日ノ本の歴史 始まりの話

Ittoh

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古代の終焉、中世の日ノ本

日ノ本の中世 第三話 度量衡は技術障壁撤廃の基本

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 冊封体制は、朝貢することで、大きな利益が得られるという意味で、外交交渉は国益として利用されていた。倭国国王が、金印を受領したのは、筑紫ヤマト王朝であった。魏志倭人伝の卑弥呼の頃には、既に筑紫ヤマト畿内ヤマトが分かれて並立してて、どちらに卑弥呼が住んでいたかは、不明である。日ノ本における「黒歴史」だったりする。研究をすればするほどに、混迷の闇に呑み込まれていくようなものだ。

 607年から894年までの、遣隋使から遣唐使を派遣する頃には、畿内ヤマトが覇権を握っており、「国号」「国体」を宣伝する必要から生まれたものでもある。律令体制確立による、「国号」「国体」を盤石にするための知識・技術の導入と金儲けのためとされる。894年に、遣唐使が廃止されるのは、「国号」「国体」が浸透したことで、宣伝する必要が無くなったことを意味している。





 まぁ、894年に遣唐使が廃止されるのは、唐朝の政情が不安定であったことと、渡航の成功確率の低さ、おそらくは頭の良い菅原道真は、リスクが高すぎるという結論から、兼遣唐大使を逃れるために実行した献策であったのです。





 外交状況として、18世紀くらいまでのアジア情勢は、中華地域に建国された帝国の圧力を受けた中で、周辺諸国家が対外折衝をおこなうというのが、基本となります。7世紀から9世紀であれば、中華地域に建国された帝国は、その地に存在しているだけで、非常に強い経済統制力を、アジアに対して持っていたことになります。中華地域に建国された帝国の圧力は、内乱や分裂で弱まったり、強大帝国となって強まったり、様々な形でアジア諸国へと影響を与えます。



 中華地域に建国された帝国が、アジア地域に与えた最大の影響は、度量衡という規約プロトコルの浸透です。



 交易が儲かる冊封体制下では、輸出に対して、度量衡を中華帝国に合わせる必要があります。これが、結果として、国内の度量衡を統一していくこととなります。

五円玉が近くにあれば、見てください。
 一匁=3.75g
  今も、日本に伝承される、一文銭の原型は、五円玉に継承されているのです。
 記
  重さの1匁=3.75[g]
  長さの1尺=10/33[m]
  容量の1斗=18[㍑]
 以上

 日本では、中華帝国の影響を受けながら、独自に規定し、上記のように定められていきます。独自に規定されたのは、中華帝国の都合で変更されたとしても、日本には日本の都合があるからです。



 一番変化が小さかったのが、1匁=3.75[g]であったのは、一文銭の重量であったため、誰にでも使うことができたことにあります。ただ、一匁の精度については問題もあって、鐚銭という言葉が生まれたのは、一匁の精度不良から来た言葉になります。
 現行貨幣としては、一円玉の1.0g、五円玉の3.75gが、一般にも使用可能な標準器ということになります。

 日本国における貨幣通貨体制は、皇朝十二銭に代表されるように、良く分からない理由によって生じる発行によって、通貨機能を持つに至らず、海外からの通貨が国内に浸透することで、貨幣経済が浸透するという状況となっている。また、銅の精製には、技術が必要であり、大陸より前3世紀ごろに伝わったとされます。滋賀や出雲では、銅鐸や銅鏡の国産が進められた結果となります。
 出雲王国の権力は、銅の精錬に関する技術水準から、推定することができます。
 滋賀の淡海おうみの野洲あたりには、畿内ヤマトや越王朝、丹波王朝の境界領域で、精銅精錬をおこなった、技術集団が住んでいたと考えられます。
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