録・依頼カウンターの人の出入りも激しい。
 だから、俺は、ウィンドウの指示を確認すると素早く誘導線が指し示している登録・依頼カウンターへ向かった。
 カウンターに行くと、職員のお姉さんが話しかけてきた。

「こちら、登録・依頼カウンターです。どのようなご用件でしょうか?」
「ギルドに登録がしたいです」
「(もしかして、来訪者なのかしら。そういえば、国からお達しがあったわ。今日から来訪者がたくさんこの国に来るんだった。それに、今日何度も来訪者の登録をしてたじゃない。多分そうだわ。来訪者なら初登録なはずだし、その時に来訪者か聞いてみればいいんじゃないかしら………)」

 どうしたんだろう、急に独り言をぼそぼそ言って。
 もしかして、俺の発言が何かの規則にふれちゃったとかそういうやつかな?
 俺は不安になりながら独り言をぼそぼそ言ってるカウンターのお姉さんに再び声をかけた。

「あのぅ、登録ってできますか?」
「あぁ、ごめんなさいね。登録は問題なく出来ますよ。じゃあまず、名前と年齢とギルド記録と犯罪歴がないかを見るためにこの水晶に触れてください」
「わかりました。これでいいですか?」
「大丈夫です。犯罪歴はないようですね。名前は…オクツさんですね。年齢は16。ギルド歴はなし。この年齢で初登録ってもしかして来訪者の方ですか?」
「来訪者って何ですか?」

 初登録が16って珍しいのだろうか?
 それと、知らない単語が出てきたので聞き返してみた。

「来訪者とは、この世界の外から現れる人のことです。国から通達が来て、今日から来訪者がこの町に大勢いらっしゃると聞きました」
「それなら、来訪者で間違いないです。なんで、来訪者ってわかったんですか?」
「この国というか、この世界では、5歳になる年にギルドに登録するのが常識なのです。だから、16で初登録となるのは、この世界では大変珍しいので、国からも通達があった来訪者ならつじつまが合う、そう思ったので来訪者じゃないかとお聞きしました」
「そうなんですね」
「それでは、登録の続きの作業に戻りますね。来訪者の方の初登録の場合、ギルドについての説明を行います。そのあと、こちらの登録書にサインしていただいて、登録が完了となります。その後、一つ依頼を受けていただくことになります。この流れで進めて問題はないですか?」
「大丈夫です」

 事前に流れを説明してくれるとか、すごく仕事ができる人なんだろうなぁ。
 登録がこの人のカウンターで良かった。
 詰めてくるタイプの仕事ができる人じゃなくて良かったぁ。
 カウンターのお姉さんが説明を始めた。

「まず、ギルドとは、国が設置している総合的な取引所です。この町で働くためには、当ギルドで登録する必要があります。ギルドが持つ役割は3つ。物品の取引所となること、職業を斡旋すること、税を正確に取り立てることです。
 まず、一定金額以上の取引は、必ずギルドを通して指名依頼という形で行う必要があります。
 その時、取引額の一部を税として、ギルドに収めていただく必要があります。
 ギルドを通さなくてもいいぐらいの細かな金額を複数回動かすことで、脱税しようとしたり、そもそもギルドを通さずに高額な取引をすると、捕まります。罰に関しては、場合によりますが、罰金から、国外追放まであります。

 次に、自由依頼、一次的な雇用、永続的な雇用、などもギルドを通して依頼としていただく必要があります。
 このときも、雇用の費用の一部を税として国に納めていただく必要があります。

 また、ギルドに対して何かを卸していただくことも出来ます。その買取の際も税金がかかります。
 ギルドから、何かを買うことも出来ます。
 この場合には税金はかかりません。

 最後に、ギルドにはギルドレベルとギルドポイントがあります。
 収めた税の量、行った取引の量、行った依頼の量、この町への影響などを総合的に加味してギルドポイントを支給します。ギルドポイントがどれくらい貯まったのかは、開示いたしません。ギルドポイントをためるとギルドレベルが上がり、利用できる施設が増えます。ただ、ギルドレベルが上がるにつれて、税率が少しずつ上がっていきます。そこはご注意ください。

 説明は以上となります。

 ギルドの規約などの細かいことに関しては、こちらの規約書をお読みください。
 登録書にサインをお願いします」

 俺は登録書にサインした。
 ギルド。
 俺のイメージでは、冒険者ギルドって感じでいろんな依頼を受けたりする、国から独立した組織って感じだったけど、ここだと、国が設置してて、冒険者とか関係なく、仕事にはすべてギルドが関係していて、すごく予想外だった。
 それに、何回も”税”って言葉を聞いた気がする。
 ここでも納税なのか。
 まぁ、きっとこっちの世界の税金はそこまで高い%じゃないはず。
 俺が、この世界の税に思いをはせていると、2枚の紙を持ったお姉さんが話し始めた。

「登録が完了しました。
 こちらが、オクツ様のギルドカードになります。
 依頼の受け方について説明します。
 あそこにある、依頼ボードに自分の受けることができる依頼のみ表示されます。
 その中から、ギルドレベルの分だけ同時に受けることができます。
 依頼は受けることはここでしかできないですが、完了するのは、どこでもできます。依頼されたものを手に入れたり、依頼された事を終わらせたりした場合、その場で達成となります。
 依頼料は、ギルドカードに紐図いている口座に自動で振り込まれます。
 依頼が失敗した場合に発生する違約金も、自動で出金されます。

 初依頼は、この薬草採集と、プレーンラビットの討伐のどちらにしますか?」



 俺は、迷わず『プレーンラビットの討伐』依頼を受けた。



 チュートリアル(ラスト)


 魔物を討伐しよう!!!

 依頼『プレーンラビットの討伐』
 プレーンラビットを討伐(0/5)

 ①初めての戦闘!
 誘導線に従って、南の草原に出て、指定の魔物を剣で討伐しよう。




 どうやら、魔物との戦いがチュートリアルの最後らしい。
 ワクワクを胸に弾むように誘導線に従って歩き出そうと一歩目を踏み出す瞬間、また頭の中に直接音が鳴った。


 ステータスアップSTR(極微)Lv.2/Lv.10 がレベルアップしました。
 ステータスアップAGI(極微)Lv.2/Lv.10 がレベルアップしました。



 またスキルのレベルが上がったらしい。
 こんなに早くレベルが上がるなら、10レベルも案外すぐなのかもしれない。
 やっぱりレベルアップってなんだかテンションが上がるよね。
 いやぁ、レベルアップ嬉しいなぁ。
 レベルアップに出鼻をくじかれたけれど、レベルアップによるテンションアップで、よりルンルン気分でギルドを出ていった。
 それから赤い半透明の誘導線の指示に従って、南門まで来た。
 ちなみにこの始まりの町では、東西南北4つの門で出入りができるらしい。

 南門から草原に繰り出した。
 膝の高さもないような草があたり一面に広がっている。
 その中を長い年月、人が踏み固めて出来たような土の道が進んでいる。
 人が歩くのには問題ないけれど、車が走ったら相当車酔いしそうな道。
 そして、快晴の空。
 少しずつ雲が動いていて、もはや、現実よりもきれいに見える。
 うっすらと匂う草の匂い、そして、自然の匂い。
 ゲームの中だけれど、マイナスイオンを感じそうな景色。
 あぁ、この景色見ただけで満足してしまいそうな高クオリティの草原に、俺は繰り出した。

 草原に出て道に沿って少し進んだ。
 視界に小さく動物が写る。
 ウサギと狼が見えるけれど、多分これらは魔物なんだろう。
 道からそれて、また、少し歩いた先で、誘導線が終わった。
 目の前には少し小さいウサギ。
 俺とウサギの距離は、5歩分くらい。
 ウサギの上に小さいウィンドウが出ていた。
 そこには、HPのバーと一緒にこう書かれていた。

 プレーンラビットLv.1

 どうやら、このウサギがプレーンラビットらしい。
 プレーンラビットはまだこちらに気づいていない。
 俺は少し緊張しながら、剣を鞘から出して、正面に構えた。
 そして、プレーンラビットが後ろを見たタイミングで、俺は一気に距離を詰めた。
 大きく振りかぶった背後からの一撃、それが相手の首にきれいに入った。

 20ダメージ

 俺が与えたダメージで、HPバーの3分の2近くが削れた。
 俺が攻撃したことで、俺の存在を認知したのか、プレーンラビットはこちらを向いた。
 そして、一度後ろに下がろうとしているプレーンラビットの耳と耳の間、顔の正面に、俺が再び振りかぶった剣がジャストミートした。

 16ダメージ

 攻撃を受けたプレーンラビットは、光になって消えていった。
 プレーンラビットが消えると同時に頭の中に音が鳴った。
 この頭の中の音、なんかアナウンスみたいだなぁ。次からアナウンスって呼ぼう。

 プレーンラビットを撃破しました。
 経験値を75獲得しました。
 魔石(極小)を獲得しました。
 剣術(入門)Lv.1/Lv.10がレベルアップしました。
 物理の心得(入門)Lv.1/Lv.10がレベルアップしました。

 職業レベルとキャラクターレベルは上がらなかったけど、スキルレベルが上がった。
 あと残るLv.1スキルは魔術(入門)だけになった。
 早く魔術使ってみたいなぁ。
 ウィンドウの指示が変化した。


 チュートリアル(ラスト)


 魔物を討伐しよう!!!

 依頼『プレーンラビットの討伐』
 プレーンラビットを討伐(1/5)

 ②初めての魔法戦闘!
 誘導線に従って、指定の魔物を魔法も使って討伐しよう。


 次は魔法も使って、戦闘をするらしい。
 俺は、道に戻って1,2分歩いた先で、また誘導線がなくなった。
 目の前の魔物と戦えばいいらしい。

 プレーンラビットLv,1

 また、Lv.1のプレーンラビットだ。
 距離も前回と同じ5歩分くらい。
 さっきも戦ったし油断しなければ勝てるだろう。

 魔法をまず使ってみよう。
 魔法の使い方は、魔術を取った瞬間に分かっている。
 一応魔法に補正がかかるから、剣も構えた。
 魔法には、基本的に4属性がある。
 火、水、風、土。この4つが基本属性と言われ、それ以外の属性は全て副属性と呼ばれている。
 俺は、魔術のLv.1から使える『ボール』を使うことにした。
 頭の中で、「ウィンドボール」と唱える。
 それから丁寧に魔力を剣や体に纏わせる。
 そして二秒後、ウィンドボールがプレーンラビットに向かって飛んでいった。
 ウィンドボールは、プレーンラビットの側面に当たった。

 6ダメージ

 渋い!!
 プレーンラビットのHPの5分の1くらいしか削れていない。
 ダメージが、剣の3分の1も出ていない。
 やっぱり、INTにあまり振ってないから、ダメージが出ないのかな?
 魔法って高威力の切り札みたいな感じかと思ってた。
 まぁ、これは牽制ようだな。
 ダメージを与えたことで、プレーンラビットに気づかれてしまった。
 こちらに突進してくるプレーンラビット。
 魔法のダメージの渋さに驚いていた俺は、とっさに足が動かなかった。
 だけれど俺は、避けられないなりに、剣を正面に出し、こっちに来たら串刺しにしてやるぞという構えを取った。
 そんなものお構いなしに突進してくる。
 ドスッという衝撃と共に、剣にプレーンラビットが刺さった。
 数センチ身体が後ろに下がっていた。

 被ダメージ0ダメージ
 クリティカル!43ダメージ

 剣に刺さったプレーンラビットは光になって消えていった。
 ふぅ、肝が冷えた。なんとなってよかった。
 あれを直接食らったら、痛そうだし。
 魔法の威力がしょぼくても動揺しちゃいけないね。
 フルダイブだから、突進してくるウサギでもちょっと怖いね。そのうち慣れるんだろうけど。
 アナウンスが鳴る。

 プレーンラビットを撃破しました。
 経験値を75手に入れました。
 魔石(極小)を手に入れました。
 キャラクターレベルがアップしました。
 職業レベルがアップしました。
 魔術(入門)Lv.1/Lv.10がレベルアップしました。


 お、レベルが上がった。
 SPがいくつか来てる。
 ステータス上げるかぁ。
 魔術も上がってる。
 これで、Lv.1のスキルはなくなった。
 スキルレベルは上がりやすいから、スキルを上げるのは楽しいな。
 ウィンドウの指示が更新されていた。



 チュートリアル(ラスト)


 魔物を討伐しよう!!!

 依頼『プレーンラビットの討伐』
 プレーンラビットを討伐(2/5)

 ③自由な戦闘!
 プレーンラビットをあなたの力で見つけて討伐しよう。
 プレーンラビットの強さも千差万別!
 相手の力を見極めよう。



 誘導線が消えていた。
 もう、戦う相手は縛られないけど、まだ、チュートリアルは終わっていないらしい。
 後3匹倒して、チャチャッとチュートリアルを終わらせよう。
 でも、その前に、BPを割り振ろう。
 割り振った結果、俺のステータスはこうなった。



 PN:オクツ
 キャラクターレベル:Lv.2
 職業:剣士Lv.2
 HP:90/90(89+1)
 MP:22/22(21+1)
 STR:46(31+15)
 VIT:12(7+5)
 INT:5
 MND:10
 DEX:11
 AGI:35(26+9)
 LUK:15

 スキル
 剣術(入門)Lv.2/Lv.10 『ソードアタック』
 魔術(入門)Lv.2/Lv.10 『ボール』
 物理の心得(入門)Lv.2/Lv.10
 ステータスアップSTR(極微)Lv.3/Lv.10
 ステータスアップAGI(極微)Lv.3/Lv.10

 SP:0
 BP(消費値):0
 BP(能力値):0


 消費値は、ほぼHPの方にした。
 能力値は、STRを1、VITを2、DEXを1、AGIを1あげた。
 魔法系は、威力が低いから、放置。
 もう少し余裕が出てから、伸ばそうと思う。

 よし、このステータスで、プレーンラビット残りの三匹の討伐頑張るぞ!!


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