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世界恐慌の背景
世界恐慌について 実物経済と仮想経済
しおりを挟む第二次世界大戦前に発生した世界恐慌は、原因そのものは、あまり理解されていない。1929年アメリカでの株価暴落に端を発して、連鎖的に世界各国に波及していくというのが、教科書的な回答である。しかしながら、何故、株価が暴落したのかは、様々に研究されているが、原因については様々な説があるが、定説としては確立されていない。
様々な論説等を検討して、お爺ぃの個人的な考えとしては、第一次世界大戦によって、“金本位”という実物を遥かに超える、製品やサービスを拡大させて、“金本位”体制が崩壊したのに、第一次世界大戦後に“金本位”へ復帰してしまったことにあるとしている。
アメリカは、第一次世界大戦で戦場とならなかった結果、欧州に製品を輸出し、融資や国債購入を含めて、連合国へ莫大な投資をしていた。
第一次世界大戦後、ドイツからの賠償が、天文学的な金額になった原因は、アメリカの借金返済に金が必要だったからだ。
史実では、ヤング案やドーズ案によって、ドイツが連合国へ賠償金を支払い、連合国がアメリカに借金を返済し、アメリカがドイツに融資や賠償金を減額するという、プラス循環のスパイラルが生じていた。
プラス循環のスパイラルが崩壊した原因も、1929年に生じた、株価暴落という引き金だった。
結果として、ドイツでは、ナチスが躍進し、第二次世界大戦に向かって、流れが生まれたのである。
お爺ぃは、金本位制の復帰と停止が、世界経済を崩壊させて、世界恐慌を引き起こした原因と考えている。
第一次世界大戦は、“総力戦”という形で、国家の崩壊まで続く、巨大な暴力装置として機能してしまった。世界大戦が始まるまでの世界は、金本位制で支配されていて、金という物理的なモノが、等価で交換される貨幣価値の信用が、実態経済を支えていた。
しかしながら、金本位という体制は、第一次世界大戦以前からであるが、工業生産の拡大と発展、蒸気機関に始まる大量輸送の実現は、経済規模そのものを拡大させていて、実態経済と徐々に乖離していたという事実がある。先進諸国家の経済は、大量生産の技術が確立したため、色々なモノが溢れようとしていたが、経済規模そのものが、金という有限なモノに縛られていて、歯止めとなっていた。
金と言う有限なモノ、経済の歯止めを壊したのが、第一次世界大戦である。戦争と言う巨大な消費経済は、先進諸国家の実物経済を、ヒト・モノ・カネを大量消費することで、完全に壊していったのである。これは、第一次世界大戦中に、金の流出を止めるため、各国が金の持ち出しを禁止した、そのことが端的に物語っている。しかしながら、金の流出を禁止しても、モノは生産され、消費地に運ばれていくため、実物経済は崩壊し、信用取引の中で、経済規模が拡大してしまったのである。
世界恐慌の背景は、経済規模が、実物の総量よりも遥かに拡大した結果であった。経済規模が、実物の総量よりも遥かに拡大してしまった結果、金本位制の復帰は、極悪な悪手であった。金本位制への復帰は、ロンドンを中心とした、実物経済マーケットを集約することだった。乖離してい行く実物と経済規模の格差は、金本位体制そのものを破壊しようとしていて、イギリスは“金本位”という危険を察知し、真っ先に金の輸出を禁止することで、世界恐慌の引き金を引いてしまった。
引かれた引き金は、信用貨幣から信用を奪い、世界経済そのものを、拡大した経済規模に見合う貨幣価値(つまりは紙屑)へと、暴落させたのである。
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