世界を作った者たちの話～エパノルトーマ伝記～

1章 神の孤独

新しい世界 感動より先に

世界ができた。
名前も付けて愛着がわいた。エパノルトーマができて、神は満足してしまった。
極度の集中からくる疲労感と、大きなことをなした達成感、高揚感から猛烈な毛向けが襲ってきた。そこから数万年、神は眠りについた。
久しぶりに神は目覚め、思い出した。自らの孤独を。
そして再び生命を生み出すことにした。
前回は、完全体を作り失敗してしまった。そこで神は、自らの能力の一部のコピーだけを、新しく作る生命体に与えようと考えた。そして残りのリソースに成長する能力を与えようと考えた。
神は片手間に100の生命体を生み出した。
そして、100の生命体とともに近くにあった星へと降り立った。
神はまず、統率能力を与えた者に、名前と役職を授けた。
「そこのお前、ちょっと来い。そう、お前だ。お前に、リーデルの名前を授ける。これからお前には、お前たちのまとめ役をやってもらう。」
「はっ!ありがたき幸せ」
リーデルとなずけられた青年は、膝をつき返事をした。
「まず、全員に名前を与えてやれ。そして今作ったこのリストに、顔と与えた能力が書かれている。これに全員の名前を書いていけ。」
「全力で行います！」
神は、初めてのコミュニケーションで緊張してしまい、堅い話方になってしまったと反省した。
リストを受け取ったリーデルは、早速皆のところに行き、指示を出し始めた。
神はそれを遠目に、初めてまともにコミュニケーションが取れた幸せと、少しきつい口調になってしまった申し訳なさでいっぱいになっていた。
しばらくすると、神のもとにリーデルが駆け寄ってきた。
「名前を決めることに難航しております。不甲斐なくて申し訳ないのですが、1日いただいてもよろしいでしょうか？」
深々と頭を下げたリーデル。
「良い。これから一生使っていく名だ、真剣に悩むといい」
どうしたら砕けた話し方ができるだろうかと思いながら神は答えた。
「それと、もう一つだけよろしいでしょうか？」
「なんだ言ってみろ」
やはり神は緊張で、ぶっきらぼうになってしまう。
「私たちは、貴方を何と呼べばよろしいのでしょうか？」
「そうか、私の名か。考えておこう。ここで瞑想をしながら考える、そなたらの名づけが終わり次第声をかけよ。その時に私の名を伝えるとしよう。そうだな、それまでは神とでも呼んでおくとよい」
「はっ！神よ、了解しました」
「よし。では作業に戻れ」
神は自らのあまりの口調の堅さに、子供に対して、ぶっきらぼうな口調になっちゃう父親の気持ちってこうなのかなぁと思った。
神は思った、もうちょっとあいつらと距離を縮めたいなぁと。
それから、瞑想を始めた。