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幕間1 日ノ本「黒歴史」
幕間の2 「黒歴史」を闇へ封印するために
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お爺ぃが定義する日本と言う「国号・国体」の成立は、8世紀の初頭となります。
聖武天皇による国府設置、国分寺の建立によって、「国号・国体」は完成します。
国府設置は、陸奥から薩摩までを、「天津神の地=山人」「国津神の地=海人」を切り分けたとしても、すべての地を公地公民の名の下、「国号・国体」の傘下に治めることにあります。
聖武天皇の最大の業績であり、最大の破壊は、国分寺の建立と国字を漢字としたことにありました。北米におけるイロコイ連邦が、「ワムパム・ベルト」と呼ばれる、織物に記録したように、日ノ本でも各地の伝承に残る岩絵や身体に彫り込む、刺突の形で、記録する文明の萌芽はあったのです。
しかしながら、日本国と言う、現在まで繋がる「国号・国体」のためには、国字を漢字とすることが最重要であったのです。まぁ、国内で芽吹いた文字でなければ、何であっても良かった文字ですが、当時の国際社会で使用される、「漢字」を国字としたことになります。これは、英語が国際語として使われているように、中華を中心としたアジアにおける国際語は、「漢字・漢文」であったからです。
「国号・国体」を浸透させ、日ノ本の在り様を決定していくためには、古来からの記録は封印の対象であったのです。古代からの記録を封印し抹消し、公文書には「漢文(外国語)」を使い、口伝書に「万葉仮名」を使わせることが肝要となります。
公文書は、命令で実行できますが、人々が日々記録する書は、命令で実行することはできません。
そこで、文字を教育するための拠点となったのが、国分寺になるのです。一般の人から選ばれた防人が、和歌を詠み、書き記せたように、公地公民として傘下に治めた一般庶民へ、「万葉仮名」を教育すること、これが国分寺の業務となります。
表向きは、公文書である「漢文」による報告書作成できる人を育てる。
裏は、縄文資料の封印です。
「神代文字」が、本当にあったかどうかはともかく、「北海道異体文字」や「筑紫文字」、身体に記録する「刺突」のように、文様で記録する文明が、日ノ本にあったのは事実です。
文様は、意志の表現技法であり、コミュニケーションの一つです。
国字を「漢字」とすることによって、神代から続く日ノ本の歴史、良いことも悪いことも関係なく、すべてを封印することを選択した。これが、「国号・国体」の完成と堅持となり、現在まで繋がる日ノ本の文化・文明を支えてきた事実なのです。
弥生期から、古墳期までの日ノ本の歴史は、数百年におよぶ戦争の歴史であり、繰り返された血の惨劇にありました。いわば、日ノ本の歴史における、「黒歴史」の時代であったのです。
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「黒歴史」を闇に封印するために、国字を漢字とすることが必要だったのです。
「古事記」「日本書紀」は、公に編纂された理由はありますが、最大の目的は、「教科書」です。口伝を「万葉仮名」で記述し、公文書を「漢字」で記述する。これを、人に伝え、教えるために、編纂され造られた「教科書」であったのです。
日ノ本各地で編纂された「風土記」は、それが日ノ本全域で浸透していったことを確認するための報告書であったのです。
様々な文字や文様がコミュニケーションに使われていても、読める人や書ける人が減っていけば、自然に失われていきます。
海人に残った、刺青の風習という形で、残る文様記述はあっても、かつての縄文文化・文明の残滓でしかありません。
「国号・国体」を完成させるために、行政機関の設置、国分寺建立が実行されました。
良く、律令体制は失敗だったとか、公地公民は愚策だったという方々の意見がありますが、何を馬鹿なことを言っているのだというのが、お爺ぃの感想です。確かに、国家経済の方策として、墾田の大規模開発を推進し、公地公民を実行したことは、最終的には失敗していった事績であったのは事実です。
政治献策としての律令体制、公地公民は、現在にまで繋がる、「国号・国体」の維持管理体制を確立させるには、最重要な政策であり、「日本国」という正真正銘のミレニアム帝国を築いた、成功の政策であったのです。
日ノ本という、災害が多く、共同社会形成を必須とせざるを得ない、地政的な要因。
千年を超える、日ノ本の統一過程で起きた出来事の封印。
血族同士や婚姻関係を結んだモノ達による、血の惨劇、復讐の連鎖を断ち切ること。
畿内が、世界史上初とも言うべき、ミレニアム帝国を築くためには、この命題に回答を与える必要がありました。
それが、仁義しかない「国号・国体」の堅持です。
「国号・国体」の完成は、維持・管理システムを確立していくこととなります。日ノ本における維持・管理システムは、楽しいくらいに「KAIZEN」によって進められています。「十七条憲法」の実効法令として、律令は次々と「KAIZEN」されて、三代格式に代表されるように「KAIZEN」によって追加・修正を加えられていきました。こういった律令体制と格式の中で、武家のためのKAIZEN法令として、「御成敗式目」が生まれています。
「漢字」もまたKAIZENを受けて、「平仮名」「片仮名」を生み出して、日ノ本の文字として完成していったのです。
倭であった時代より千年以上をかけて、日本となって千年を超えたのが、現在の日本国ということになります。
聖武天皇による国府設置、国分寺の建立によって、「国号・国体」は完成します。
国府設置は、陸奥から薩摩までを、「天津神の地=山人」「国津神の地=海人」を切り分けたとしても、すべての地を公地公民の名の下、「国号・国体」の傘下に治めることにあります。
聖武天皇の最大の業績であり、最大の破壊は、国分寺の建立と国字を漢字としたことにありました。北米におけるイロコイ連邦が、「ワムパム・ベルト」と呼ばれる、織物に記録したように、日ノ本でも各地の伝承に残る岩絵や身体に彫り込む、刺突の形で、記録する文明の萌芽はあったのです。
しかしながら、日本国と言う、現在まで繋がる「国号・国体」のためには、国字を漢字とすることが最重要であったのです。まぁ、国内で芽吹いた文字でなければ、何であっても良かった文字ですが、当時の国際社会で使用される、「漢字」を国字としたことになります。これは、英語が国際語として使われているように、中華を中心としたアジアにおける国際語は、「漢字・漢文」であったからです。
「国号・国体」を浸透させ、日ノ本の在り様を決定していくためには、古来からの記録は封印の対象であったのです。古代からの記録を封印し抹消し、公文書には「漢文(外国語)」を使い、口伝書に「万葉仮名」を使わせることが肝要となります。
公文書は、命令で実行できますが、人々が日々記録する書は、命令で実行することはできません。
そこで、文字を教育するための拠点となったのが、国分寺になるのです。一般の人から選ばれた防人が、和歌を詠み、書き記せたように、公地公民として傘下に治めた一般庶民へ、「万葉仮名」を教育すること、これが国分寺の業務となります。
表向きは、公文書である「漢文」による報告書作成できる人を育てる。
裏は、縄文資料の封印です。
「神代文字」が、本当にあったかどうかはともかく、「北海道異体文字」や「筑紫文字」、身体に記録する「刺突」のように、文様で記録する文明が、日ノ本にあったのは事実です。
文様は、意志の表現技法であり、コミュニケーションの一つです。
国字を「漢字」とすることによって、神代から続く日ノ本の歴史、良いことも悪いことも関係なく、すべてを封印することを選択した。これが、「国号・国体」の完成と堅持となり、現在まで繋がる日ノ本の文化・文明を支えてきた事実なのです。
弥生期から、古墳期までの日ノ本の歴史は、数百年におよぶ戦争の歴史であり、繰り返された血の惨劇にありました。いわば、日ノ本の歴史における、「黒歴史」の時代であったのです。
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「黒歴史」を闇に封印するために、国字を漢字とすることが必要だったのです。
「古事記」「日本書紀」は、公に編纂された理由はありますが、最大の目的は、「教科書」です。口伝を「万葉仮名」で記述し、公文書を「漢字」で記述する。これを、人に伝え、教えるために、編纂され造られた「教科書」であったのです。
日ノ本各地で編纂された「風土記」は、それが日ノ本全域で浸透していったことを確認するための報告書であったのです。
様々な文字や文様がコミュニケーションに使われていても、読める人や書ける人が減っていけば、自然に失われていきます。
海人に残った、刺青の風習という形で、残る文様記述はあっても、かつての縄文文化・文明の残滓でしかありません。
「国号・国体」を完成させるために、行政機関の設置、国分寺建立が実行されました。
良く、律令体制は失敗だったとか、公地公民は愚策だったという方々の意見がありますが、何を馬鹿なことを言っているのだというのが、お爺ぃの感想です。確かに、国家経済の方策として、墾田の大規模開発を推進し、公地公民を実行したことは、最終的には失敗していった事績であったのは事実です。
政治献策としての律令体制、公地公民は、現在にまで繋がる、「国号・国体」の維持管理体制を確立させるには、最重要な政策であり、「日本国」という正真正銘のミレニアム帝国を築いた、成功の政策であったのです。
日ノ本という、災害が多く、共同社会形成を必須とせざるを得ない、地政的な要因。
千年を超える、日ノ本の統一過程で起きた出来事の封印。
血族同士や婚姻関係を結んだモノ達による、血の惨劇、復讐の連鎖を断ち切ること。
畿内が、世界史上初とも言うべき、ミレニアム帝国を築くためには、この命題に回答を与える必要がありました。
それが、仁義しかない「国号・国体」の堅持です。
「国号・国体」の完成は、維持・管理システムを確立していくこととなります。日ノ本における維持・管理システムは、楽しいくらいに「KAIZEN」によって進められています。「十七条憲法」の実効法令として、律令は次々と「KAIZEN」されて、三代格式に代表されるように「KAIZEN」によって追加・修正を加えられていきました。こういった律令体制と格式の中で、武家のためのKAIZEN法令として、「御成敗式目」が生まれています。
「漢字」もまたKAIZENを受けて、「平仮名」「片仮名」を生み出して、日ノ本の文字として完成していったのです。
倭であった時代より千年以上をかけて、日本となって千年を超えたのが、現在の日本国ということになります。
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