世界大戦は終わらない

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国際連盟の闇

国際連盟の闇04 関東大震災と昭和恐慌

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 大正7年1918年以降、世界大戦そのものは終わらなかったが、欧州では停戦や休戦が協定されて、戦場がロシアに移っていった。しかしながら、4年におよぶ世界大戦は、世界経済を歪に変化させたのである。昭和恐慌は、歪な世界経済から生まれ、金本位制への復帰と再輸出禁止から生じた流れであった。大正12年1923年の関東大震災からの復興が優先され、国債の発行と定額手形の発行で凌ぎ、膠州湾および山東省の利権を、アメリカに売却することで、復興支援金の確保を図ったのである。

 宵闇Ifでは、典範改正を原内閣として実施し、大正上皇陛下と昭和天皇陛下の体制を実現した。つまりは、生前退位の実現を、大正期におこなったのである。大正12年1923年の関東大震災からの復興は、公務員俸給を財源とした、定額手形の発行と国債発行をおこなった。さらに追加の財源として、膠州湾および山東省利権のアメリカへの売却し、アメリカによる大陸進出の機会となった。

  皇泰島をイギリスとオランダが商港として、港湾地域の租借権を得て、「特区」からの鉄鋼や石炭に石油を欧州へ運び出す拠点が生まれた。遼陽から山海関を介して、天津に繋がる鉄道都市整備事業は、日本が引き受けていて、大規模土木治水事業が始まっていた。

 遼東半島での大規模土木治水事業は、日本では農家の次男三男に土地を与える移民として、大きく成功を治めていた。南米への移民から「特区」への移民へと切り替えたのは、「特区」の開発が順調であり、極東ロシアとボリシェビキ・ソビエトとの激戦が続くため、人手が常に不足していたこともあった。「大陸浪人」は、維新期に叛徒となった者の子孫や、士族の次男三男が、浪人となって一旗あげようと大陸へと渡ったことから、「浪人」という名称が付けられた。

 「大陸浪人」の多くは、極東ロシアの義勇兵となり、ボリシェビキ・ソビエトとの激戦の中でほとんどが死んでいった。満洲里や興南省で馬賊となり、長大なモンゴル国境線を東西に駆けて、ボリシェビキ相手にゲリラ戦を行った者達もいた。馬賊の多くは、蒙古独立運動を支援していて、内蒙古を中心にゲリラ戦をおこなっていた。興安省知事の小白竜や満洲里の張宗援は、「大陸浪人」から馬賊となり、日本の支援を受けて、対ボリシェビキ戦争をしながら蒙古共和国独立を図っていた。

 震災復興の10年は、地方での失業者増加もあって、多くの日本人が日本で働けず、世界各地に新天地を求めて移住していった時代でもあった。





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 震災復興の十年
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 震災復興を基盤とする原内閣による積極財政は、国家予算の地方への交付であり、「我田引鉄」と呼ばれた地方振興政策ともなった。各地域に鉄道を構築し、鉄道の維持管理をおこなう技術者を育てる工兵学校を、地方に設置した。鉄道院による国内鉄道の規格化を進め、標準軌道幅による鉄道敷設、各地域での維持管理体制を確立できるように整備を進めた。工兵学校の設置から、統制型として規格を整備し、三八式歩兵銃を工兵学校で製造・組立・整備を含め、蒸気機関および内燃機関の製造・組立・整備をおこなえる技術者養成機関とした。

 工兵学校の設置は、各地域の鉄道整備を名目とした、技術者育成であり、地方工場の技術力向上を目的としていた。特に三八式小銃弾を用いた三八式軽機関銃を課題として、工兵学校同士での改良型製造が実施され、様々な軽機関銃の試作試験が行われた。

 統制型という形での規格化は、地方での量産実績を向上し、三八歩兵銃の生産数を拡大させることに成功した。統制型エンジンの整備を実施し、空冷や水冷エンジンの整備を通して、支援技術向上を図った。鉄道に関しては、車両整備だけでなく、信号機の制御や運用システムの構築を含めて、鉄道システム全般を扱うことも目的として、工兵学校の高等教育機関となる、工兵大学校の設置も進められたのである。

 原内閣では、奏任官までを国家官僚とし、判任官は領事府や知事府の裁量とし、道府県の独自財政で採用することができるようにしたのである。明治以降の日本にとって、租税は国税であり、インフラ整備の中で実施される、鉄道や道路整備、上下水道整備といった都市整備、電気や石炭や灯油については、地方の財源として扱われた。電気料金が地方税として扱われ、発電および受変電設備が、地方税の主要財源として扱われるようになった。電気が地方に普及するにしたがって、地方財源規模が拡大し、地域では地方鉄道として独立運用されたのである。道府県を超えての整備は、両方の知事による決裁が必要であった。

 道府県知事の独自財源確保と権限拡大は、財政を承認する組織が必要となり、濱口内閣で道府県知事が任命する3名と中央から公務として派遣される地方奏任官5名の承認を必要とした。地方の奏任官5名は、地方における国務担当官として、国税局、警察局、鉄道国土院、郵便逓信局、燃料局から5名が派遣された。道府県知事の権限と国務担当官の権限争いが、日本における政党政治の根幹となっていく。

 中央の権限を拡大し、中央集権化を進めるのが、濱口を総裁とする政友党の根幹であった。政友党は、都市部を中心に勢力を伸ばし、中央を中心と捉える政友党が、議席を伸ばしていった。

 原を総裁とする民政党は、地方権限を拡充し、地方での殖産興業を推し進め、地産地消を含めた、地方振興にあった。燃料や水道料といった地域間接税を導入し、地方独自予算を確保し、農村部の近代化を図り、地方行政を独立させていったのである。

 大正から昭和初期にかけては、濱原時代と呼ばれ、中央集権と地方自治の鬩ぎあいから、政策が立案されていった。関東大震災以降の復興支援政策は、復興の進展と共に変質し、地方支援に転換継続されていった。放漫財政になっていった、復興支援を整理・縮小することを目指し、地方権限を抑制し中央権限を拡大させる政友党の濱口雄幸が総理大臣となって、金融政策の転換を図ったのである。定額手形の発行額を絞り、国債の返済を進める流れを作ったのは、濱口内閣であった。

 原内閣で財務を担当したのは、高橋是清翁であり、財政の拡大と復興支援財源の確保から、定額手形の発行を実施し、兌換紙幣によらない経済活動への移行を進めたのである。高橋翁によって、自由経済のインフレ誘導政策が、推し進められたのである。

 濱口内閣で財務を担当したのは、井上準之助であり、財政の引き締め国債額縮小と金本位復帰に向けた財政の安定化を図ったのである。井上によって、統制経済によるデフレ誘導政策として、推し進められたのである。

 しかしながら、原濱両内閣の時代は、大陸における「特区」および遼東半島の経済が拡大し、定額手形支払いによって、鞍山の鉄鉱石や撫順の石炭を購入し、大連の鉄鋼所で精錬が進められたのである。「特区」の開発事業は、フランスが鞍山や撫順といった鉱山から、満州鉄道を介して、日本や欧州へ出荷する流れができた。フランスは、半島西部を走る標準軌鉄道敷設権を日本から取得し、敷設を開始し、平壌に製鉄所の建設を進めたのである。奉天にフランス領事府を開き、「特区」利権へ、組み込みをおこなったのである。

 震災復興の中で、フランスへの借款から、半島西部の鉄道利権を売却し、膠州湾を含めた山東省利権をアメリカに売却したことは、高橋翁の決断であったが、井上準之助も支持し、遼東半島から「特区」の開発に、資本を集中投下したのである。

 三八式歩兵銃は「大和銃」という名称で、大連および遼陽だけでなく、日本各地の工兵学校でも生産が開始され、極東ロシアや蒙古共和国へ輸出されたのである。各工兵学校で様々に改良された、三八式と同一実包を使った、軽機関銃や自動小銃も開発され、「猟兵機銃」として販売された。大連工兵大学校では、統制エンジンを搭載して、三八機銃を搭載した、六輪特車「地竜」を開発し、工兵隊用装備として、各地に送り出したのである。「特車」とは、軌道装甲可能であり、後部に輸送車両を牽引することもできた。タイヤに換装することで、六輪装甲車となり、輸送の機械化が進められたのである。「特車」の開発は、大連と遼陽の工兵大学校が中心であり、後に横浜大学校と川崎大学校が加わった。これは、震災復興計画の中で、横浜から川崎、新橋から東京に向けて、貨物軌道を5フィート広軌道で敷設した結果であった。広軌道レールは、新橋から京橋を抜けて茅場車両基地が造られ、東京工兵学校が建てられた。東京工兵学校には、電気実験鉄道が整備され、茅場から永代橋を渡って木場に向かう、電気工兵鉄道が建設された。

 2.26事件を対処したのは、内務省警備局であったが、主力となったのは、新橋および茅場工兵隊であった。特車「地竜」は、そのままクーデタを起こした、決起部隊を文字道理、蹂躙轢殺したのである。

 





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