この街に笛吹き男はいない

藤和

文字の大きさ
上 下
9 / 20

第九章 平等な理不尽

しおりを挟む
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

春雷のあと

紫乃森統子
歴史・時代
番頭の赤沢太兵衛に嫁して八年。初(はつ)には子が出来ず、婚家で冷遇されていた。夫に愛妾を迎えるよう説得するも、太兵衛は一向に頷かず、自ら離縁を申し出るべきか悩んでいた。 その矢先、領内で野盗による被害が頻発し、藩では太兵衛を筆頭として派兵することを決定する。 太兵衛の不在中、実家の八巻家を訪れた初は、昔馴染みで近習頭取を勤める宗方政之丞と再会するが……

独裁者・武田信玄

いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます! 平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。 『事実は小説よりも奇なり』 この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに…… 歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。 過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。 【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い 【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形 【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人 【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある 【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。 (前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)

壬生狼の戦姫

天羽ヒフミ
歴史・時代
──曰く、新撰組には「壬生狼の戦姫」と言われるほどの強い女性がいたと言う。 土方歳三には最期まで想いを告げられなかった許嫁がいた。名を君菊。幼馴染であり、歳三の良き理解者であった。だが彼女は喧嘩がとんでもなく強く美しい女性だった。そんな彼女にはある秘密があって──? 激動の時代、誠を貫いた新撰組の歴史と土方歳三の愛と人生、そして君菊の人生を描いたおはなし。 参考・引用文献 土方歳三 新撰組の組織者<増補新版>新撰組結成150年 図説 新撰組 横田淳 新撰組・池田屋事件顛末記 冨成博

【第十回 歴史・時代小説大賞投稿】帝国の海 外伝~風翔搭乗員戦記

山本 双六
歴史・時代
1942年1月完成した、ニ式艦上戦闘機『風翔』この戦闘機に乗り、国のため、そして、愛する人たちのために戦った男たちの戦いが幕を開ける 帝国の海にでてくる、二式艦上戦闘機『風翔』風翔搭乗員の、物語である...

直違の紋に誓って

篠川翠
歴史・時代
かつて、二本松には藩のために戦った少年たちがいた。 故郷を守らんと十四で戦いに臨み、生き延びた少年は、長じて何を学んだのか。 二本松少年隊最後の生き残りである武谷剛介。彼が子孫に残された話を元に、二本松少年隊の実像に迫ります。

忍びゆくっ!

那月
歴史・時代
時は戦国の世。 あぁ… どうして、生まれてくる時を、場所を選べないんだろう 病弱な彼は、考えていた。考えることが、仕事だった 忍の、それも一族の当主の家系に生まれたのに頭脳しか使えない ただ考えていることしかできない、彼の小さな世界 世界は本当はとても広い それに、彼は気づかされる 病弱を理由に目の前にある自分の世界しか見えていなかった 考えること以外にも、自分は色々できるのだと、気づく 恨みを持つ一族の襲撃。双子の弟の反逆。同盟を結ぶ一族との協力 井の中の蛙 大海を――知った 戦国の世に生きる双子の忍の物語。迫り来るその時までに、彼は使命を果たせるのか…? 因果の双子

紀伊国屋文左衛門の白い玉

家紋武範
歴史・時代
 紀州に文吉という少年がいた。彼は拾われっ子で、農家の下男だった。死ぬまで農家のどれいとなる運命の子だ。  そんな文吉は近所にすむ、同じく下女の“みつ”に恋をした。二人は将来を誓い合い、金を得て農地を買って共に暮らすことを約束した。それを糧に生きたのだ。  しかし“みつ”は人買いに買われていった。将来は遊女になるのであろう。文吉はそれを悔しがって見つめることしか出来ない。  金さえあれば──。それが文吉を突き動かす。  下男を辞め、醤油問屋に奉公に出て使いに出される。その帰り、稲荷神社のお社で休憩していると不思議な白い玉に“出会った”。  超貧乏奴隷が日本一の大金持ちになる成り上がりストーリー!!

江戸情話 てる吉の女観音道

藤原 てるてる
歴史・時代
この物語の主人公は、越後の百姓の倅である。 本当は跡を継いで百姓をするところ、父の後釜に邪険にされ家を出たのであった。 江戸に出て、深川で飛脚をして渡世を送っている。 歳は十九、取り柄はすけべ魂である。女体道から女観音道へ至る物語である。 慶応元年五月、あと何年かしたら明治という激動期である。 その頃は、奇妙な踊りが流行るは、辻斬りがあるはで庶民はてんやわんや。 これは、次に来る、新しい世を感じていたのではないのか。 日本の性文化が、最も乱れ咲きしていたと思われるころの話。 このてる吉は、飛脚であちこち街中をまわって、女を見ては喜んでいる。 生来の女好きではあるが、遊び狂っているうちに、ある思いに至ったのである。 女は観音様なのに、救われていない女衆が多すぎるのではないのか。 遊女たちの流した涙、流せなかった涙、声に出せない叫びを知った。 これは、なんとかならないものか。何か、出来ないかと。 ……(オラが、遊女屋をやればええでねえか) てる吉は、そう思ったのである。 生きるのに、本当に困窮しとる女から来てもらう。 歳、容姿、人となり、借金の過多、子連れなど、なんちゃない。 いつまでも、居てくれていい。みんなが付いているから。 女衆が、安寧に過ごせる場を作ろうと思った。 そこで置屋で知り合った土佐の女衒に弟子入りし、女体道のイロハを教わる。  あてがって来る闇の女らに、研がれまくられるという、ありがた修行を重ねる。 相模の国に女仕入れに行かされ、三人連れ帰り、褒美に小判を頂き元手を得る。 四ツ谷の岡場所の外れに、掘っ立て小屋みたいな置屋を作る。  なんとか四人集めて来て、さあ、これからだという時に…… てる吉は、闇に消えたのであった。

処理中です...