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オスマン帝国の黄昏
オスマン帝国の黄昏06 ペルシャ・インド情勢と欧州列強、そして日本の立場
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中近東の地図は、世界大戦によって、大きく変化した。
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北アフリカから中近東一帯を制圧し、巨大な帝国を築いていたオスマントルコ帝国は、衰退の一途を辿っていて、世界大戦の結果、アナトリア半島とマルマラ海沿岸地域に勢力圏が縮小していたのである。
イギリス、フランス、ロシア帝国によるサイクス=ピコ分割協定は、ボリシェビキ・ソビエトによって世界中に公表され、帝国主義の横暴を訴える道具となった。
秘密協定を嫌ったウィルソン大統領は、1918年以前に締結された、秘密協定をすべて破棄すべきであると、国際連盟に提唱した。日本は旧オスマントルコについても、地下資源や鉄道の敷設等の権益に関しては、協定を遵守し、土地の自治権から切り離して対応するべきであると修正提案をかけた。土地に住まう者が国際連盟へ税を納めることで、土地の主権者を選ぶ権利を付与するとし、国際連盟の委任統治に対する基本原則とした。土地の主権者は、住民を保護統治する、義務と権利を有するとした。鶏と卵である。主権者が先に決まれば、選ばない住民は、住民としての権利を失う。住民が先に決まれば、選ばれなかった主権者は、主権者の権利を失うことになる。
アナトリア半島の南方は、フランスとイギリスの委任統治領となった。オスマントルコとペルシャ王国は、パックス・ブリタニカに対抗するロシア帝国の南下政策によって、ボロボロの状況となっていた。ペルシャ王国は、北部をロシア帝国に、南部をイギリスの勢力圏とされ、事実上国体を維持できる状況になかったのである。
世界大戦後、1921年にレザ・カーンがクーデタによって政権を奪取し、1925年にはカドジャール王朝が終焉を迎えると、パフラビ王のレザ・シャーと名乗ったのである。ペルシャ王国は、国家再建を図り、貴族のような中間権力を弾圧し、メートル法の導入や交通網の整備を推進を通して、強いナショナリズムの確立を目指したのである。
ペルシャ語の教育を含め、強権によるナショナリズムの推進は、ペルシャの他民族を圧迫することになり、周囲からペルシャ王国が孤立することを意味していた。ペルシャは、イギリスとの交渉を通して、ペルシャ湾岸での石油採掘利権を渡すことで、ペルシャ湾に対する影響力を確保した。
ペルシャは、先に鶏が決まった形となり、イラクでは住民が主権者を選ぶ形となり、北部クルド、中部スンニ派、南部シーア派という連合王国の形態になったのである。
インドは、世界大戦下でのイギリスの統治国であり、インド帝国皇帝をイギリス国王が兼ねる、実質的には植民地であった。
欧米の諸国家で最も日本が危険視されたのは、植民地支配を受けている地域が、独立運動の支援を日本がおこなうことにあった。ボリシェビキ・ソビエトによる「平和に関する布告」、ウィルソン大統領による「十四ヶ条の平和原則」というながれが、東欧諸国家に独立を促した。しかしながら、民族自決と独立の中では、植民地に対しても適応されることとなり、南北アメリカ大陸での活動は、アメリカにとって脅威となり、許さざる行動ともなっていったのである。
日本が提唱した、人種差別撤廃と賛同国の出現は、そのまま日本の脅威に変換されることになった。日本が、東欧バルト三国防衛を実施、大隊を全滅させても、亡命を成功させたことと、フランスのベルギー侵攻に対して、ベルギー共同戦線を形成して防衛戦闘をおこなったことで、ベルギーとの友好関係を築いた。さらに日本は、ドイツに対して、反ボリシェビキ政権として、支援をおこなったのである。
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欧米列強にとって日本は、植民地支配を巡って、潜在的な敵国となっていったのである。
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大日本帝国は、統治下となった、台湾や南洋について、同化政策を進展させて、自治統治の推進を図った。樺太については、ボリシェビキからの亡命受け入れを含めて、敷香北方に樺太旅団を配置して、ロマノフ帝室府の保護を進めて、反ボリシェビキ・ソビエトの体制確立を積極的に進めたのである。
日露戦争や世界大戦以降、大日本帝国そのものは、世界の植民地支配解放という意識は無かった。しかしながら、植民地支配を受けていた多くの人々にとっては、有色人種の日本人が、世界と互角に渡り合っていることが、徐々に希望になっていったのである。
二百三高地の激闘を含めた旅順港攻略戦、日本海海戦の結果は、世界に大きな衝撃を与えたのであった。奉天で多少、ロシア帝国に有利になったとしても、敗れたのがロシアであることは、明確であった。
ロンドンタイムズ記者
「日本人は、西洋の複雑な文明を学び、一世代余りで習得した。今、世界中が興奮している、西洋諸国と並び、列強であることを示したのだ」
インド初代首相ネルー回想
「日本の勝利は、わたしを熱狂させた。どんなに感激したことか。
ヨーロッパの強国ロシア帝国は、アジアの国、日本に敗れた。
だとすれば、アジアはヨーロッパを打ち破ることができるハズだ。
アジア人のアジアという声が沸き起こったのである」
ウィルヘルム二世談話「
世界に人類の運命を決する、大きな危機が近づいている。
その第一回の戦争は、我ら白色人種のロシア人と有色人種の日本人との間で戦われた。
白色人種のロシア人が、不幸にして敗れた。
日本人は、白人を憎んでいる。白人が、悪魔を憎むように、憎んでいる。
われらにとって、日本そのものが危険なのではない、統一されたアジアのリーダに日本がなることが脅威なのである。
日本による、中国の統一、それが世界に脅威を与える、最も不吉なことである」
日露戦争の結果と、世界大戦以降の国際情勢によって、日本の立場は世界列強に並ぶ大国となったのである。
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日本は、欧米諸国家にとっては、非常に厄介な国となっていったのである。
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