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古代の終焉、中世の日ノ本
日ノ本の中世 第七話 天災国家は、コミュニケーションが必須となる
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石を介した交易は、日ノ本にコミュニケーションをもたらし、蝦夷から琉球を含めた国々へ交易の広がりをもたらした。コミュニケーションは、交渉の始まりでもあった。日ノ本は、自然災害の脅威が多く、毎年のように風水害が起き、地震や津波の被害もまた、頻繁に発生していた。
日ノ本における災害は、一つの個でどうにかできるものではない。幾つもの家族集落が、助け合って当たらなければ、木造の家屋に起きる火事すらも対処することはできない。災害の助け合いから、コミュニケーション手段が、一定の範囲で拡大していったことは、間違いないことである。
人の死は、立ち会わねばならない、生きとし生けるモノの運命である。定住生活を継続するには、人の死と向き合い、死した相手の葬儀を取り扱うことも、個で対応できない祀りごとということになる。これもまた、コミュニケーションの始まりであった。
土偶という、なんらかの祭儀に係る道具が、縄文期に生まれる。
一万年以上前の縄文早期は、土偶が小さく、形状も単純な構造が多かった。最初は、祭儀の道具ですらなく、縄文の人が思い思いに造形した飾りであったかもしれない。一万年を超える縄文の中で、様々な形となり、大きさも変わり、用途そのものも変化していった。
縄文末期から弥生期にかけて、土偶から木偶となり、最終的には位牌や卒塔婆となって、板材だけでなく、石材も使われ、様々な材質・形状に変質していった。宗教的な儀礼は、部族で異なるとしても、礼を失することの無い程度の調整は必要であった。
死に係る葬儀に関するコミュニケーションもまた、人と人を繋ぐコミュニケーションの一つである。
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日ノ本では、村八分という罰則がある。村の掟を破った場合に下される制裁行為である。日ノ本の規約は、明文化されたものではなく、習慣法としての色合いが強いモノである。
二分に当たる一つは、火事のような、人災や災害に関わって生じるイベントである。発生した場合に、周囲への影響を生じさせる災害は、個で対応してはならないイベントとして、村での対処になったと考えられる。
二分に当たる一つは、人の死である。病や出産の世話は、排斥対象とされているが、結果として生じる死は、個で対応してはならないイベントとして、村での対処になったと考えられる。人の死は、衛生環境の悪化を招き、周囲への影響を生じさせるからである。
災害後の世話は、排斥対象にできても、災害そのものは、全員で対応しなければ、全員が死んでしまう。葬儀後の世話は、排斥対象にできても、葬儀そのものは、全員で対応しなければ、全員に災いを招く可能性がある。
だからこそ、日ノ本では「村八分」という罰則が、規約として規定されているのである。
言葉が同じだから、相手に意志を伝えることができるわけではない。コミュニケーションは、相手との挨拶を合わせることから始まる。現在、挨拶の方法やノックのマナーが、規約で規定されるのは、世界中の異なる風俗習慣を調整した結果である。こういった、コミュニケーション技法を間違えると、争いの原因ともなり、交渉することができなくなる。
人の死の取り扱いについて、近隣諸族との調整ができるようになったことが、土偶の形状が地域による特徴を備えていくことで、確認することができます。
日ノ本で、最初に風俗習慣が調整されたのは、葬儀に関することと、災害における助け合いといった内容であった。地震や噴火の災害は、広範囲で長期間に及ぶことから、助け合わなければ生き残ることができないというのがあります。
細長い国土は、極めて防衛に向いていない、陸上交通が構築しにくい国土となっています。
大八島を含め、多数の島嶼で構成されているため、海が陸地を分断している。
2000m級の山岳地域が、陸上の70%におよび、それが諸島中央を分断するように集中している。
山岳から海洋までの距離が短く、急流で氾濫が起きやすい河川が多い。
人が居住する平野部が元々少なく、地盤が軟弱な地域が多く、土木治水事業が必須となる。
日ノ本は、陸地面積が地球全体の0.25%しかないが、マグニチュード4以上の地震の10%が発生し、マグニチュード6以上は20%が日本で発生しています。
地球の総平均で2倍以上の降雨量だが、梅雨、台風、積雪と集中して発生するため、風水害による被害が生じやすい。
日ノ本では、紛争や抗争といった「人災」によって死ぬ人数よりも、遥かに多い人数が「天災」によって奪われてきたのです。
つまりは、極めて「脆弱な国土」に暮らす、そんなハンディキャップを持った民族が、日本人なのです。コミュニケーションが可能で、猫の手も借りたいくらいに自然被害が大きい日ノ本では、人と人が争っているほど余裕のある生活は送れないというのが真実なのです。
結果、日ノ本では「敵を抹殺せず、敵と協力せよ」が、基本的な規約となっていったのです。
日ノ本における災害は、一つの個でどうにかできるものではない。幾つもの家族集落が、助け合って当たらなければ、木造の家屋に起きる火事すらも対処することはできない。災害の助け合いから、コミュニケーション手段が、一定の範囲で拡大していったことは、間違いないことである。
人の死は、立ち会わねばならない、生きとし生けるモノの運命である。定住生活を継続するには、人の死と向き合い、死した相手の葬儀を取り扱うことも、個で対応できない祀りごとということになる。これもまた、コミュニケーションの始まりであった。
土偶という、なんらかの祭儀に係る道具が、縄文期に生まれる。
一万年以上前の縄文早期は、土偶が小さく、形状も単純な構造が多かった。最初は、祭儀の道具ですらなく、縄文の人が思い思いに造形した飾りであったかもしれない。一万年を超える縄文の中で、様々な形となり、大きさも変わり、用途そのものも変化していった。
縄文末期から弥生期にかけて、土偶から木偶となり、最終的には位牌や卒塔婆となって、板材だけでなく、石材も使われ、様々な材質・形状に変質していった。宗教的な儀礼は、部族で異なるとしても、礼を失することの無い程度の調整は必要であった。
死に係る葬儀に関するコミュニケーションもまた、人と人を繋ぐコミュニケーションの一つである。
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日ノ本では、村八分という罰則がある。村の掟を破った場合に下される制裁行為である。日ノ本の規約は、明文化されたものではなく、習慣法としての色合いが強いモノである。
二分に当たる一つは、火事のような、人災や災害に関わって生じるイベントである。発生した場合に、周囲への影響を生じさせる災害は、個で対応してはならないイベントとして、村での対処になったと考えられる。
二分に当たる一つは、人の死である。病や出産の世話は、排斥対象とされているが、結果として生じる死は、個で対応してはならないイベントとして、村での対処になったと考えられる。人の死は、衛生環境の悪化を招き、周囲への影響を生じさせるからである。
災害後の世話は、排斥対象にできても、災害そのものは、全員で対応しなければ、全員が死んでしまう。葬儀後の世話は、排斥対象にできても、葬儀そのものは、全員で対応しなければ、全員に災いを招く可能性がある。
だからこそ、日ノ本では「村八分」という罰則が、規約として規定されているのである。
言葉が同じだから、相手に意志を伝えることができるわけではない。コミュニケーションは、相手との挨拶を合わせることから始まる。現在、挨拶の方法やノックのマナーが、規約で規定されるのは、世界中の異なる風俗習慣を調整した結果である。こういった、コミュニケーション技法を間違えると、争いの原因ともなり、交渉することができなくなる。
人の死の取り扱いについて、近隣諸族との調整ができるようになったことが、土偶の形状が地域による特徴を備えていくことで、確認することができます。
日ノ本で、最初に風俗習慣が調整されたのは、葬儀に関することと、災害における助け合いといった内容であった。地震や噴火の災害は、広範囲で長期間に及ぶことから、助け合わなければ生き残ることができないというのがあります。
細長い国土は、極めて防衛に向いていない、陸上交通が構築しにくい国土となっています。
大八島を含め、多数の島嶼で構成されているため、海が陸地を分断している。
2000m級の山岳地域が、陸上の70%におよび、それが諸島中央を分断するように集中している。
山岳から海洋までの距離が短く、急流で氾濫が起きやすい河川が多い。
人が居住する平野部が元々少なく、地盤が軟弱な地域が多く、土木治水事業が必須となる。
日ノ本は、陸地面積が地球全体の0.25%しかないが、マグニチュード4以上の地震の10%が発生し、マグニチュード6以上は20%が日本で発生しています。
地球の総平均で2倍以上の降雨量だが、梅雨、台風、積雪と集中して発生するため、風水害による被害が生じやすい。
日ノ本では、紛争や抗争といった「人災」によって死ぬ人数よりも、遥かに多い人数が「天災」によって奪われてきたのです。
つまりは、極めて「脆弱な国土」に暮らす、そんなハンディキャップを持った民族が、日本人なのです。コミュニケーションが可能で、猫の手も借りたいくらいに自然被害が大きい日ノ本では、人と人が争っているほど余裕のある生活は送れないというのが真実なのです。
結果、日ノ本では「敵を抹殺せず、敵と協力せよ」が、基本的な規約となっていったのです。
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