上 下
98 / 257
総文字数記念

10文字記念 10円あるとしたら

しおりを挟む
「じゃあさ、妹よ10円あったら何をする?貯金という選択肢はなしな、つまらないから」
妹は、スマホから視線を上げ、こちらに向き直った。
妹は、頬を膨らませて言う。
「えぇ、さっきお兄ちゃん貯金って言ってたじゃん。お兄ちゃんだけできるとかずるい、私も貯金がいい」
ぽかぽかと俺を殴ってくる妹をいさめながら言った。
「いやいや妹よ。10円貯金したからって、大した事はできないぞ。それなら、10円でできることを探して使ったほうが面白くないか?」
妹は、顎に手をやり悩んだふりをしている。
あざといなぁ。
「でもでも、さっきお兄ちゃん言ってたじゃん!!1円を笑うものは1円に泣くって!!だから、10円も大切に貯金すれば、ちりも積もれば山となすっていうし、貯金がいっぱいになるんじゃないの?」
妹は、必死に身振り手振りを駆使して、俺に訴えかけてくる。
その途中で、妹の手が俺の鼻の穴にクリーンヒットした。
痛ってぇな。
さすがの妹でも許さなかったので、とりあえず拳骨を一発お見舞いしてやった。
「確かに、妹の言う通りでもあるんだが、使うことも大切だぞ。昔の10円の価値と今の10円の価値の感じ方は変わるものじゃないか?小学生の時にお駄賃で10円をもらったら、喜んでただろ?でも、今お使いのお駄賃に10円もらったらお前キレるだろ?wwその時大切な10円でも、貯金して後になったらはした金になってるかもしれないんだぞ。大事に思えてるうちに使ってしまうのも一つの手だろ?」
俺は、ペラペラと適当なことを言う。
うちの妹は、ピュアだから簡単に言いくるめられるはずだ。
「確かにそうかも。今のうちに10円を使っておいた方がいいかもだね!!」
ほら、言いくるめられた。
騙されやすすぎない?
お兄ちゃん、妹の将来が心配だよ。
壺とか買わされそうで怖いんだけど。
さすがにスピリチュアルな壺は買わないよね?何か不安になってきちゃった。
「お兄ちゃん何で急に見つめてくるの?無言で見つめられると怖いんだけど…」
妹の心配をしていたら、見つめてしまっていたらしい。
妹がドン引きしてる。
妹の心配をしてあげてただけなのに、悲しい…
「じゃあ、もう一回聞くけど、10円あったら何をするの?」
妹は、足をパタパタと揺らしながら、考え出した。
今度こそ真剣に悩んでいるらしい。
うちの妹は、真剣に悩むと、足をパタパタさせる癖がある。
真剣に悩んでる妹可愛い。
「うーん、どうしようかな?うーん…あ、駄菓子買うかな。うま〇棒とか」
駄菓子かぁ。
食い意地はってる妹らしい解答だけど、あれ?
気になったことがあったのでスマホで素早く調べる。
「妹よ。今、うまい棒って11円らしいぞ」
衝撃的なことに、今ってうま〇棒11円するらしい。
変わっちまったな。
ちょっとだけ寂しい気持ちになった。
「やっぱり、1円を馬鹿にしちゃったから、1円に泣かされるんだぁ。どうしよう、祟りかな?1円の逆襲?」
妹が変なことを言っているので、妹の方を見る。
妹が、めちゃくちゃあたふたしていた。
変な方向に、お祈りとかし出した。
やっぱり、妹の将来が心配になってきた。
「そんな慌てることじゃないだろ。ただ、消費税が上がっちゃっただけだ」
俺の言葉を聞いた妹は急に、スンとなった。
「確かにそうだね。10%になったんだっけ。確かにそうだよね、急に私に対して、全部の物が1円値上がりする呪いがかけられた、とかなわけないよね!!安心したぁ」
うちの妹は、想像力がすごいらしい。
1円値上がりする呪いってww
そんなわけないけど、受けたとしたら地味に嫌だなぁwww
「うま〇棒買えないってなったら、どうするんだ妹よwww」
「もう!!笑わないでよお兄ちゃん!!」
妹は頬を膨らませながら、抗議の視線を送ってくる。
ハムスターみたいでかわいいw
「じゃあ、コンビニのレジ横に置いてある、10円ガムのガチャガチャする」
妹の可愛さに笑っていたら、妹が不貞腐れたみたいにシュンとなってしまった。
不貞腐れた妹もかわいいw
「じゃあ、お兄ちゃんに聞くけど、お兄ちゃんならどうするの?10円あったらどうするの?」
うまいカウンターパンチがきまったみたいな自慢げな顔をする妹。
「俺は、さっきの貯金した1円と合わせて、11円にしてうま〇棒を買うかな?ww」
適当に返すと、妹は衝撃を受けたみたいだ。
妹は、しばらく口をあんぐりと開けて、止まってしまった。
しばらくして妹は、フリーズから解けた。
「これが1円に対する気持ちの差なの?」
すごい驚いてるらしい。
ボケたつもりなのに、天啓で設けたみたいな顔してる妹可愛いww
「ていうか、さっきの話とは、別の話でしょ!!ちゃんと10円の使い方の話をして!!お兄ちゃんの馬鹿っ」
妹は、俺をぽかぽかと殴り始めた。
「分かったよ分かった。そうだな、お前と一緒にガムのガチャを回すかな?w」
「独創性がない」
妹は、そう不貞腐れてつぶやいた。
それから妹は、興味をなくしたのかスマホに視線を戻した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜合体編〜♡

x頭金x
恋愛
♡ちょっとHなショートショートつめ合わせ♡

処理中です...