日ノ本の歴史 始まりの話

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古代の終焉、中世の日ノ本

日ノ本の中世 第八話 公有があっての私有

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 「国号・国体」の確立が、大化の改新に始まり、天平期に確立される。

 「国号・国体」は、確立された時より、象徴化の道を進み始めます。

 これは、私有財産に関する考え方の変化です。

 縄文期は、私有財産という考え方は、非常に希薄な時代でありました。これは、海人うみんちゅうの流れから、太平洋を渡った者達の話に残されています。西洋人にとっての大航海時代に、太平洋を訪れた西洋人にとって、友好的であっても、現地人はモノを盗むという記録がなされています。これは、モノに対する所有権と所属に関して、意識が違うことから起きた事件なのです。
 「土地が誰のモノ」と大地に墾田して開発した「田圃が誰のモノ」の違いです。土地が、「国号・国体」に支配されている地とし、私的に墾田開発した「田圃」は、私有財産となる。「墾田永年私財法」の制定は、公的な墾田と、私的な墾田を区分する意味合いがありました。

 縄文期には、土地や道具は、グループの共有財産であり、私有しているのは、今その時点で、身に着けているモノに生じるという規約プロトコルであったと思います。縄文期に埋葬された者に装飾品が纏っていったのは、本人が私有しているモノであったからです。縄文時代が進むにつれて、装飾品が華美になっていくのは、私有財産への欲というモノが、生じるようになったことを意味しています。

 財産を私有するという考え方が、土地に対しても存在するようになり、自分の「田圃」と他人の「田圃」という考え方が生じるのも、記録という形が生まれた、弥生期からの流れとなります。縄文期は、全員で耕し、籾を撒いて、全員で刈り取りして収穫する。これが、弥生期の大規模治水事業と、大規模土木作業による墾田開発によって、「自分の田圃」「他人の田圃」が区別されることとなります。
 国家が、大規模土木事業によって開発した、公地としての墾田と、一族郎党が土木事業で開発した墾田は、所有権の争いが生じることになる。

 これは、現代まで繋がる問題となり、自分の私有地であっても、一定以上の高度への私有権は認められず、一定以上の地下についても私有権は認められない。結果として、非常に地下深くを走る地下鉄が生まれ、ドローンを飛ばせる場所は限定されるようになった。

 隋や唐の律令制が、日ノ本に導入されたのは、最初にすべての土地と民を、「一天万乗の大王おおきみ」が下で、「国号・国体」を規定するためである。

「公地公民」の確立は、すべてが「公:Pubric」であることを認識させることから始まっている。大規模土木事業で生まれた墾田を、口分田として与えることで、「公:Pubric」の土地に、「自分:Private」の田圃が生まれる。
 大八島を生み出した一族が、「国号・国体」の継承となり、畿内ヤマトから大八島を支配し「公地・公民」を定めた。山人やまんちゅうの領域、海人うみんちゅうの領域、里人さとんちゅうの領域もまた、「公地」と規定されたのである。
 日ノ本の朝廷に従わぬモノは、朝敵として征伐される。

 律令制は、「公:Pubric」を確立させるために作り上げられた、日ノ本の制度であった。

 律令以降は、大八島すべての土地と民は、「国号・国体」の下にある。朝廷に従わぬモノは、すべて逆賊の朝敵として、征伐の対象となったのである。
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