日ノ本の歴史 始まりの話

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幕間2 国防の課題

国防の課題、平安期に国軍は何故解体されたか?

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日本の国防は困難である

 中世日本で、九州、佐渡、奥州を除いて、国軍を解体したのは、日本の地理的な条件が、防衛に向いていないことにある。

 九州、佐渡、奥州を除いた地域は、防衛を放棄し、攻め込んできた敵を、中央軍を編成して征伐するという方向に切り替えたことにあった。

 これは、水際で殲滅戦を仕掛けるだけの兵力を、日本の長大な海岸線総てに配置することはできないからである。



 時々、防衛論議として、硫黄島、沖縄戦が出てくることがある。

 日本は、離島に軍隊を派遣した場合、戦況が悪化しても撤退を支援することが難しい。撤退支援できないことが、硫黄島を含む太平洋の島々で、玉砕が生じた理由である。キスカ島撤退作戦が、奇跡と言われるのは、不可能な作戦を実行したことにあった。
 沖縄戦は、本土決戦の前哨戦であり、負けると判っている戦いで、米兵にどのくらいの犠牲を強いることができるかを勝利条件とした戦闘であった。沖縄戦の戦闘目的は、米軍に勝利することではなく、米兵を一人でも多く殺すことにあった。

 沖縄戦は、米兵の損害を多くすることで、米国議会が戦争継続に反対することを期待した戦闘であった。

 沖縄県民を守ることは、沖縄戦における日本軍の戦争目的には無かった。

 慰霊の日と制定されている6月23日は、日本国が国益のために、沖縄を見捨てた日でもある。





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 国防軍の目的とは、国民を守ることではなく、「国号・国体」に伴う国益を守ることである。
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 沖縄独立運動というのがあるそうだ。
 これは、第二次世界大戦後、沖縄の中で何度か話し合いがなされたことである。朝鮮戦争からベトナム戦争期の米兵は、存在することが許せないくらいに、劣悪な状況であった。何時死ぬか判らないまま、前線に送り出される兵隊達、一時的に沖縄に戻っても、再度殺されるために出撃していく兵隊達、とてもではないが治安維持することは不可能な状況にあった。

 現在の沖縄は、平穏である。米兵がトラブルを起こしても、或る程度は法的に対応することができる。これは、米軍が治安維持が可能な範囲で、戦争状態にあるからだ。ベトナム戦争のような泥沼に落ちてしまえば、米軍の規律を維持することが不可能になる。

 沖縄県人にとって、もっとも怖いのは、在日米軍基地が存在する状況下で、アメリカ軍が泥沼の戦争状態に入ることである。

 日米地位協定17条では、在日米軍は、刑事訴訟と懲戒に関して、裁判権は米国にあると規定している。また、日本国の当局は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対し、日本国の領域内で犯す罪で日本国の法令によつて罰することができるものについて、裁判権を有するとしている。

 しかしながら、在日米軍および家族は、日本側に捕まっても裁判権が米国側に移行することがある。

 また、なんらかの事件の裁判によって、判決が下った場合、再度当該事件で裁判を行うことはできない。

 沖縄県に住む人にとっては、米軍のモラルが高い時は、気にするような事柄にはならない。だがしかし、米軍さんのモラルが低下するような、戦争状態にある場合は、この限りではない。



 日本を防衛することは難しい。

 軍事的な事柄を調べるほどに、日本国土防衛は悲観的になってしまうのである。

 東京を防衛するという点で考えれば、映画「シン・ゴジラ」が鎌倉上陸を阻止できないことが上げられる。戦闘をおこなうにあたって、鎌倉の海岸で上陸地点を迅速に防衛することが困難であることから、品川という首都機能の防衛ラインを基準として、防衛線を引くこととなった。

 これは、元寇時の九州における防衛体制も同じである。博多から大宰府までの縦深防御であり、島嶼は遅滞戦闘以外の対応できない。壱岐や対馬で起きた惨劇は、沖縄戦と同じく、防衛できないことを前提として、国民を見捨てたために起きた惨劇である。

 対馬の宋家が防衛に失敗したというよりも、防衛できない対馬を、遅滞戦闘に利用したという方が正しい。
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