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飛行機よもやま話
飛行機のよもやま話09 危険なる空 著:バロン・シゲノ
しおりを挟む木村、徳田両中尉が墜落惨死を遂げた時、機体の動きに異変が起きたのは、所沢から千mばかり東方の上空で、「エアポケット」に衝突したと、新聞に掲載されていた。
「エアポケット」とは、空中の狭い空間の流動が、他と異なって下降気流が生じ、飛行機が揚がる力を失って、墜落する原因となる場所である。海の状態でいえば、鳴門の渦潮に似た場所が、空中にあると考えてもらえると良い。鳴門の渦潮を船舶が航行できないように、「エアポケット」もまた飛行機の航行に障害となり、これほど恐ろしいモノは無い。
空気中の流れは、海流とは異なり、頻繁に動きを変えることがあり、気流の動きについては、未だに未熟な観測データしか無いのが実情である。また風の動きは、目に映ることなく、飛行機の操縦とは、「一寸先が闇」に等しい状態で、覚悟を決めて飛んでいるようなものである。
難関を越えて、困難に遭遇しないように飛ぶのが、「飛行家」としての技量である。しかしながら、自然の脅威とは予測できぬモノがあり、万全の準備をしていても突発的な事柄によって、事故に至り危害を被るのは、飛行家の技量が拙いとは言えないモノがある。風の流れは、低空と上空でも異なり、日々刻々と変化するモノである。静かな凪のような状態から、荒れ狂う嵐のような時もあり、「一寸先は闇」というのを実感できるのが、飛行家というものである。
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空を飛ぶというのは、よくよく冒険であると、言わねばならない。
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引用および参考文献「通俗、飛行機の話」
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/951737/14
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