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総文字数記念
10万文字記念 10万円あるとしたら
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「次は、10万円なんだって。どうする?」
「急に他人事!」
今回も妹は一発で反応してくれた。
うれしい。
「お兄ちゃんが、始めた話題でしょ。何で急に、人から振られた話題みたいに話し始めたの?!!」
妹は、さっきまでのテンションとは打って変わってやたらとハイテンションだった。
もしかして、酔っ払ってるのかもしれない。
いつの間に酒なんて飲んだんだ?
ていうか、中学生が酒のんじゃんダメだろ。
「急にツッコミがアグレッシブになったな。さっきまで、声を張らないような、指摘に近いツッコミしてたのに、急に芸風変えてきたじゃねえか。どうした、酒でも飲んだんか?」
妹は、なんでやねんの手とともに、勢いよく立ち上がりながらツッコんできた。
「酒なんて飲むわけないでしょ。それに、私は芸人じゃないから、芸風なんてないよ!ただちょっと、テンション上がってきたから、気持ち声を張ってるだけだよ」
やっぱり、妹のテンションが変に高い。
もしかして風邪でも引いてるのかな?
改めて妹の顔を見たら、気持ち頬が赤い気がする。
「ちょっと顔赤いけど、熱でもあるのか?」
妹は、テンションを上げたまま少し恥ずかしそうに、もじもじしながら答えた。
「熱じゃなくて恥ずかしいから顔が熱いんだよ。変なテンションで最初に入っちゃったから、直すに直せなくてちょっと恥ずかしいんだよ。キャラじゃないって分かってるけど、テンションが高い時に声かけられたから、変な風になっちゃった…」
「なんか良いことあったんか?それとも、嫌な事でもあってやけくそでテンション上げてるんか?」
効いた瞬間に妹はグワッと顔を近づけてきて、早口で言った。
「聞いて、聞いて、お兄ちゃん。嬉しいことと、悲しいことが一気にあって、心の中がぐちゃぐちゃになっちゃったんだよ。さっきスマホを見てたら、私の好きな音ゲーの筐体が、半年後にサ終しちゃうことを知ったんだよ。それで悲しんでたら、また通知が来て、今度は、その音ゲーの会社から、新しい音ゲーの筐体が出るんだって。それで興奮しちゃって、テンションはめちゃくちゃ高いけど、めちゃくちゃ今悲しくて、感情がバグってる。」
ほぼ0距離の妹の顔を押しのけた。
それから、妹をなだめるように俺は、言った。
「まぁ、まぁ、落ち着け妹よ。良いことと、悪いことが、同時に起こって、感情がよく分からなくなっているんだな。それだけは聞き取れた。で、それで何だっけ?専門的なことを一気に言われても、聞き取れねぇんだ」
妹は、今度は適切な距離を保ちつつ、ゆっくりと言ってくれた。
「まず、悪いことは、大好きな音ゲーのサ終が告知されたことなの」
「素人質問で恐縮なんだが、サ終ってなんだ?」
「それはね、サービス終了の略だよお兄ちゃん。それと、その『素人質問で恐縮なのですが』って前置き禁止ね。何かぞわっとするから」
素人質問って言葉なんかかっこいいから使いたいのに、残念だなぁ。
それより、サービス終了ってサ終って略すんだ。知らなかった。
「もう一ついいか?」
「何?お兄ちゃん。何でも聞いて!」
「音ゲーって、筐体置くことで終了じゃないの?家のゲームのソフトみたいな感じじゃないの?他にサービスってあるの?」
妹はまた、0距離まで詰めてきた。
妹は少し頬を膨らませていた。
まるで、プンスカという擬音が聞こえてきそうな表情をしている。
妹は、少し怒るように言った。
「馬鹿にしちゃいけないよ、お兄ちゃん。音ゲーとかゲーセンのゲームって、筐体置いたらはいおしまい、じゃないんだよ。音ゲーなら、楽曲の追加とか、バージョンアップとか、キャラクターの追加とか、いろいろあるんだよ。イメージ的には、家庭用のゲーム機のソフトより、スマホのオンラインゲームに近いんだよ。ちゃんと覚えていってね、お兄ちゃん!!分かった?」
前半の怒りはどこへ行ったのやら、後半は教師みたいに優しく教えてくれた。
だんだんと、感情が前面に出たしゃべり方から、説明口調になっていって面白い。
なんやかんや妹は優しいなぁ。
「分かったわかった。それで、良かったことは、何だっけ?」
「良かったことはね、その会社さんが、新しく音ゲーを出してくれるって発表があったことだよ」
「それって、サ終する音ゲーとは何が違うんだ?」
妹が、ちっちっちと指を振りながら、鼻に着く感じで話し始めた。
「サ終する音ゲーと、新しく始まる音ゲーでは、ゲームの形が違うんだよ。たぶん。音ゲーには、ピアノみたいな形の物から、ドラム式洗濯機みたいなものまでいろいろあるんだよ。だからたぶん、筐体の形もシステムもガラッと変わるんだよきっと」
随分とふわっとした情報なのに、よくそんなに自信満々に言えるな。
「深堀しておいてなんだけど、話を戻すね。10万円あったら何する?」
話題がそれすぎてたから、雑に軌道修正をしてみた。
やっぱり、本筋からそれるのって良くないよね。
「ん~。そのサ終する音ゲーの筐体を買い取るって言いたいところだけど、さすがに中古でも10万じゃ買えないからなぁ。それに、手に入れても、うちで動かしたら、絶対ブレーカー落ちるしなぁ」
「確かに、ゲーセンのでっかい筐体なんてうちで動かしたら、絶対ブレーカー落ちるだろうね」
あんなギラギラなやつ、電気代がいくらかかるか想像するだけで怖くなる。
他の何でも電気を使っていなくてもブレーカーは、落ちそう。
「10万かぁ。ゲーセンで10万って一番難しいなぁ。大きなことをするには安すぎるし、楽しくゲームをするだけにしては高すぎるし」
「別に、ゲーセン縛りとかはないぞ。他のことに使ってもいいんだぞ」
妹は、キメ顔で言った。
「私が、ゲーセン関連以外で、大金を使うと思うの?お兄ちゃん」
顔は、うざいけれど一理ある。
「確かに想像できないな」
「でしょ!」
「あ、思いついた。コインゲームで10万円分のコインを借りて、豪遊してみたい!!使い切れないくらいのコインとか、憧れるなぁ」
妹は妄想の世界に浸ってしまった。
顔が完全に緩んでしまっている。
よほど幸せな妄想をしているのだろう。
しばらくして、現実世界に戻ってきた妹が言った。
「妄想にふけっていて、忘れてた。お兄ちゃんならどうするの?10万円あったら」
「うーん。俺なら、新しいスマホでも買うかな。多分スマホってそれくらいでしょ」
特にほしいものとかないから、いつも使うものを少しでも良くすることにお金を使いたいかな。
妹はこちらを憐みの目で見てきた。
その後あきれたように言った。
「スマホって。最近変えたばっかじゃん。そんな新しいの必要なの?」
うちの妹は、ゲーセンのこと以外には本当に興味がないらしい。
スマホなんて先端の物は、3年もすればだいぶ性能が変わってしまう。だから、繰り返しハードもアップデートしていかなきゃいけないのに。
「最近って言っても、もう3年くらいたってるんだが。何か新しい機能とかきになるじゃん。曲げられるようになるやつとか、伸ばせるやつとか」
俺は目を輝かせながら言ったのだが、妹にはいまいち刺さらなかったようだ。
妹は興味をなくしたのか、スマホを見だしてしまった。
俺は、少し悲しい気持ちになりながら小声でつぶやいた。
「解散」
「急に他人事!」
今回も妹は一発で反応してくれた。
うれしい。
「お兄ちゃんが、始めた話題でしょ。何で急に、人から振られた話題みたいに話し始めたの?!!」
妹は、さっきまでのテンションとは打って変わってやたらとハイテンションだった。
もしかして、酔っ払ってるのかもしれない。
いつの間に酒なんて飲んだんだ?
ていうか、中学生が酒のんじゃんダメだろ。
「急にツッコミがアグレッシブになったな。さっきまで、声を張らないような、指摘に近いツッコミしてたのに、急に芸風変えてきたじゃねえか。どうした、酒でも飲んだんか?」
妹は、なんでやねんの手とともに、勢いよく立ち上がりながらツッコんできた。
「酒なんて飲むわけないでしょ。それに、私は芸人じゃないから、芸風なんてないよ!ただちょっと、テンション上がってきたから、気持ち声を張ってるだけだよ」
やっぱり、妹のテンションが変に高い。
もしかして風邪でも引いてるのかな?
改めて妹の顔を見たら、気持ち頬が赤い気がする。
「ちょっと顔赤いけど、熱でもあるのか?」
妹は、テンションを上げたまま少し恥ずかしそうに、もじもじしながら答えた。
「熱じゃなくて恥ずかしいから顔が熱いんだよ。変なテンションで最初に入っちゃったから、直すに直せなくてちょっと恥ずかしいんだよ。キャラじゃないって分かってるけど、テンションが高い時に声かけられたから、変な風になっちゃった…」
「なんか良いことあったんか?それとも、嫌な事でもあってやけくそでテンション上げてるんか?」
効いた瞬間に妹はグワッと顔を近づけてきて、早口で言った。
「聞いて、聞いて、お兄ちゃん。嬉しいことと、悲しいことが一気にあって、心の中がぐちゃぐちゃになっちゃったんだよ。さっきスマホを見てたら、私の好きな音ゲーの筐体が、半年後にサ終しちゃうことを知ったんだよ。それで悲しんでたら、また通知が来て、今度は、その音ゲーの会社から、新しい音ゲーの筐体が出るんだって。それで興奮しちゃって、テンションはめちゃくちゃ高いけど、めちゃくちゃ今悲しくて、感情がバグってる。」
ほぼ0距離の妹の顔を押しのけた。
それから、妹をなだめるように俺は、言った。
「まぁ、まぁ、落ち着け妹よ。良いことと、悪いことが、同時に起こって、感情がよく分からなくなっているんだな。それだけは聞き取れた。で、それで何だっけ?専門的なことを一気に言われても、聞き取れねぇんだ」
妹は、今度は適切な距離を保ちつつ、ゆっくりと言ってくれた。
「まず、悪いことは、大好きな音ゲーのサ終が告知されたことなの」
「素人質問で恐縮なんだが、サ終ってなんだ?」
「それはね、サービス終了の略だよお兄ちゃん。それと、その『素人質問で恐縮なのですが』って前置き禁止ね。何かぞわっとするから」
素人質問って言葉なんかかっこいいから使いたいのに、残念だなぁ。
それより、サービス終了ってサ終って略すんだ。知らなかった。
「もう一ついいか?」
「何?お兄ちゃん。何でも聞いて!」
「音ゲーって、筐体置くことで終了じゃないの?家のゲームのソフトみたいな感じじゃないの?他にサービスってあるの?」
妹はまた、0距離まで詰めてきた。
妹は少し頬を膨らませていた。
まるで、プンスカという擬音が聞こえてきそうな表情をしている。
妹は、少し怒るように言った。
「馬鹿にしちゃいけないよ、お兄ちゃん。音ゲーとかゲーセンのゲームって、筐体置いたらはいおしまい、じゃないんだよ。音ゲーなら、楽曲の追加とか、バージョンアップとか、キャラクターの追加とか、いろいろあるんだよ。イメージ的には、家庭用のゲーム機のソフトより、スマホのオンラインゲームに近いんだよ。ちゃんと覚えていってね、お兄ちゃん!!分かった?」
前半の怒りはどこへ行ったのやら、後半は教師みたいに優しく教えてくれた。
だんだんと、感情が前面に出たしゃべり方から、説明口調になっていって面白い。
なんやかんや妹は優しいなぁ。
「分かったわかった。それで、良かったことは、何だっけ?」
「良かったことはね、その会社さんが、新しく音ゲーを出してくれるって発表があったことだよ」
「それって、サ終する音ゲーとは何が違うんだ?」
妹が、ちっちっちと指を振りながら、鼻に着く感じで話し始めた。
「サ終する音ゲーと、新しく始まる音ゲーでは、ゲームの形が違うんだよ。たぶん。音ゲーには、ピアノみたいな形の物から、ドラム式洗濯機みたいなものまでいろいろあるんだよ。だからたぶん、筐体の形もシステムもガラッと変わるんだよきっと」
随分とふわっとした情報なのに、よくそんなに自信満々に言えるな。
「深堀しておいてなんだけど、話を戻すね。10万円あったら何する?」
話題がそれすぎてたから、雑に軌道修正をしてみた。
やっぱり、本筋からそれるのって良くないよね。
「ん~。そのサ終する音ゲーの筐体を買い取るって言いたいところだけど、さすがに中古でも10万じゃ買えないからなぁ。それに、手に入れても、うちで動かしたら、絶対ブレーカー落ちるしなぁ」
「確かに、ゲーセンのでっかい筐体なんてうちで動かしたら、絶対ブレーカー落ちるだろうね」
あんなギラギラなやつ、電気代がいくらかかるか想像するだけで怖くなる。
他の何でも電気を使っていなくてもブレーカーは、落ちそう。
「10万かぁ。ゲーセンで10万って一番難しいなぁ。大きなことをするには安すぎるし、楽しくゲームをするだけにしては高すぎるし」
「別に、ゲーセン縛りとかはないぞ。他のことに使ってもいいんだぞ」
妹は、キメ顔で言った。
「私が、ゲーセン関連以外で、大金を使うと思うの?お兄ちゃん」
顔は、うざいけれど一理ある。
「確かに想像できないな」
「でしょ!」
「あ、思いついた。コインゲームで10万円分のコインを借りて、豪遊してみたい!!使い切れないくらいのコインとか、憧れるなぁ」
妹は妄想の世界に浸ってしまった。
顔が完全に緩んでしまっている。
よほど幸せな妄想をしているのだろう。
しばらくして、現実世界に戻ってきた妹が言った。
「妄想にふけっていて、忘れてた。お兄ちゃんならどうするの?10万円あったら」
「うーん。俺なら、新しいスマホでも買うかな。多分スマホってそれくらいでしょ」
特にほしいものとかないから、いつも使うものを少しでも良くすることにお金を使いたいかな。
妹はこちらを憐みの目で見てきた。
その後あきれたように言った。
「スマホって。最近変えたばっかじゃん。そんな新しいの必要なの?」
うちの妹は、ゲーセンのこと以外には本当に興味がないらしい。
スマホなんて先端の物は、3年もすればだいぶ性能が変わってしまう。だから、繰り返しハードもアップデートしていかなきゃいけないのに。
「最近って言っても、もう3年くらいたってるんだが。何か新しい機能とかきになるじゃん。曲げられるようになるやつとか、伸ばせるやつとか」
俺は目を輝かせながら言ったのだが、妹にはいまいち刺さらなかったようだ。
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「解散」
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