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1年後
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愁が会長に就任して、今はまさに生徒会役員がやっと決まった。
愁は"姫"に、雨宮咲を推薦した。
茉莉は1年後の今でも、生徒会顧問をしている。
"姫"になった咲から、茉莉と颯人の『なれそめ』を聞きたいとせがまれて、今まで話していた。
性的な部分を隠しつつ話すのは、容易な事ではなかった。
だが、愁と咲の幼馴染みの高城天が怖い顔をしながら圧をかけてきたので、何とか頑張って話し終えた。
「わぁ~っ!それで茉莉ちゃん先生と颯人先輩は、両思いになったんだぁ!」
目の前でキラキラと目を輝かせながら、現在の姫は嬉しそうに言った。
「…愁にも手伝ってもらったし、何とかこのヘタレを現在、飼い慣らしているところ」
「颯人…飼い慣らすって、恋人なんだから」
茉莉が寂しそうに、颯人に文句を言った。
「そう言っても、颯人先輩が茉莉ちゃん先生の事が大好きなのが良くわかります!」
その言葉に、颯人は顔を赤らめた。
(…自分の事になると、不器用だよなー)
茉莉は、隣に座っている颯人の左手を取った。
そして自分の口元まで持っていき、手の甲にキスをした。
「俺の『姫』は、颯人だけだからね」
茉莉は、ずっと変わらず人前でも颯人に、愛を伝え続けている。
「愛しているよ」
耳元で囁かれて、颯人は軽く茉莉の身体を叩いたが、それだけで終わってしまった。
(あとで、ベッドでたっぷりと颯人の気持ちを聞こう)
颯人は決して人前でイチャイチャしてくれないが、2人っきりになると嬉しそうに笑ってくれる。
(可愛い颯人は、2人だけの時に…)
鼻の下が伸びていたらしく、また颯人に小突かれた。
「と、いうことは颯人先輩は、『姫』でも先輩なんですね!」
癒し系の姫に言われて、颯人の目尻が下がった。
どうも颯人は、小さくて可愛い系に弱いらしい。
天や、茉莉の末妹のなずなにも優しく微笑んでいる。
颯人曰く、『大きいサイズは色々と周りにいるから』らしいが、それだけではなく構いたくなるのではないかと茉莉は思っていた。
「…そういえば、奈都先輩は?」
天が聞いてきた。
「奈都は、風紀委員の集まりだって言っていたなぁ」
「もう少ししたら、来ると思うよ」
ガラッと、生徒会室のドアが開いた。
「悪い!遅くなった!」
奈都が入ってくる。
「大丈夫だよ、忙しいのに悪いね」
愁が、風紀委員と掛け持ちをしている奈都を労った。
「自分で言った事だから。それよりも、部活の金の試案を紙に出したから見て欲しい」
今日は、会計の奈都が今年の部活の経費をパソコンで打診した数字を見る日だった。
奈都が手元から、印刷した紙をみんなに配った。
「じゃあ、始めようか」
愁の号令で、部活の経費の試案が話し合われようとしていた。
茉莉は颯人の手を握ったままで、話を聞いていた。
颯人も、嫌がらずに繋いだ状態でいる。
咲が羨ましそうに愁を見て、愁もまた咲の手を握った。
微笑ましい『現生徒会長と後輩の姫』の2人を見て、茉莉と颯人はお互い見つめ合って微笑み合ったのだった。
E N D
愁は"姫"に、雨宮咲を推薦した。
茉莉は1年後の今でも、生徒会顧問をしている。
"姫"になった咲から、茉莉と颯人の『なれそめ』を聞きたいとせがまれて、今まで話していた。
性的な部分を隠しつつ話すのは、容易な事ではなかった。
だが、愁と咲の幼馴染みの高城天が怖い顔をしながら圧をかけてきたので、何とか頑張って話し終えた。
「わぁ~っ!それで茉莉ちゃん先生と颯人先輩は、両思いになったんだぁ!」
目の前でキラキラと目を輝かせながら、現在の姫は嬉しそうに言った。
「…愁にも手伝ってもらったし、何とかこのヘタレを現在、飼い慣らしているところ」
「颯人…飼い慣らすって、恋人なんだから」
茉莉が寂しそうに、颯人に文句を言った。
「そう言っても、颯人先輩が茉莉ちゃん先生の事が大好きなのが良くわかります!」
その言葉に、颯人は顔を赤らめた。
(…自分の事になると、不器用だよなー)
茉莉は、隣に座っている颯人の左手を取った。
そして自分の口元まで持っていき、手の甲にキスをした。
「俺の『姫』は、颯人だけだからね」
茉莉は、ずっと変わらず人前でも颯人に、愛を伝え続けている。
「愛しているよ」
耳元で囁かれて、颯人は軽く茉莉の身体を叩いたが、それだけで終わってしまった。
(あとで、ベッドでたっぷりと颯人の気持ちを聞こう)
颯人は決して人前でイチャイチャしてくれないが、2人っきりになると嬉しそうに笑ってくれる。
(可愛い颯人は、2人だけの時に…)
鼻の下が伸びていたらしく、また颯人に小突かれた。
「と、いうことは颯人先輩は、『姫』でも先輩なんですね!」
癒し系の姫に言われて、颯人の目尻が下がった。
どうも颯人は、小さくて可愛い系に弱いらしい。
天や、茉莉の末妹のなずなにも優しく微笑んでいる。
颯人曰く、『大きいサイズは色々と周りにいるから』らしいが、それだけではなく構いたくなるのではないかと茉莉は思っていた。
「…そういえば、奈都先輩は?」
天が聞いてきた。
「奈都は、風紀委員の集まりだって言っていたなぁ」
「もう少ししたら、来ると思うよ」
ガラッと、生徒会室のドアが開いた。
「悪い!遅くなった!」
奈都が入ってくる。
「大丈夫だよ、忙しいのに悪いね」
愁が、風紀委員と掛け持ちをしている奈都を労った。
「自分で言った事だから。それよりも、部活の金の試案を紙に出したから見て欲しい」
今日は、会計の奈都が今年の部活の経費をパソコンで打診した数字を見る日だった。
奈都が手元から、印刷した紙をみんなに配った。
「じゃあ、始めようか」
愁の号令で、部活の経費の試案が話し合われようとしていた。
茉莉は颯人の手を握ったままで、話を聞いていた。
颯人も、嫌がらずに繋いだ状態でいる。
咲が羨ましそうに愁を見て、愁もまた咲の手を握った。
微笑ましい『現生徒会長と後輩の姫』の2人を見て、茉莉と颯人はお互い見つめ合って微笑み合ったのだった。
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