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3日目
3日目 5
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4人でソファーに座った。
「咲は、うちの学校の推薦枠は文系だったよね?」
茉莉が咲に聞いた。
「はい」
ふと、疑問に思った。
「…ところで先輩達は、何で推薦をとったんですか?」
「成績が少し良かったから…」
愁が遠慮がちに言う。
「何、少しって言ってるんだよ。愁は全教科トップで推薦取ったくせに」
「見えるものが白黒だから、文字では困らないからね」
愁は笑っていた。
「颯人は、この技術だよな」
「手芸で入れるとは思わなかったけど。ウチの高校は寛大だよな」
「颯人は、自分だけのブランドを立ちあげたしね」
「すごいですね!!」
颯人の手際の良さは、咲の身体を測ったのを見る限りでもわかる。
「自分の名前からブランド名をとって『hart』として、活動をし始めたところ」
颯人は照れながら言った。
「茉莉先生と、名前を付けたんだろ?」
そう愁が言うと、颯人は頬を朱に染めて動揺した。
「っ!!な、何で知って…」
「いや、颯人はブランド名とか、考えられないかなって」
「あははっ!正解。俺が考えた」
茉莉が笑った。
「…茉莉ちゃん先生と颯人先輩は、本当に仲が良いですね」
何気ない咲の言葉に颯人は固まった。
「…あ~うん、まぁ」
何か歯切れが悪い。
「颯人、咲に教えてもいいんじゃないの?」
茉莉が軽く言うが、颯人は茉莉を止めた。
「い、いや待て」
「だって、生徒会室に通うんだから、そのうちわかるよ?」
「駄目…だろ」
「俺はいいけど?」
茉莉がしれっと言う。
「…咲、ならいいか」
「だろ?」
茉莉は咲に向き直った。
「咲、びっくりするかもしれないけど…俺と颯人は真剣なお付き合いをしているんだ」
茉莉が真面目な顔で言った。
「え?…お付き合いって」
「ん~、つまり恋人同士ってこと」
茉莉が颯人の肩を抱いた。
「…っ!!そうなんですか、素敵ですね!!」
びっくりはしたが、何となく2人の空気は甘い感じはした。
「颯人の事、好きで好きで仕方ないんだ。教師を辞めてもいいぐらい好き」
「茉莉!教師を辞めるって言うなよ…」
そういう颯人は、優しい顔を茉莉に向けていた。
そんな中で愁が口を開いた。
「この2人は昔からの知り合いなのに、付き合うのにも時間はかかるし、付き合った後も俺は茉莉先生から『颯人と何もないよな』って言われ続けているんだけど」
「愁と、あるわけないだろ?!」
颯人は茉莉を叩いた。
「だってお前達、すっごく仲が良いからっ」
「…どうしょうもないな」
颯人はため息をついた。
「ただの親友なんだけどね」
ははっ、と愁は笑った。
(恋人同士だったんだ…。なんか、すごくいいなぁ)
咲は2人を羨ましそうに見つめた。
「咲は、うちの学校の推薦枠は文系だったよね?」
茉莉が咲に聞いた。
「はい」
ふと、疑問に思った。
「…ところで先輩達は、何で推薦をとったんですか?」
「成績が少し良かったから…」
愁が遠慮がちに言う。
「何、少しって言ってるんだよ。愁は全教科トップで推薦取ったくせに」
「見えるものが白黒だから、文字では困らないからね」
愁は笑っていた。
「颯人は、この技術だよな」
「手芸で入れるとは思わなかったけど。ウチの高校は寛大だよな」
「颯人は、自分だけのブランドを立ちあげたしね」
「すごいですね!!」
颯人の手際の良さは、咲の身体を測ったのを見る限りでもわかる。
「自分の名前からブランド名をとって『hart』として、活動をし始めたところ」
颯人は照れながら言った。
「茉莉先生と、名前を付けたんだろ?」
そう愁が言うと、颯人は頬を朱に染めて動揺した。
「っ!!な、何で知って…」
「いや、颯人はブランド名とか、考えられないかなって」
「あははっ!正解。俺が考えた」
茉莉が笑った。
「…茉莉ちゃん先生と颯人先輩は、本当に仲が良いですね」
何気ない咲の言葉に颯人は固まった。
「…あ~うん、まぁ」
何か歯切れが悪い。
「颯人、咲に教えてもいいんじゃないの?」
茉莉が軽く言うが、颯人は茉莉を止めた。
「い、いや待て」
「だって、生徒会室に通うんだから、そのうちわかるよ?」
「駄目…だろ」
「俺はいいけど?」
茉莉がしれっと言う。
「…咲、ならいいか」
「だろ?」
茉莉は咲に向き直った。
「咲、びっくりするかもしれないけど…俺と颯人は真剣なお付き合いをしているんだ」
茉莉が真面目な顔で言った。
「え?…お付き合いって」
「ん~、つまり恋人同士ってこと」
茉莉が颯人の肩を抱いた。
「…っ!!そうなんですか、素敵ですね!!」
びっくりはしたが、何となく2人の空気は甘い感じはした。
「颯人の事、好きで好きで仕方ないんだ。教師を辞めてもいいぐらい好き」
「茉莉!教師を辞めるって言うなよ…」
そういう颯人は、優しい顔を茉莉に向けていた。
そんな中で愁が口を開いた。
「この2人は昔からの知り合いなのに、付き合うのにも時間はかかるし、付き合った後も俺は茉莉先生から『颯人と何もないよな』って言われ続けているんだけど」
「愁と、あるわけないだろ?!」
颯人は茉莉を叩いた。
「だってお前達、すっごく仲が良いからっ」
「…どうしょうもないな」
颯人はため息をついた。
「ただの親友なんだけどね」
ははっ、と愁は笑った。
(恋人同士だったんだ…。なんか、すごくいいなぁ)
咲は2人を羨ましそうに見つめた。
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