我田引鉄だけじゃない? 原首相のまったり運営

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始まりの日ノ本

始まりの日ノ本01 戦とは終わりを決めるモノ

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 戦とは、終わりを決めて始めるモノ。
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「風間君。戦の終わりか、難しいモノよな」

「はい。スターリンは、話し合いにつきますか」

  泥沼化しているソビエトとの戦争は、終わりが見えぬ状況であった。ウルンゲン率いるロシア白軍は、カザフスタンへの奪還に動き、貸し出した「走竜」50台「火竜」20台と共に侵攻をしたが、ソビエトの新型戦車T-34の伏撃を食らって、「走竜」「火竜」を正面から撃破されて壊走、ウルンゲンの侵攻軍は、蒙古へと撤退した。ウルンゲンは、シナ派遣軍の正式戦車、「牛鬼ぎゅうき」突撃砲「一突ひとつき」を貸して欲しがったが、根本中将が拒否して、貸し出されていなかった。

「風間君。困ったことに、ソビエトを国家として、認めておらぬ。ドイツを介して、交渉しているだけだ」

「日本は、極東ロシア共和国を認めておりますから、認められないのではないですか」

「風間君。日本からは、交渉ができんからな」

「ドイツとの仲介をフランスに頼むくらいですか、首相」

「あぁ。しかし、機動軍の牛鬼ぎゅうきがやられていたら、と思うとぞっとするな。報告はあったのだろ」

「はい、首相。ソビエトの戦車砲は80-100mmだそうです。牛鬼ぎゅうきの正面装甲52mm程度、撃破されるかと思います。一突ひとつきは、砲塔が無いため傾斜が大きく、正面被弾面積が低いですから、まだ戦えたかもしれませんが」

「あぁ、岡村指令からの報告で、自分の砲でやられる戦車は要らんと大連工廠と陸軍省に噛みついたそうだ」

「陸軍省も大変ですね、首相」

「狭軌レールの国内では、車重が30トン超えると、国内で移動させることが難しくなる」

「今回の戦は、国民は、蒙古共和国の失態、支援した陸軍は不甲斐ないが、あまり責める声は無い」

「良かったですね。首相」

「だが、スターリンが勢いづいた。交渉が難しくなったよ、風間君」

「ドイツは、国際連盟への加盟、山東省への利権拡大を、国際連盟に働きかけることで、交渉はできる」

「首相、それは」

「アメリカの要望、「特区」を黄河流域、河北、山西だけでなく、西涼まで拡大すれば、利権を拡大できるドイツは交渉可能だ」

「南京は、承知しますか、首相」

「風間君。それは、日本が心配することではない。アメリカと中華民国の課題だ」

「しかし、首相」

「あぁ、風間君。スターリンも交渉は厳しい」

「では」

「風間君。日本は、極東ロシア、蒙古への支援を止めることはできん」

 満洲の権益が、物流に限定され、炭田や鉱山利権をフランス、油田もイタリア、フランス、イギリス、アメリカと持っていかれている。日本が、経済的な権益を主張できるのは、極東ロシア、蒙古共和国に対してだけだ。

 極東ロシアは、ソビエトと国境を分けているが、互いに相手を認めることができない。

 蒙古共和国は、ソビエトとの国境を確定し、アメリカと中華民国との国境問題を、解決していく必要がある。ウルンゲンのロシア白軍が敗れたため、ソビエトとの国境は崩壊し、根本中将率いる、シナ派遣軍が直接ソビエトと対決することになる。結果的に、南部国境でアメリカと中華民国に対峙している、雲王、徳王を中心としたモンゴル軍に協力を申請する必要がある。南部国境は、北洋軍閥のみとなる。

 原敬は、苦虫を噛み潰したようにして、

「風間君。蒙古の南方も、「特区」とする必要がある」

「首相」

「アメリカへの譲歩は、ウルンゲンの敗北で決定した。風間君、シナ派遣軍から最大限に、蒙古派遣軍として、帝国陸軍から機動軍を動員する必要がある」

「規模は、どの程度と考えていますか、首相」

「機動軍10万、支援隊10万が、派遣の限界となる」

「足りますか、首相。厳しいように思いますが」

「これ以上は、陸軍の予算を超過する。主計局が、内務省の予算に口出しする口実を作ってしまう。それは、困る」

「しかし、首相。ソビエトとの戦争は、どこで終わらせるのですか」

「ソビエトが崩壊するまで、対峙が続くことになるだろうな」

「首相。力づくで、ソビエトを崩壊させるのでないと」

「あぁ、風間君。ソビエトに侵攻してスターリンを倒すには、機動軍で100万、支援隊100万は必要となるが、そんな予算は無い」

 ソビエトとの戦線は、バイカル湖からフブスグル湖を中心として、水上機を中心に航空戦力を展開していた。連日のように発生する、ソビエト軍機との戦闘は、イルクーツク空港に進出した、陸軍航空隊フランス人技師アンドレ・マリーと共に開発した、12年式戦闘機は、旧式化していたことで、200機以上が送られて、極東ロシア空軍に提供されていた。純国産機として開発された、新型の二式戦の試作12機が、イルクーツクに送られた。川西航空製三式大型飛行艇は、7.7mm機銃4門20mm2門5番50kg爆弾八個搭載し、3000キロを航続可能な、水上爆撃機である。空中にあって、三式大型飛行艇は、ソビエトのI-3主力戦闘機相手であれば、速度、火力共に圧倒的で、撃墜した結果「форт要塞」と呼ばれて恐れられていた。

 安土航空の4発大型水上旅客機に護衛用として開発された、支援隊水上機、安土航空製双発複座水上戦闘機「蒼風」が支援水上機として送られていた。

 双発複座水上戦闘機「蒼風」
 コトブキⅡ型4基双発四翅プロペラ推進牽引
 7.7mm固定機銃2門20mm後方機銃1門
 最高時速190キロ、巡行時速160キロ。
 航続距離1500キロ

 ロシア戦線は、バイカル湖からフブスグル湖を中心とした防衛戦闘では、日本陸軍の支援を受けた、極東ロシア軍、蒙古共和国軍が有利に戦闘を進めていた。極東ロシア軍40万、蒙古共和国軍20万を正面戦力として、根本中将の6万は機動軍らしく、運動戦を展開しつつ、ソビエト軍を翻弄していた。

 帝国陸軍には、ソビエト軍を撃破して、モスクワを占領する戦力も、支援能力も無い。ソビエトとの戦闘は、長期化の傾向が強くなっていた。

「長期戦ですか、首相」

「そうだな、風間君。何年かかるかわからない、本当の意味での、長期総力戦ということになるな」

「長期総力戦ですか、首相」

「日本は、条約を改正し、世界の大国になるため、江戸から維新を経て、50年以上の歳月をかけて戦ってきた」

「今の日本は、維新の戦いに勝利した後ということですか、首相」

「そうだよ、風間君。昭和の始まりは、新たな日ノ本の始まりでもある」

「首相。どこへ向かうのでしょうか、昭和の日本は」

「どこへ向かうにしても、一天万乗の大君が下に、纏まれるならば、さして問題もあるまい、だろ風間君」

「そうですね、首相」






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 始まりの日本は、どこへ向かうのだろうか
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