百々五十六の小問集合

百々 五十六

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毎日記念日小説(完)

海より山派かな 6月8日は大鳴門橋開通記念日

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「大鳴門橋って、どっちだっけ?」
「どっちって?」
「兵庫の方か、岡山の方か、広島の方かってこと」
「あぁ、それなら…何だっけ?」
「分からないならいいや」
俺はスマホを手に取り、『大鳴門橋』と検索した。
「へぇ、兵庫の方だって」
「そうなんだ。兵庫の方ってことは、二つあるじゃん。兵庫寄りの方の橋?それとも徳島寄りの橋?」
「えぇっとね、兵庫寄りの橋だって」
「てか、何で急にそんなこと聞いてきたの?」
「急に頭に『大鳴門橋』って単語が浮かんだから、どこだか気になって」
「あぁ、急に頭の中に変な単語が出てくるのあるあるだよね」
「分かってくれる?」
「もちろん。それにしても、大鳴門橋かぁ、神戸の方だっけ?行ったことないな神戸。そもそも関東から出たことがないや」
「私も神戸に行ったことない。てか、あんたといつも一緒にいたんだから当然、私も関東から出たことないよ。そもそも、『大鳴門橋』って単語だって、教科書以外で見たことないし、実物の画なんて、調べるまで思い出せなかったよ」
「いや、じゃあなんでそんな単語が急に出てくるの?ふつうそういう時に出る単語って、一時期めっちゃ使った言葉とかじゃないの?」
「まぁまぁ、そういうこともたまにはあるでしょ」
「そう、なの?」
「橋と言ったらさ、海の上とか川の上にかかる橋と、山の間にかかる橋だったら、どっちが好き?」
「何その変な質問。私はね…海の上かな」
「それはまた、なんで?」
「山の間にかかる橋ってさ、落ちたときに、下が地面か浅い川なことが多くてめちゃくちゃ痛そうじゃん。特に石とかが背中に突き刺さりそう。それに比べて海とか川は、がっちり水だからなんとか助かりそうじゃない?」
「ていうか、あんた泳げないじゃない。海とか川に落ちても、結局おぼれ死ぬんじゃない?」
「あぁ、そういえば私、泳げなかったね。ここ数年デカめの水場に近寄らなかったから忘れてた。それなら山かな。石が背中に突き刺さるより、おぼれ死ぬのが一番いやだから。それに、海とか川ならおぼれて100%死ぬけど、山なら万に一つでも生きれる可能性があるから、私はそっちに懸けるね」
「さっきと言ってることが180度変わった」
「いいじゃん別に。私の前提条件を忘れてただけなんだから。そういうあなたは、どっちがいいの?」
「山に決まってるじゃん。そもそも、落ちることを基準に考えるなんて、あんたはナンセンスよ」
「ふぅん。そこまで言うなら大層な理由があるんでしょうね?」
「理由は、単純に風景が良いからよ。海なんてとりあえず青って感じで、代り映えしないでしょ?山にはいろんな緑があるから見ていて楽しいのよ。そもそも落ちること考えたら、橋が架かるようなところから落ちたらだいたい死ぬわよ」
「ぐぬぬ。納得してしまっているし、結論は同じだから反論ができない。悔しい」
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