最愛Lovers

らいねこ

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後日談 16

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マネージャーらしき男の人が、説明をしてくれる。




「これはですね、職人がひとつひとつ丁寧に掘っているのですよ。間近で見れますよ」




ケースから、イヤーカフを取り出した。




「どうぞ、手に取ってご覧下さい」




颯人はイヤーカフを初めて見た。


耳に穴を開けなくても出来る、挟むイヤリングみたいな物だった。


唯一、イヤリングと違うのは耳の横というだけの、する場所が違うぐらいだろうか。


颯人は、手に取った。


デザインが気になったからだ。




「この、デザインの花は…ジャスミンですか?」




「はい、その通りですよ。素材はシルバーでございます」




ジャスミン、漢字で書くと『茉莉花』。


茉莉の漢字が使われる花のデザインをされたイヤーカフは、美しかった。




(俺が着けても、変じゃないだろうか…)




綺麗に彫られている茉莉花のイヤーカフ、着けてみたかった。




「どうぞ、お着けになっても大丈夫ですよ」




考えている事が、見透かされたように言われた。




「じゃあ…着けてみます」




颯人はイヤーカフを手に取る。


取りつけは耳に挟むだけの、簡単なイヤリング。


慣れない耳の重さに、イヤーカフがボトッと落ちるんじゃないかとヒヤヒヤしたが、大丈夫だった。


両耳にイヤーカフを着けて、鏡を見た。


花と蔦のデザインは、しっくりと自分に似合っている気がした。




(…どうしよう、でも!)




「あのっ、これをください!」




颯人は店員に言った。


少し値の張るものだが、どうしても欲しい。


好きな人の名前の入った花のイヤーカフは、颯人に買われるのを待っていた様に感じた。




「ありがとうございます!お着けになって行かれますか?」




「はい」




「では、会計の方を…」




電卓で金額を表示された。


持っていた金額だったから、払えたことに安堵した。




「颯人?何を買ったの?」




茉莉が1人で用紙に記入していたのが終わったらしく、こっちに来た。


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