世界大戦は終わらない

飛行機よもやま話

飛行機のよもやま話08 世界大戦前夜の飛行界事情 著：バロン・シゲノ

　我は、純粋たるに、義勇兵であった。

　フランスは、妻ジャンヌの住まいし国であり、我に飛行機を与えてくれた国である。日ノ本には、郷愁の念有れど、仏国には恩義在り。明治４２年1909年頃における万国の状況である。

　世界最強と言うべき飛行隊は、フランスである。

　陸軍飛行費用3500万フランの内、2500万フランが、飛行隊に使われている。残りの1000万が飛行船である。

　平時編成で、６５８人の飛行家を雇い、
　　格納庫：　１５個
　　研究所：　　３個
　　飛行場：　５４個
飛行機工場：　１２個
飛行クラブ：　７０個
新式飛行船：　２０隻
新式飛行機：３３４台を備えていた。

　イギリス飛行界は、フランス、ドイツに遅れており、明治４２年1909年になって急ぎ著しく発達している。
　　飛行船：　　５隻
　　飛行機：１０１台
　　飛行家：２８０人
　飛行学校：　　２校
飛行クラブ：　　２個

　ドイツは、フランスに匹敵する、状況となっていた。
大型飛行船：　１９隻
　　飛行機：２５０台
　　格納庫：　２２個
　　飛行家：３３０人
　今年、大型飛行船は、毎月１隻づつ製造され、飛行クラブは７３個となり、明治４２年1909年内に飛行機１００台が追加された。予算3600万マルクが計上され、追加予算の計上も図られていた。

　ロシアは、日本との戦いで敗北せし、バルチック艦隊の再建を図っていた。そのなかで、航空にも興味を示し、ドイツに飛行練習生を派遣し、３個の飛行学校、２個の飛行クラブを設置していた。
　結果として、
　　飛行船：　　９隻
　　飛行機：２５０台
　　飛行家：１０８人を有するに至っていた。

　日本は、明治４２年1909年７月に臨時軍用気球研究会が設立され、所沢飛行場と海軍追濱飛行場を設置し、飛行界の立ち上げを図っているところであった。
　　飛行船：　　１隻
　　飛行機：　１５台
　　飛行家：　２５人
　陸軍２７万、海軍１０万の計３７万である。
　しかしながら、今年度は安土航空科と宅間航空科を初めとして、各地域の工兵学校では、航空科が来年以降全国に７個設立される予定である。二宮忠八が造りし「玉虫型」飛行機を図面に起して、製作されたモノから始まり、様々な工夫をして造られ始めた。工兵学校は、蒸気機関の鉄道科、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの自動車科、汽車や自動車を整備するに必要な学生を育てるを主目的とする。その中に、航空機の整備をさらに組み入れるのは、先見の明があった。また、当時の飛行家は、軍においても、特殊で在り、輜重兵や工兵も居る状況であった。様々な兵科から集まりったことで、日本の飛行機は、万国とは異なる発展を遂げたのだと思う。

　大正元年1912年の飛行機世界事情
　　フランス　官有３３４台　私有５００台　合計８３４台
　　ドイツ　　官有１０９台　私有１５０台　合計２５９台
　　ロシア　　官有１１４台　私有　５０台　合計１６４台
　オーストリア官有　３５台　私有　３０台　合計　６５台
　　イギリス　官有１０１台　私有１１０台　合計２１１台
　　イタリア　官有　４１台　私有　５０台　合計　９１台
　　　日本　　官有　１６台　私有　　２台　合計　１８台
　大正元年1912年の飛行船世界事情
　　フランス　官有　１５艘　私有　５艘　合計２０艘
　　ドイツ　　官有　１４艘　私有１０艘　合計２４艘
　　ロシア　　官有　１１艘　私有　０艘　合計１１艘
　オーストリア官有　　６艘　私有　２艘　合計　８艘
　　イギリス　官有　　４艘　私有　０艘　合計　４艘
　　イタリア　官有　　３艘　私有　４艘　合計　７艘
　　　日本　　官有　　１艘　私有　０艘　合計　１艘

引用および参考文献「通俗、飛行機の話」
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/951737/14