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世界の半分を貰った勇者
第一話 魔王が世界を征服した
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人類は物事を二つに分けたがる。
犬派か猫派か
攻めだ受けだ
文系とか理系とか
右だ左だ
タケノコなのかキノコなのか
俺か俺以外か
だから俺も二つに分けたかった。
そしてその二つの片翼を担いたかっただけなんだ。
俺は今、机の上に並べられた神のタワーを見て絶望している。
―――――――――――――
俺は勇者のサティー。
数年前まではしがない村人だった俺だが、協会に突如勇者と認定されて、魔王を討伐するたびに生かされた。
たくさんの仲間と協力して、俺たちは、謁見の間まで魔王を追い詰めたのだ。
しかし、俺はそこで魔王がした提案に乗ってしまった。
魔王が言った「俺が世界を征服した暁には世界の半分をくれてやろう。具体的には今の人類の生存圏のあたりを丸々くれてやろう」という言葉に乗ってしまった。
俺は苦しかった魔王討伐の旅を終え、魔王軍に客人として迎え入れられた。
もちろん仲間たちも一緒に迎え入れられた。
仲間たちも、世界の半分を一緒にもらいたいと言ってついてきたのだ。
それからは贅沢三昧の日々だった。
人間の生存圏では食べられなかったような絶品の料理が毎食出てきた。
俺たちはどうやら、人間の王様よりも豪華な食事にありつけているらしい。
それに魔王は俺たちに特に何か指示するわけでもなく、俺たちは自由気ままに過ごした。
ここ何年かの辛い日々を巻き返すかのごとく連日はっちゃけて過ごした。
魔王側の人に言えばいくらでもお小遣いをもらった。
従軍の命令をされて同族同士で殺し合いをする展開なども特になかった。
それに、魔王を討伐するために、散々魔族を殺してきてしまった俺たちを魔族の人たちは本当にやさしく受け入れてくれた。
差別されるわけでもなく、罵詈雑言を浴びせられるわけでもなく、ただただ気の合うやつらを見つけて肩を組んで酒を飲んだ。
そんな好待遇で迎え入れられた俺たちは、魔王軍の人類振興には直接的には加担せずに過ごした。
そして、魔王と対峙してから3年後である今年、ついに魔王が完全にこの世界を掌握した。
つい先月、最後の人間の国である正教国コースキーが滅ぼされたのだ。
最後に滅んだ国が俺たちを魔王討伐の旅に旅立たせた正教国コースキーだと知った時は考え深いものがあった。はじまりの地が人間にとっての終わりの地となったことにじんと来たものだ。
そして、世界征服の祝賀パーティが終わった今日、俺たち勇者パーティーは魔王城に呼び出された。
これが俺たちに出された最初の指示だった。それくらい俺たちは、ここ三年自由に過ごしていたのだ。
魔王城に登城し、謁見の間で再び俺たちは正装で対峙した。
特にひざまずくこともない。
なぜならば俺たちの方が魔王よりも強いからだ。
直接戦ったことはないが、絶対に俺たちの方が強い。
何故かというと、俺たちと初めて対峙した魔王は腰が引けていて、ぶるぶると震えて怯えていたのだ。
多分この魔王は、頭脳型だと思う。
そんな適当なことを考えていたら、全員が謁見の間にそろったようだ。
犬派か猫派か
攻めだ受けだ
文系とか理系とか
右だ左だ
タケノコなのかキノコなのか
俺か俺以外か
だから俺も二つに分けたかった。
そしてその二つの片翼を担いたかっただけなんだ。
俺は今、机の上に並べられた神のタワーを見て絶望している。
―――――――――――――
俺は勇者のサティー。
数年前まではしがない村人だった俺だが、協会に突如勇者と認定されて、魔王を討伐するたびに生かされた。
たくさんの仲間と協力して、俺たちは、謁見の間まで魔王を追い詰めたのだ。
しかし、俺はそこで魔王がした提案に乗ってしまった。
魔王が言った「俺が世界を征服した暁には世界の半分をくれてやろう。具体的には今の人類の生存圏のあたりを丸々くれてやろう」という言葉に乗ってしまった。
俺は苦しかった魔王討伐の旅を終え、魔王軍に客人として迎え入れられた。
もちろん仲間たちも一緒に迎え入れられた。
仲間たちも、世界の半分を一緒にもらいたいと言ってついてきたのだ。
それからは贅沢三昧の日々だった。
人間の生存圏では食べられなかったような絶品の料理が毎食出てきた。
俺たちはどうやら、人間の王様よりも豪華な食事にありつけているらしい。
それに魔王は俺たちに特に何か指示するわけでもなく、俺たちは自由気ままに過ごした。
ここ何年かの辛い日々を巻き返すかのごとく連日はっちゃけて過ごした。
魔王側の人に言えばいくらでもお小遣いをもらった。
従軍の命令をされて同族同士で殺し合いをする展開なども特になかった。
それに、魔王を討伐するために、散々魔族を殺してきてしまった俺たちを魔族の人たちは本当にやさしく受け入れてくれた。
差別されるわけでもなく、罵詈雑言を浴びせられるわけでもなく、ただただ気の合うやつらを見つけて肩を組んで酒を飲んだ。
そんな好待遇で迎え入れられた俺たちは、魔王軍の人類振興には直接的には加担せずに過ごした。
そして、魔王と対峙してから3年後である今年、ついに魔王が完全にこの世界を掌握した。
つい先月、最後の人間の国である正教国コースキーが滅ぼされたのだ。
最後に滅んだ国が俺たちを魔王討伐の旅に旅立たせた正教国コースキーだと知った時は考え深いものがあった。はじまりの地が人間にとっての終わりの地となったことにじんと来たものだ。
そして、世界征服の祝賀パーティが終わった今日、俺たち勇者パーティーは魔王城に呼び出された。
これが俺たちに出された最初の指示だった。それくらい俺たちは、ここ三年自由に過ごしていたのだ。
魔王城に登城し、謁見の間で再び俺たちは正装で対峙した。
特にひざまずくこともない。
なぜならば俺たちの方が魔王よりも強いからだ。
直接戦ったことはないが、絶対に俺たちの方が強い。
何故かというと、俺たちと初めて対峙した魔王は腰が引けていて、ぶるぶると震えて怯えていたのだ。
多分この魔王は、頭脳型だと思う。
そんな適当なことを考えていたら、全員が謁見の間にそろったようだ。
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