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デート 4
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季節は秋に入ったので海に入って泳いでいる人はいるが少ない。
家族連れや友達同士、カップルの数もまばらの状態でみんな各々が海を楽しんでいた。
「海は久しぶりだな」
広く青い海は、太陽の光で水面がキラキラとしていて綺麗だった。
「俺も、久しぶりかな」
女性用の帽子を被っている颯人に、周りの人は男だと気づいていない様だった。
颯人は打ち寄せる波の近くまで行き、砂の上に座る。
茉莉も隣に座った。
「そういえば、新しい部屋はどうだ?」
レッスンをしなかったが、約1週間の間で颯人の周りは変わっていた。
愁が来年の生徒会長として正式に決まった。
『他の役員を決めておいてくれ』と愁にお願いしたら思っていた通り、颯人を副会長に推薦してきた。
颯人は愁がもし姫を決めた時に姫の服を作るという事と、推薦で洋裁をする事で入学をしたので早い段階でAランクの部屋を与えられた。
ミシンを使うので、1人じゃないと騒音の問題で相部屋に出来ないから1人部屋になったのだった。
「時間に縛られなくて良いかも。愁には迷惑かけていたし」
「そっかー」
気になっていたから、聞いた。
「愁、とは仲が良いよな」
「うん、中学の時からの親友だから」
(中学時代の颯人か…)
自分の知らない颯人がいるのが、嫌だった。
(会話の選択、間違ったな…)
「…百合ちゃん、幸せそうだね」
颯人から、違う話題を振ってきた。
「あぁ、そうだな。絢くんは本当に百合の事を、大事にしてくれてる」
「忙しい人みたい…でしょ?」
「大手の花杜コーポレーションの、社長秘書だからなぁ」
「すごい人…だったんだ」
颯人が驚いていた。
「人前でもラブラブを見せつけられるから、たまったものじゃないぞ」
(俺だって颯人と、って何回思ったことか)
悔しいしか言えない。
「羨ましいな、大好きな人とイチャつけるなんて」
「…颯人」
「俺も、ラブラブしたいな」
(…っ、颯人は今、好きな奴の事を考えている)
海から、強い風が吹いてきた。
「わ…」
颯人の帽子は広がっているので、風を受けやすい。
颯人が慌てて帽子を押さえる。
両手で押さえていたせいか、颯人の身体は風に立ち向かえず茉莉の方に倒れた。
茉莉は、しっかりと颯人の身体を抱きしめた。
「…」
「…」
お互い無言のまま、風が治まるのを待つ。
「颯人、大丈夫か?」
「ん、百合ちゃんの帽子飛ばなくて良かった」
風が止んだ。
颯人が顔をあげる。
(…目が潤んでる。可愛すぎる!キス…したい)
茉莉は躊躇いもなく、少し身体を屈めて颯人にキスをした。
家族連れや友達同士、カップルの数もまばらの状態でみんな各々が海を楽しんでいた。
「海は久しぶりだな」
広く青い海は、太陽の光で水面がキラキラとしていて綺麗だった。
「俺も、久しぶりかな」
女性用の帽子を被っている颯人に、周りの人は男だと気づいていない様だった。
颯人は打ち寄せる波の近くまで行き、砂の上に座る。
茉莉も隣に座った。
「そういえば、新しい部屋はどうだ?」
レッスンをしなかったが、約1週間の間で颯人の周りは変わっていた。
愁が来年の生徒会長として正式に決まった。
『他の役員を決めておいてくれ』と愁にお願いしたら思っていた通り、颯人を副会長に推薦してきた。
颯人は愁がもし姫を決めた時に姫の服を作るという事と、推薦で洋裁をする事で入学をしたので早い段階でAランクの部屋を与えられた。
ミシンを使うので、1人じゃないと騒音の問題で相部屋に出来ないから1人部屋になったのだった。
「時間に縛られなくて良いかも。愁には迷惑かけていたし」
「そっかー」
気になっていたから、聞いた。
「愁、とは仲が良いよな」
「うん、中学の時からの親友だから」
(中学時代の颯人か…)
自分の知らない颯人がいるのが、嫌だった。
(会話の選択、間違ったな…)
「…百合ちゃん、幸せそうだね」
颯人から、違う話題を振ってきた。
「あぁ、そうだな。絢くんは本当に百合の事を、大事にしてくれてる」
「忙しい人みたい…でしょ?」
「大手の花杜コーポレーションの、社長秘書だからなぁ」
「すごい人…だったんだ」
颯人が驚いていた。
「人前でもラブラブを見せつけられるから、たまったものじゃないぞ」
(俺だって颯人と、って何回思ったことか)
悔しいしか言えない。
「羨ましいな、大好きな人とイチャつけるなんて」
「…颯人」
「俺も、ラブラブしたいな」
(…っ、颯人は今、好きな奴の事を考えている)
海から、強い風が吹いてきた。
「わ…」
颯人の帽子は広がっているので、風を受けやすい。
颯人が慌てて帽子を押さえる。
両手で押さえていたせいか、颯人の身体は風に立ち向かえず茉莉の方に倒れた。
茉莉は、しっかりと颯人の身体を抱きしめた。
「…」
「…」
お互い無言のまま、風が治まるのを待つ。
「颯人、大丈夫か?」
「ん、百合ちゃんの帽子飛ばなくて良かった」
風が止んだ。
颯人が顔をあげる。
(…目が潤んでる。可愛すぎる!キス…したい)
茉莉は躊躇いもなく、少し身体を屈めて颯人にキスをした。
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