世界大戦は終わらない

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世界大戦は終わらない

序章11 史実の大日本帝国には、正面戦力しかできません?

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 史実の日本軍について言えば、武器があっても弾がの補充は難しい?
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 史実上の第二次世界大戦について、日本の軍事力が、開戦時のアメリカと同等であったという意見があり、意見そのものに間違いはないと私自身も認している。だからアメリカに勝てましたというのは、あまりにも早計であり、後方支援能力がいかに欠如していたについて、一切考慮されていない。これは、太平洋方面だけの話でなく、大陸についても同様であり、本質として太平洋戦争時点での日本は、第一次世界戦のドイツ帝国程度に後方支援能力が厳しかった。

 さらに言えば生産能力は、さらに厳しい状況にあり、製造することはできても、備蓄は不可能であり、圧倒的な生産力のアメリカと比較することは、無意味ナンセンスであった。

 1万トンの 物資を南方に追加で送るには、1万トンの物資を東南アジアから運ばないという意味である。戦線が拡大した日本軍にとって、運ぶべき物資は、日に日に増大していくが、運ぶための船の増加は、微々たる状況でしかない。つまりは、戦線が拡大していくにつれて、増加する輸送量に対して、輸送に必要な船舶が、急激に不足していったのである。

 猪瀬直樹著「昭和16年夏の敗戦」は、一読をお勧めします。

 日本軍が実質的に、太平洋上で戦える期間は、半年ほどとされていました。当時の原油生産量からして、日本で必要な原油を提供できる国は、アメリカだけであった。また、こまったことに日本で外貨の大半を稼いでいたのは、北米への輸出であり、アメリカへ輸出できなければ、日本は外貨を稼ぐことすらできなくなったのである。

 また、現在の日本では考えにくいが、機械を造るための機械(マザーマシン)は、ほとんどが海外製であり、日本で造ることが困難だったのである。南方の資源を抑えても、産出量は小さく、日本が必要する量のすべてを供給することができない。つまりは、民需を捨てて、軍需に優先的に回すことになる。

 民需を捨てるということは、徐々に生産能力全体が低下することになり、精密機械が使えなくなれば、生産精度が低下していくことになる。代替えが求められて、様々な代替えが検討・研究されたが、必要需要を満たせるような量を確保することができなかった。

 日本軍の問題は、絶対的な国内生産力の低さであり、空母を造り、戦艦を造り、巡洋艦を造り、駆逐艦を造ると、護衛艦を造る余裕がなかった。輸送艦は敵が来ないという前提で、作戦計画を立てるしかなかったのである。燃料は、作戦一回分、武器弾薬も一会戦分あるのか?という程度、史実の真珠湾攻撃で二次攻撃用の爆弾は無かったという、都市伝説まで生まれているようだ。実際のところは、水平爆撃用の戦艦撃破用徹甲爆弾99式80番5号爆弾が、改造が間に合わずに、真珠湾までの艦内で改造を完了させたという伝承である。おそらくは、一時攻撃分の予備をどこまで改造できたかで、二次攻撃力の変化に繋がったという意味である。

 つまり大日本帝国陸海軍は、「必要なモノ」を「必要な量」だけ、「期日までに用意jするのが限界であり、その実現を「月月火水木金金」や「24時間戦えます」といった、超ブラックな生産体制で達成できる限界値が、通常の生産量というものであった。

 「月月火水木金金」というのは、日本の家内制手工業を主として生産されていた、農業の就労体制を基本としている。家内制手工業としての就労は、通常の場合は、朝始まって昼過ぎには終了するが、基本的に休日という考え方が無い。さらに言えば、田植えや収穫期に業務量が過重になり、大雨や川の氾濫が起きれば、「24時間戦わなければならない」程に忙しくなる。

 この体制を、そのまま二次産業に持ち込んだのが、日本の生産体制であった。農業であれば、平時はそれほど忙しいということは無いが、二次産業の場合は、働けば働くほどに生産量が増加し、工場を停止する必要が無い。戦争という総力戦体制の状況であれば、「月月火水木金金」「24時間戦います」という前提で、生産現場が動くことになる。日本の生産量は、この生産体制を前提とした生産量である。つまりは、生産体制に拡充する余裕は無く、生産量の増加は見込めないというのが、生産現場の状況であった。

 正面戦力の拡充だけで、生産現場が限界になっている状況では、支援戦力の生産は、不可能であるというのが、当時の生産現場であった。

 それでもなんとか長期戦を戦えたのは、満州という生産現場を稼働させて、生産量を拡大させた結果であった。

 昭和十六年夏の敗戦は、史実昭和十六年の時点では、何をやっても勝てない無駄であるという状況にあった。しかしながら、開戦時期が、昭和26年とした場合、おそらくは日本の生産量は、大陸での生産量増加を踏まえたうえで、徐々に生産量が拡大したハズなので、日米の比較は日本側に有利になっていく。

 アメリカ側が日本を敵国という扱いをした場合、開戦は急げば急ぐほど、アメリカが有利になり、開戦を遅らせれば遅らせるほど、日本が有利になる。

 著者として、昭和30年まで太平洋戦争の開戦時期をズラせれば、日本はアメリカと戦えたと判断している。また、昭和30年までズラしたことで、世界各地で独立運動が勃発し、東西冷戦の流れが生まれることになる。日米開戦は、回避される結果となるifが生まれ、東西冷戦下で米英側に着くか、ソビエトや共産中国側に着くかが、選択できる結果となる。

 
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