日ノ本の歴史 始まりの話

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古代の終焉、中世の日ノ本

日ノ本の中世 第十話 私有地の発生と軍役負担の増加

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 紀元前1800年から725年まで、2500年間は、大陸では、夏、殷、周、春秋戦国、秦、漢、三国、晋、五胡十六国、南北、隋、唐と変わる時期でもあります。多くの国が生まれ滅びた大陸から、日ノ本へ亡命した者達がいたことは確かである。彼らが伝えた、大規模土木工事を実行するための規約プロトコルは、十倍の人口増加を実現したのです。仏教と共に、法家思想を持ち込んで、規約プロトコルの確立と、官僚制度を日ノ本に構築していったのです。

 日本の人口は、紀元前1800年頃、畿内ヤマトでは3万程度とされています。
 大規模土木工事が始まり、灌漑設備や治水設備が整備され、畿内ヤマトでは古墳群による墾田開拓が進み、食料生産は激増します。結果として、戸籍が整備された725年には、畿内ヤマトの人口は、45万と記録され、十倍以上の人口増が生じています。
 弥生期の人口増加は、大規模墾田工事によって古墳の造成による、生産力向上によって生じたものである。
 人口45万を平時に軍務として徴用すると、最大で10万人が動員できたとされます。仁徳陵に代表される古墳群の造成は、大規模墾田工事の結果として生まれたモノです。

 軍務で徴用し、大規模治水墾田事業を実行し、造成された墾田を口分田として与える。この業務の繰り返しが、弥生期から畿内ヤマトの人口増加を促したことになるのです。この時期の軍事行動は、大規模土木事業と連動していたため、兵役行動そのものが、班田収受としての利益供与となり、軍団そのものの士気を確保できたともいえます。つまり、10万の軍団を編成して、軍務代わりに土木工事を実施して、戦争があれば戦闘して、土木工事が完了した頃に退役して、班田を受け取って軍役を完了する。大規模墾田開発事業は、そのまま軍団を維持管理するための事業でもあった。
 初期の軍団は、士気も高く、墾田開発が軍務代わりでもあった。大規模土木工事に動員された者達から、軍役に選ばれていたことになります。全国で国府の指導によって、各地で墾田開発と軍役が、同時に実行され、古墳が造成されると共に、治安維持をおこなっていたことになります。





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 まぁ、言ってみれば弥生から古墳期は、2500年間の高度成長期ということになります。
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 高度成長期に「国号・国体」が確立したことは、日本制覇という内戦統治から、制覇達成後の維持運営という流れに変化していきます。制覇完成が、聖武天皇陛下の頃に設置・建立された、国府と国分寺なのです。

「墾田永年私財法」が制定できたのは、「制覇達成」の結果です。つまり、「国号・国体」が確立したので、国家の内に私有地や私有財産が生まれても、国家が支配できるということになるのです。

 国軍が負担が拡大するのは、白村江の敗戦によって、幾度も発生した新羅の海賊行為取締りを含めて、国防警備として防人が九州沿岸および島嶼に配置された結果である。坂東や奥州から徴兵され、防人に配置されることは、地の果てに配置されるようなモノであった。しかも、自給自足であることが前提とされ、任期が終わって帰る時は、独りで帰京するといった状況で、劣悪な環境下で国境警備をおこなっていたことになる。

 墾田による班田収受もなく、兵役そのものが、負担でしかなくなる。開発する墾田が減っていくにつれて、国軍は徐々に士気・練度が下がり、戦闘時にあまり役に立たない状況となっていた。大宰府を含めて、軍団の改善を図るため、地元から徴兵をおこなうようになったのである。
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