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桜のように散った私たち【読み切り版】【僕Ver.】(未完)

優柔不断な僕が嫌い

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「なんで生きてるんだろう。自殺しようかな」



目が覚めてふと思った。

こんなにも苦しいのに生きている意味なんてあるんかな。

自殺と言っても色々な種類がある。練炭だったり、首吊りだったり、はたまた、オーバードーズだったり。

まず練炭自殺はできない。

僕の家には火災報知器がついている。

それが反応してしまうからだ。

車の中でやるとしても、親が共働きなのでいつも車は出払っている。

それに、練炭自殺って暑そう。蒸し焼きにされて汗だくで死ぬの嫌だなぁ。

じゃあ、オーバドーズはどうだろうか。

僕は健康体なので、そんな死に至る可能性のある薬品なんて持ってない。それに、薬物を大量に接種するとか、口の中薬品まみれで気持ち悪そう。想像しただけで吐き気をもよおす。

薬の苦味を死ぬ瞬間まで感じるような死に方、嫌だなぁ。

やっぱり、首吊りしか無いのかな?

じゃあ、とりあえず家にあるロープでも探すか。

ということで集めました、家中のロープ。

まずこの縄。

これは、僕が小学生の時に縄跳びに使っていた縄だ。

見た目は砂の汚れが目立ち、地面に当たっていたであろうところは、縄がケバケバになっていて、少し細くなっている。

触ってみたら、砂で少しザラザラあしていた。全体的に解れてきていて、強度が心配だ。

あと、首に不快感が残りそうなロープなので却下。

次に、父のキャンプ用品から拝借した縄たち。

キャンプ用品らしい、黄色から緑、茶色まで、様々な色と大きさの縄たち。

見た感じ丁寧に保管されていて、経年劣化も汚れもないように見える。

触ってみても、しっかりとした作りで、さすが、テントなどを支えてきた縄だなと思った。

でも、人工的な繊維でできていて、首がチクチクしそうだから却下。

次に、電源コード。

わりとしっかりした作りで、人一人持ち上げても壊れなさそうな作りをしている。

見た目も汚れている感じもしない。

これはいいのでは?と期待が高まる。

首に当ててみると、ビニールの冷たさが不快だ。あと、細すぎて首に食い込みすぎてしまう。ということで電源コードも却下。

もう家に良さそうな縄はない。

ホームセンターに見に行こう。善は急げだ。

自転車を走らせ近場のホームセンターまで来た。

店員にロープ売り場の場所を聞くと、珍しいのか驚いた顔をして案内してくれた。

ロープ売り場には様々なロープがあった。

糸のように細いものから、綱のように太いものまで。

金属からナイロンまで。多種多様なロープが売り場を彩っていた。

しかし、そのロープ売り場を見ても、理想的な縄を見つけることができなかった。どれもどこか一つたらない。長さだったり、強度だったり、手触りもあった。

理想的なロープを見つけられずとぼとぼと帰路につく。


家に戻ってきて、部屋に散らばる縄を見て冷静になった。

何してたんだろう。こんなに部屋も汚して、ホームセンターに行っても何も収穫がなくて、本当何してんだろう。

自殺しようと思ってたのに。

死に方にも、道具にも何かとケチつけて、無意識に死ぬことを避けてたんだな。

何だよ肌触りが悪いとか。今から死のうって時に気にすることじゃねえんだよ。そんなに切羽詰まってるわけでもないのに死のうとする自分がダサすぎる。もうちょっと頑張ろうとしろよ。努力の方向性が違うだろ。

死のうと決意しても、そんな臆病なとどまり方してたのかよ僕。

自分が酷く見にくく感じる。

よく考えずに死のうとするところも、他に原因を作って死ねなかったことにしようとしていたことも。

僕は口先だけだったんだな。

それは人から好かれないわ。

僕だったら嫌だもんこんな口先だけのやつ。

辛いことがあったときにすぐに「死ぬ」とかいうやつにはなりたくなかったな。

僕は所詮その程度の人間なんだな。

自分はもっと信念を通す人だと思っていた。死ぬと決めて、無意識に死を避けるような軟弱者に成り下がっていたことがとてもショックだ。

あぁ僕には死ぬ価値もないんだなぁ。


なんかなんにもやる気が出なくて、ぼーっとしていると、母が仕事をおえて返ってきた。

「あんたなにしてんの?こんな縄ばっか集めて。それに目の焦点もあってないし。あんたまさか!!死のうとしたんじゃないでしょうね?!!」

母が怒鳴り散らして僕のもとに駆け寄ってきた。

「……」

母の剣幕に圧倒され全く反応できなかった。

「ねえ、聞いてんの?!!」

僕の両肩を掴み激しく揺さぶる。

「……」

母の激しい揺さぶりに声が出ない。

揺れに耐えきれなく、首を思わず縦に振ってしまった。

「今うなずいたわね?!!やっぱり死のうとしたのね!!そんな馬鹿な真似、二度とすんじゃ無いよ。あんたが死んだらどんだけ悲しむと思ってんの?!!親より先に死のうなんて考えるんじゃないわよ!!」

やっと母の揺さぶりから開放された。

しかし、さっきの倍以上の声量で、怒鳴り散らされた。骨に響くほどの大声だった。

「部屋を片付けて、リビングに来なさい。ご飯よ」

それだけ言うと、母は、部屋を出ていった。

去り際、つぶやくように

「いつからあんな子になっちゃのかしら…」

と言って、ため息を付いた。



やっぱり、僕には生きる意味も死ぬ価値もないんだな。

は、ははっ。



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