103 / 297
総文字数記念
5000文字記念 5000円あるとしたら
しおりを挟む
「小芝居するのも面倒くさくなってきたから、直球で聞くけど、5000円あったら何する?」
「…」
妹は、スマホに夢中なのか答えてくれなかった。
もしくは、俺のことが嫌いになってしまったのかもしれない。
「…」
少し待ってみても、やっぱり妹は反応してくれない。
もしかして、聞こえてないのかな?
妹の肩を、トントンと叩く。
「…」
でもやっぱり、妹はスマホから顔を上げてくれない。
「おーい、妹!!聞こえてるか?」
ソファから立ち上がり妹の目の前で手を振りながら言った。
「え、なに?」
妹は、耳に軽く触れた後に、耳に手を当て言った。
妹は、どうやらイヤホンをしていたらしい。
最近のノイズキャンセリングってすごいんだな。
いつの間に、イヤホンなんてしたんだ?
さっきまでイヤホンなんてつけてなかっただろ。
どこから持ってきたんだよ。
いろいろ言いたいことはあるけれど、とりあえず妹の問いに答えるとしよう。
「5000円あったら何するか気になって」
俺の言葉に間髪を入れず、妹が答えた。
「お兄ちゃんの会話デッキってそれしか入ってないの?そんなに、それ聞いて楽しい?楽しいなら答えてあげてもいいけど。会話の導入に使おうとしてるなら、確実にお兄ちゃんに向いてない会話デッキだよ、それ。」
妹の辛らつな言葉に、お兄ちゃん、泣きそう。
確かに俺は、何でこんなことを聞き続けているのだろうか?
なんとなく気になって仕方がないのだ。
何でだろう。考えたことがなかった。
他の人との会話デッキには、この話題は全く入ってないのに、妹を目の前にするとつい聞きたくなってしまう。
「何でだろうな?他の人の金の使い方はどうでもいいんだけれど、何でか知らないが、お前の金の使い方だけ、異様な暗い興味がわいてくるんだよな。何でだろうこれ?」
今度真剣に考えてみよう。
「急にどうしたの?なんかすごく気持ち悪い。キモイ口説き方をしてるみたいになってるよ、お兄ちゃん。大丈夫?」
「俺の発言、そんなに気持ち悪かった?口説いてるつもりなんて全くなかったんだけど。妹相手に、口説き落とそうとか思っている兄がいたら、それは相当ヤバいやつだね」
妹に心配されてこんなにも心をえぐられることってあるんだなぁ。
ふて寝したいくらいには、落ち込んできた。
「それでなんだっけ?5000円で何するかだっけ?」
空気が重くなっていることを察したのか、妹が話題を戻してくれた。
やっぱりうちの妹は、優しいいい子だ。
中学校に入って口が多少悪くなってしまったけど、根はいい子なんだ。
良かった。妹が変わってなくて。
なんだか泣けてきちゃう。
適当な脳内芝居はこれくらいにしておいて、せっかく空気を換えようとしている妹の思いを無駄にしないように、全力でこたえていこう。
「そうそう、今度は5000円」
「5000円かぁ」
妹は、足をパタパタさせ始めた。
忘れてしまっている人が多いと思うのでおさらいしていこう。
うちの妹は、考えているふりをしているときには、顎に手を添える。
ちゃんと考えているときには、足をプラプラさせるのだ。
ちゃんと覚えておこう。
ここテスト出るからね。
暇だと、余計なことを考えてしまうなぁ。
そんなことを考えているうちに、妹の足のパタパタが収まってきた。
どうやら考えがまとまったらしい。
「ゲーセンで50回って答えを求められているんじゃないんだよね。それなら、今はまってるゲームのサントラ集のCDを買うかな。確かそれくらいの価格だった気がするから」
やっぱり、ゲーム関連なんだな。
根っからのゲーム好き、恐るべし。
「お兄ちゃんは、何するの?5000円あったら」
妹はこっちを上目遣いで見てきた。
俺は何も深く考えずに答えた。
「俺なら、普通に服とか買うかな」
「意外」
妹がやけに驚いたような顔をしている。
何でだろう?
「俺、そんな変なこと言ったかな?普通だと思うんだけど」
「いやいや、いやいや。さっきまで、あんなに適当なことばっかり言ってたのに、急に普通なこと言いだすから、疲れて頭が回らなくなったのかもって思っちゃった」
妹は、芸人顔負けの反応を見せた。
うちの妹、リアクション芸人行けるんじゃないかな?
「だって、お前がちゃんとツッコんでくれないんだもん。5テンポくらいツッコみが遅いから、これボケないほうがいいんじゃないかって思い始めてきたんだよ。もうちょっと、ツッコみにキレがあったらなぁ...」
「ボケないなら、ボケない方がありがたいんだけど。何か物足りないなぁ。何だろう。お兄ちゃんのボケが癖になってたのかなぁ」
何かが足りないと言いたそうな顔をする妹。
「うちの妹が、ドMになってる!!」
「ドMじゃない!!!」
妹が顔を真っ赤にしながら、ぽかぽかと俺の方を殴っている。
やっぱり、妹をいじるのは楽しいな。やめられない止まらない。
妹はしばらくすると怒り疲れたのか、自然と俺の方を殴るのをやめ、スマホへ意識を戻してしまった。
俺もまたスマホに集中しだしている。
この話題もまた終わってしまった。
俺は最後に小声でつぶやいた。
「解散」
「…」
妹は、スマホに夢中なのか答えてくれなかった。
もしくは、俺のことが嫌いになってしまったのかもしれない。
「…」
少し待ってみても、やっぱり妹は反応してくれない。
もしかして、聞こえてないのかな?
妹の肩を、トントンと叩く。
「…」
でもやっぱり、妹はスマホから顔を上げてくれない。
「おーい、妹!!聞こえてるか?」
ソファから立ち上がり妹の目の前で手を振りながら言った。
「え、なに?」
妹は、耳に軽く触れた後に、耳に手を当て言った。
妹は、どうやらイヤホンをしていたらしい。
最近のノイズキャンセリングってすごいんだな。
いつの間に、イヤホンなんてしたんだ?
さっきまでイヤホンなんてつけてなかっただろ。
どこから持ってきたんだよ。
いろいろ言いたいことはあるけれど、とりあえず妹の問いに答えるとしよう。
「5000円あったら何するか気になって」
俺の言葉に間髪を入れず、妹が答えた。
「お兄ちゃんの会話デッキってそれしか入ってないの?そんなに、それ聞いて楽しい?楽しいなら答えてあげてもいいけど。会話の導入に使おうとしてるなら、確実にお兄ちゃんに向いてない会話デッキだよ、それ。」
妹の辛らつな言葉に、お兄ちゃん、泣きそう。
確かに俺は、何でこんなことを聞き続けているのだろうか?
なんとなく気になって仕方がないのだ。
何でだろう。考えたことがなかった。
他の人との会話デッキには、この話題は全く入ってないのに、妹を目の前にするとつい聞きたくなってしまう。
「何でだろうな?他の人の金の使い方はどうでもいいんだけれど、何でか知らないが、お前の金の使い方だけ、異様な暗い興味がわいてくるんだよな。何でだろうこれ?」
今度真剣に考えてみよう。
「急にどうしたの?なんかすごく気持ち悪い。キモイ口説き方をしてるみたいになってるよ、お兄ちゃん。大丈夫?」
「俺の発言、そんなに気持ち悪かった?口説いてるつもりなんて全くなかったんだけど。妹相手に、口説き落とそうとか思っている兄がいたら、それは相当ヤバいやつだね」
妹に心配されてこんなにも心をえぐられることってあるんだなぁ。
ふて寝したいくらいには、落ち込んできた。
「それでなんだっけ?5000円で何するかだっけ?」
空気が重くなっていることを察したのか、妹が話題を戻してくれた。
やっぱりうちの妹は、優しいいい子だ。
中学校に入って口が多少悪くなってしまったけど、根はいい子なんだ。
良かった。妹が変わってなくて。
なんだか泣けてきちゃう。
適当な脳内芝居はこれくらいにしておいて、せっかく空気を換えようとしている妹の思いを無駄にしないように、全力でこたえていこう。
「そうそう、今度は5000円」
「5000円かぁ」
妹は、足をパタパタさせ始めた。
忘れてしまっている人が多いと思うのでおさらいしていこう。
うちの妹は、考えているふりをしているときには、顎に手を添える。
ちゃんと考えているときには、足をプラプラさせるのだ。
ちゃんと覚えておこう。
ここテスト出るからね。
暇だと、余計なことを考えてしまうなぁ。
そんなことを考えているうちに、妹の足のパタパタが収まってきた。
どうやら考えがまとまったらしい。
「ゲーセンで50回って答えを求められているんじゃないんだよね。それなら、今はまってるゲームのサントラ集のCDを買うかな。確かそれくらいの価格だった気がするから」
やっぱり、ゲーム関連なんだな。
根っからのゲーム好き、恐るべし。
「お兄ちゃんは、何するの?5000円あったら」
妹はこっちを上目遣いで見てきた。
俺は何も深く考えずに答えた。
「俺なら、普通に服とか買うかな」
「意外」
妹がやけに驚いたような顔をしている。
何でだろう?
「俺、そんな変なこと言ったかな?普通だと思うんだけど」
「いやいや、いやいや。さっきまで、あんなに適当なことばっかり言ってたのに、急に普通なこと言いだすから、疲れて頭が回らなくなったのかもって思っちゃった」
妹は、芸人顔負けの反応を見せた。
うちの妹、リアクション芸人行けるんじゃないかな?
「だって、お前がちゃんとツッコんでくれないんだもん。5テンポくらいツッコみが遅いから、これボケないほうがいいんじゃないかって思い始めてきたんだよ。もうちょっと、ツッコみにキレがあったらなぁ...」
「ボケないなら、ボケない方がありがたいんだけど。何か物足りないなぁ。何だろう。お兄ちゃんのボケが癖になってたのかなぁ」
何かが足りないと言いたそうな顔をする妹。
「うちの妹が、ドMになってる!!」
「ドMじゃない!!!」
妹が顔を真っ赤にしながら、ぽかぽかと俺の方を殴っている。
やっぱり、妹をいじるのは楽しいな。やめられない止まらない。
妹はしばらくすると怒り疲れたのか、自然と俺の方を殴るのをやめ、スマホへ意識を戻してしまった。
俺もまたスマホに集中しだしている。
この話題もまた終わってしまった。
俺は最後に小声でつぶやいた。
「解散」
20
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小説執筆マニュアル
百々 五十六
エッセイ・ノンフィクション
書き溜めた小説のアイディアを実際に小説に起こすときに、分かりやすく、すぐに書けるようマニュアルとして残しておくための保管庫としての設定資料集です。
この小説を実際に読んでみたいなどの感想をお待ちしています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる