我田引鉄だけじゃない? 原首相のまったり運営

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始まりの日ノ本

始まりの日ノ本02 戦の終わり、迷いの始まり

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 ひとつの戦が終わり、迷いが始まる。
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 江戸幕府が、世界を相手に大きな負債を負って、負債を償還することが、幕末から大正に賭けた男達の戦いにあった。

 日英同盟から、条約改正、日露戦争の勝利に、第一次世界大戦の勝利によって、日本は世界の大国へと成りあがった。

 そして、大正から昭和にかけての動乱で、彷徨い道を踏み外してしまったのが、史実の日本である。

 日本が、道を踏み外した、最大の原因は、日露戦争に勝ち過ぎた結果による、平和ボケである。国家に危機無く、のんべんだらりと官僚組織が、官僚の論理で構築されれば、頭がノーテンキに内部抗争を繰り返す、平和でノーテンキな国家が構築される。
 平和ボケは、日本人そのものに付け込まれる隙を作り、維新以降に築き上げたすべてを失う程に、愚かな官僚と国民を作り出してしまったのである。

 政府から無茶振りがあっても、現場が対応できている間は、ノーテンキに内部抗争して、腐っていく組織体制であっても、国家を維持可能である。国民は、無茶振りに対応する国家を見て、ノーテンキに応援し、失敗すれば徹底的に貶め責め立てて、担当者の首を挿げ替える。首を挿げ替えれば、上手くいくのではない。

 政府の無茶振りを、現場が対応できなくなれば、国家は徐々に無理を重ねて、少しづつ滅びの道へと転がり落ちることとなる。








 原敬首相に焦点をあてたのは、日本の迷いの中で、戦い勝利するために見捨てられた、地方復興と日ノ本の技術力を底上げすることであった。
 日本と言う国家そのものを、大国に押し上げるために、日本はすべてを犠牲にする、総力戦体制で、世界へ挑み戦ってきた。
 だがしかし、総力戦に勝利してしまえば、日本は、目標を失い、迷走する大国となってしまった。
 我田引鉄は、地方に夢を持ち込むことである。我田引鉄では、地方経済を活性化させることはできない。地方がただ、中央におんぶされる、ただの地域に成り下がるだけである。

 地方の復興とは、地方を東京にすることではない。日ノ本を代表する名峰富士は、地方に数百の地元富士があるが、それは地方を活性化するのではなく、地方を中央の傘下とするだけである。

 地方に江戸時代のように、地方の特色を生み出し、独立した組織体制を地方に築く、それを支える体制が、支援隊であり大日本帝国護衛総体である。

 技術力の底上げを実現するには、大正から昭和にかけて、大きく変化させる必要がある。職業教育そのものを組み入れて、製造分野そのものを拡充することと、一品ものの世界で、生産する拠点数そのものを拡大させて、量産体制を確立することである。

「そういえば、風間君。「走竜改」の方は、他国に不評であったな、何故だ」

「首相。どうもクライアントは、同じモノが欲しいようです」

「同じモノ。同じではないのか、風間君」

「首相、「走竜改」の仕様は、似たようなモノですが、所々を弄ったり搭載兵装も47mmでなく、40mm機銃や30mmバルカン砲が搭載されていて、エンジンも色々と弄られていて、かなりバリエーションがあります」

「つまり、統制仕様で指示されているのは、「走竜」の製造までで、改造と改装は大学校で勝手に行っているということか」

「はい。首相」

 「走竜改」の性能は、非常に厄介で、30mm機銃から兵装を換装すること、47mm砲を推奨すとなっていた。
 47mm砲搭載型が多いのは、この改装仕様であるが、エンジンや装甲を弄ってはならないと書かれていないので、工務大学校では、改装にあたって、色々と弄って「走竜改」の性能を変更していた。このため、生産された大学校によって、性能が異なり、一律に運用することが困難であったのである。
 また、乗り手も工務大学校卒が多く、自分で弄って改造している、「走竜改ノ改」も多くみられたのである。ターボチャージャー搭載型は、稼働距離が半分も無いが、時速100キロで走る高速走行型「走竜改」になっていた。搭載兵器が、40mm機銃なので、T-34の側面であれば、300mから貫通することができた。連続射撃による弾幕形成が可能だったことから、第102技術試験大隊が使用した、4両の「走竜改ノ改」は、西少尉に率いられ、連携してのT-34撃破数12と他小隊を圧倒していた。
 
 
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