最愛Lovers

らいねこ

文字の大きさ
上 下
59 / 88

決心 6

しおりを挟む
茉莉の右手が、颯人の左頬に触れた。


「…颯人、何で泣いているの」


「それは!感極まって…」


「急に、他人行儀になって」


「それは、先生なんだから…」


颯人が誤魔化そうとしている。


茉莉は確信をもったからこそ、言わなければならない言葉があった。


(今言えなければ、本当に一生悔やんでも悔やみきれない!)


颯人が手に力を込めて、茉莉を振りほどこうとしている。


(ここで上っ面の大人の態度を出したら、颯人が逃げてしまう!あの時みたいに、もう後悔したくない!!)


「颯人、好きだ!!」


「っ!」


颯人の身体が、ビクッと跳ね上がった。


必死で力を込めていた颯人の手は、急に力を緩めた。


逃げるのを辞めた颯人を、それでも茉莉は腕を掴んだまま今まで隠してきた想いを全部、ぶつけた。


「颯人が好きだ!出会って、少し経ってから好きだと自覚した。颯人は小学生だったけど、その時から颯人の事を抱きたいと思っていた!」


颯人は顔を上げ、ジーッと茉莉を見ていた。


「気持ち悪く思うかもしれないけど、ロリコンっていうか、それも颯人だけしか反応しなかったし」


(自分で何を言っているのか、わからなくなってきた!)


言いたい事がありすぎて、整理がつかないまま話してしまい、頭の中がパニックになる。


「とにかく!颯人が今でも、一番好きなんだよ!!大好きだ!」


離してやるものかと再び、颯人を抱き締めた。


颯人が、口を開いた。


「…やっと、言った」


茉莉の胸元で、言った。


「…え?」


茉莉はビックリして颯人を見た。


「そんなの知ってる。百合ちゃんにも茉莉が俺の事を好きだって、前々から聞いてたから」


茉莉は混乱した。


「百合?…前々って?」


(何の話?)


いきなり妹の名前が出て来て、意味がわからなかったが、颯人が説明をしてくれた。


「百合ちゃんとは、俺が中学生の時に再会しているよ」


「な?!この前じゃなくてか?」


「…初恋の茉莉を忘れられるわけないから、愁にも手伝ってもらって、茉莉を探していたの!」


「え…えっ?」


(初恋?颯人の?)


「茉莉が見つからなくて、百合ちゃんが『美人過ぎるCA』っていう新聞の取材を受けていて、そこからアポ取って百合ちゃんに会いに行った」


(そういえば、CAの養成学校で取材を受けたと言っていた気が…)


『まだCAにもなってないのに気が早い!』と、ぼやいていた。


「で、茉莉の勤務先がこの高校だって聞いて、ここに進路を決めたんだよ」


「…じゃあ?俺を追ってきたって事?」


「そう!だから、協力してくれた愁には感謝してるし、今でも仲が良いんだよ」


不安だった事を、サラッと言われた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

処理中です...