日ノ本の歴史 始まりの話

Ittoh

文字の大きさ
上 下
7 / 49
日ノ本の歴史 古代まで

日ノ本の始まり 第七話 戦乱は、仁義なき戦いとなる

しおりを挟む
 大規模な人員動員、労務管理が可能になった結果として、戦が悲惨な規模に拡大するということにもなります。「倭国大乱」というのは、弥生期に生じた、大規模な人員動員によって、近隣諸部族を制圧できるようになったため、非常に多くの戦が発生した結果だろうと推定できます。
 筑紫、備(美)、出雲、越、丹は、弥生期に周辺諸部族を束ね上げた諸国家であり、ヤマトがこれに新興国として加わります。神話伝承の流れからすれば、畿内のヤマトは、筑紫のヤマトから分かれた王族であり、弥生期には筑紫と同じくらい強大な王国を築いた結果ともなります。

 魏志倭人伝の邪馬台ヤマト国が、筑紫であったか畿内であったかは不明です。日向ひむかから出でて、筑紫に邪馬台ヤマト国を築き、分かれて畿内ヤマトを築いた。出雲や備(美)、丹や越、といった周辺諸王国と婚姻関係を結びつつ、争いを繰り返していたのが、倭国大乱であったろうと思います。

 縄文期に日向ひむかから分かれて、筑紫ヤマトに建国し、さらに東征して畿内ヤマトにも勢力圏を築く。ヤマトが強大になった結果として、内部抗争が生じて、日向ひむかを征することとなる。日向ひむかを征したのは、筑紫ヤマトであり、結果として日向ひむかの一部が、畿内ヤマトに逃れていった。これが、筑紫ヤマト畿内ヤマトの抗争が始まる原因ともなった。
 当初は、弱小であった、畿内ヤマトは、周辺諸国家と契りを交わしながら、徐々に勢力を拡大し、畿内に強大な国家を築いていく。古墳期に急速に勢力を拡大していくのが、畿内ヤマトと備(美)になります。

 弥生期から古墳期にかけて、日ノ本の歴史は、混乱期でもあります。畿内ヤマトに収斂されていく中、ヤマトタケルに代表されるように、暗殺や騙し討ちによる外乱制圧が繰り返されていきます。畿内ヤマトが日ノ本の征覇を完了すると、「壬申の乱」に代表される熾烈な後継争いが表面化していくこととなります。

 最終的な日本国が完成するのは、聖武天皇による国府設置、国分寺建立と孝謙・称徳期の内乱制圧で、完了したこととなります。

「日本」という国号は、「ヤマト」の後継というだけではなく、出雲、筑紫、備(美)、越、丹、といった諸国家の上に日本ヤマトが存在することを内外に示したこととなる。遣隋使、遣唐使は、対外的なアピールとして、日本ヤマトの確立を宣言するためでもあった。

 弥生期から平城京が建設されるまでは、正直に言えば「仁義なき戦い」も驚くような、暗殺や騙し討ち何でもありという、凄まじいまでの対立抗争と戦乱の結果として、国体として「天皇制」を確立していった時代ということになります。後漢書東夷伝や魏志倭人伝に描かれたように、ゆるやかな繋がりで、一時の平穏はあった中で、徐々に畿内ヤマトが、日ノ本を征していく流れを築きあげます。
 まぁ、弥生期から平城京あたりまで、日ノ本で起きた戦乱は、書き記すに難しく、勝者だけが記載された史実となります。また、実行された陰謀や策謀は、隠蔽されて記録は闇に消えている状況でもあります。弥生から古墳時代は、記録が闇に消えていった時代ということになります。

 お爺ぃは、孝謙・称徳期に「日本」という国号と「天皇制」という国体が確立し、畿内ヤマトを中心として、陸奥から薩摩までを大八島として征する国家になったとしています。つまり、天平を冠した時代、天平729-749、天平感宝749、天平勝宝749-757、天平宝字757-765、天平神護765-767、神護景雲767-770、聖武から称徳までが、完成期となります。

 聖武以降の国内での戦争は、内乱であり、「まつろわぬ」者達の征伐となります。

 お爺ぃが、宵闇日本綺談を描くにあたっては、天平宝珠元年という存在しない年号を皇紀千年として描いています。日向ひむかより出でて、筑紫ヤマトに築き、畿内ヤマトに分かれて続く流れとなります。筑紫ヤマト日向ひむかを討ち、日向 ひむかの生き残りが畿内ヤマトに逃れて、畿内ヤマト筑紫ヤマトを討ちて、記紀神話伝承に収斂した日本ヤマト建国の歴史となる。
 畿内ヤマトが、最終的に、大八島の国々を従えて、陸奥より薩摩までの六十余州を征して、国府と国分寺を建立して、「日本」という国号と「天皇制」という国体が確立したのです。
 日ノ本の古代が終わり中世となるのは、平城京に都を築いた和銅の頃の710年もしくは、天平の風が吹く難波宮を副都として確立された729年となります。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

歴史小説 歴史以前の縄文文明

Ittoh
歴史・時代
 日ノ本の歴史は、1万2千年前の縄文土器文明に始まり、黒曜石を基軸通貨として、翡翠を貴重品とした文明圏を形成していた。  経済活動というのは、余分な商品があって、初めて始まる活動だと考えられる。自分で採取したものを、そのまま自分で使うだけであれば、そこに経済活動は発生しない。石器時代と呼ばれる時代から、縄文期に入っていった時、最初に商品となったのは、石であった。  石は、石器として最上級の品質であった、黒曜石である。  黒曜石は、石のままでは価値を持たない。  加工する知識・技術・技能があって始めて、鏃となり、釣り針となって、狩や漁の道具として使うことができる。 参考資料  CGS動画 「目からウロコの日本の歴史」 小名木善行&神谷宗幣  西田正規 著「人類のなかの定住革命」  安田喜憲 著「森と文明の物語」  鬼頭宏  著「人口から読む日本の歴史」  高木久史著「撰銭とビタ一文の戦国史」  松島義章著「貝が語る縄文海進」  水野正好著「縄文を語る」 日ノ本における、経済の始まりは、縄文期に遡ることができる。

妖刀 益荒男

地辻夜行
歴史・時代
東西南北老若男女 お集まりいただきました皆様に 本日お聞きいただきますのは 一人の男の人生を狂わせた妖刀の話か はたまた一本の妖刀の剣生を狂わせた男の話か 蓋をあけて見なけりゃわからない 妖気に魅入られた少女にのっぺらぼう からかい上手の女に皮肉な忍び 個性豊かな面子に振り回され 妖刀は己の求める鞘に会えるのか 男は己の尊厳を取り戻せるのか 一人と一刀の冒険活劇 いまここに開幕、か~い~ま~く~

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

新・大東亜戦争改

みたろ
歴史・時代
前作の「新・大東亜戦争」の内容をさらに深く彫り込んだ話となっています。第二次世界大戦のifの話となっております。

ふたりの旅路

三矢由巳
歴史・時代
第三章開始しました。以下は第一章のあらすじです。 志緒(しお)のいいなずけ駒井幸之助は文武両道に秀でた明るく心優しい青年だった。祝言を三カ月後に控え幸之助が急死した。幸せの絶頂から奈落の底に突き落とされた志緒と駒井家の人々。一周忌の後、家の存続のため駒井家は遠縁の山中家から源治郎を養子に迎えることに。志緒は源治郎と幸之助の妹佐江が結婚すると思っていたが、駒井家の人々は志緒に嫁に来て欲しいと言う。 無口で何を考えているかわからない源治郎との結婚に不安を感じる志緒。果たしてふたりの運命は……。

奇妙丸

0002
歴史・時代
信忠が本能寺の変から甲州征伐の前に戻り歴史を変えていく。登場人物の名前は通称、時には新しい名前、また年月日は現代のものに。if満載、本能寺の変は黒幕説、作者のご都合主義のお話。

処理中です...