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らいねこ

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決心 5

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茉莉は、颯人の腰に手を回した。


そして、お互いゆっくりと唇を近づけた。


「ふぁ…んっ」


「…ん」


舌を絡ませ合う。


次第に激しく、口づけをしていった。


颯人の上顎を舌でなぞると、颯人の身体は歓喜で震えた。


もっと、と颯人は茉莉の後頭部を撫でて、深い口づけをする。


クチュクチュと唾液が混ざる音が、廊下に響いた。


今、誰かに見られたらと思ったが止められそうにない。


「は…んっ」


「ふ…っ、んんっ」


舌が、どっちがどっちの物なのかわからなくなる。


唾液もお互いのが混ざり合い、水音が激しくなる。


お互いが溶けて、1つになっていく感覚に襲われた。





しばらく経ってから、颯人から唇を離した。


そして、颯人は2歩後ろに下がり、茉莉との身体の距離も離した。


「要先生」


「っ!」


颯人が出会った頃の他人行儀な呼び方で、茉莉にお別れを言った。


「颯…」


「本当に、ありがとうございました」


そう言って、頭を深々と下げた。


茉莉は、何も言えなかった。


少し経ってから、颯人が頭を上げた。


「早く部屋に戻って。誰か来たら、先生が困るでしょ?」


「困る事は…無い」


(お別れすると、また他人行儀に戻ってしまうのか?)


颯人の肩を触ろうとしたが、颯人はその手を払った。


「っ…」


ショックだった。


さっきまでのキスは何だったのか…。


「要先生、さようなら」


そう言った瞬間、颯人の左目には涙がひとすじ、流れ落ちた。


茉莉は、ハッとした。


(あっ)


ようやく、違和感がわかった。


何故、颯人が自分を選んだのか。


キスをしてもセックスをしても、嫌がらずに今まで出来たのか。 


レッスンと言いながら、恋人の様に愛し合えたのか。


どうして別れる時に、他人行儀に戻ったのか。


全てが重なっていき、バラバラのピースが1つ1つ、合わさっていく。


そして最後のピースが『カチャッ』と、はまった…。

颯人は、慌ててドアを閉めようとした。


しかし、茉莉の方が早く動き部屋に入った。


茉莉の後ろで、ドアが閉まる。


颯人の肩を掴み、茉莉の方に顔を向かせた。


「っ!」


颯人の右目からも、涙が溢れていた。


確信に変わった。


期待で胸が高鳴る。


「颯人」


「来な、いで…」


颯人が茉莉を軽く突き飛ばし、身体を翻した。


茉莉は部屋の奥に逃げる颯人を追いかけて、左腕を掴まえた。


ギュッと力を入れて、茉莉の身体の方に颯人の身体を引っ張り、抱き締めた。


「…離して、先生」


「先生は、やめろ」


(もう、間違わない!)


「…離して」


颯人の声が弱々しく、震えている。


「嫌だ」


「…っ」


茉莉は颯人を、腕の中に閉じ込めた。




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