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天下泰平なれど外憂在り
天下泰平なれど外憂在り09 日ノ本は、一天万乗の大君が下、庶民の国家なり
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日ノ本は、一天万乗の大君が下、庶民の国家なり
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外務大臣が、幣原喜重郎から内田康哉に代わったことで、アメリカ重視からイギリス重視へと切り替えたのである。厳密には、フランスやイタリアを加えた欧州重視である。
モータリゼーションを支えたのは、大陸で採掘が開始された石油であった。
イギリスやフランス、イタリアの調査隊が、満洲に油田を発見したことで、満洲の生産性は一気に向上した。大連に日本が重化学工場を建設したように、イタリアが採油プラントと石油精製工場を大慶に建設したのであった。イギリスは、ニコラエフスクに精製所を建設した。満洲里からニコラエフスクまでを、最終的にパイプラインで繋ぐ計画を建てたのである。
イタリアによる採掘事業、大慶-哈爾濱のパイプラインは、工兵大隊による工事で、急ピッチで完成させた。イタリアは、石油精製プラントを建設し、張学良への事業委託をおこなった。張学良は、ガソリンと軽油の優先配布権を得て、日本の「走竜」「火竜」を大量発注し、前線へ投入したのである。これは、北洋軍閥と中華民国との確執から、緊張状態を作り出す行為となった。
大慶から哈爾濱までのパイプラインを引いて、石油精製工場を建設したのである。大慶で5000万トンの生産量を得て、日本の年間消費量以上に大陸から賄うことができるようになったのである。
大日本帝国は、日露戦争の勝利によって、平穏な後方を確保し、耕耘機や稲刈り機を使った、
食料生産が軌道に乗って、食料にも余裕が生まれたのである。農業への機械化の浸透で、溢れた農家の子供たちは、工兵学校へ入学するか、帝都や大都市で働くかを選択するようになったのである。
一方で、自動車組み立て工場をはじめとして、部品工場を含めた、グループ会社として工場の系列化が進み、一大産業地帯を構成していった。帝都や大都市に出てくる若者達は、海老名、日立、横浜、川崎といった一大産業地帯へと吸い込まれるように流れていったのである。
モータリゼーションの浸透から、野党から、帝都から地方までの大街道の建設計画が要望されたが、原内閣は、地方の街道整備計画を優先した。地方の街道整備には偏りが多かったので、近距離交通網が整備されながら、都市間を繋ぐ長距離交通網の整備には、様々な横槍を入れて、地方財源を確保していったのである。帝都周辺や大阪などの都市開発計画と、地方の開発計画は、根本的な相違があって、整合性が取れていなかったのである。
明治以降は、公務員は、基本的に国家公務員であり、地方勤務という形態であった。だからこそ、公務員俸給を定額手形支払いという荒業が使えたのである。
大陸の戦闘は、西涼から蒙古、極東ロシア、黄河周辺で戦われていて、大陸は後方支援基地として稼働していた。日本からも義勇軍として、2万がシナ派遣軍から蒙古および極東ロシアへ派遣されており、シナ派遣軍自身も営口郊外にオーストラリア軍と共同で10万、後方の遼陽に2万、旅順に5万を展開させていた。シナ派遣軍司令官根本大将は、オーストラリア軍と共に、営口に布陣していた。満洲鉄道都市警備局が、後方支援および兵站を担っていた。本土における機動軍を50万に後方支援を中心とする支援隊が70万編成されていた。
支援隊のほとんどは軍属であり、工兵学校の学生を含み、普段は工場で統制エンジンの組み立てや、共通型兵装の製造・組立調整を行う部隊であった。大学校の学生や卒業生は、工兵学校卒業生を中心として、工兵大隊を編成し、災害支援活動だけでなく、耕耘機や稲刈り機といった、地域要望の特殊車両の開発改善も行っていた。海軍工兵隊は、上陸支援舟艇の開発や、海上交通維持のための灯台整備を含め、電波灯台の整備を担っていた。
陸海軍の共通型兵装については、量産性の確保、メンテナンス性の向上を含めて、製造体制が拡充し、国内機動軍の兵装は、充実したものになっていった。特に、統制エンジンの駆動車と牽引車の開発は、多岐に渡って開発され、戦車や自走砲だけでなく、建機や重機に至るまでが量産されていったのである。南洋庁経由で、南方の島嶼防衛施設にも送られていったのである。
日本の経済は、国内に投下される資本による内需拡大に支えられていた。内需拡大は成功し、大日本帝国の国家経済は、二倍に向上した。このため、昭和3年から5年は、軍事費の据え置いたままで定額手形の効果で、歳入が大きく歳出を上回り、日本は、海外の国債購入を含め、外貨獲得を進めるだけの地力を付けることができたのである。
海軍の正面戦力は、仮想敵国アメリカとした防衛計画が継承され、正面戦力について互角に持ち込むことは許容されたが、互角以上の戦力保有は、議会で予算が通過しなかった。
「首相。正面戦力だけで、大丈夫なのでそうか」
「あぁ、軍として編成上の戦力は、構わんだろ」
「えっ、どういうことでしょう、首相」
「風間君。支援隊は、軍属であり、軍の戦力には入っていない」
「あ。はい」
陸海軍の支援隊は、兵站輸送から資源輸送、製品輸送を担う、インフラ整備を担当していて、資源の輸入を含めて、小型商船や小型貨物船が、量産されていた。普段は、郵便業務の配送部門であり、親書奉書から鉛筆戦車まで、何でも送る配送部隊であった。
統制型エンジンでは、大型船舶は作れないが、小型船舶は、いくらでも作ることができる。結果的に1000トン未満の小型船製造では、世界最大の生産国となっていた。工兵大学校では、製造はできなくても整備は必要と、横浜と八幡の工兵大学校では、大型船舶用のドックを新設し、2万トンの商船までを扱えるようにし、統制型船舶の設計・製造に入ったのである。国内用途であれば、1000トン未満で問題がないが、南洋島嶼への輸送では、どうしても大型船が必要となる。
海軍工廠や技術部が、正面戦力を開発する中で、海軍の工兵大学校では、支援戦力の充実が求められるようになった。支援戦力には、防衛戦闘能力が組み込まれることとなり、護衛艦の建造も進められるようになり、護衛総隊という部隊が編成されるようになったのである。
「なぁ、風間君。日ノ本の民は、あまり他国のことを気にしないとは思わんかね」
「原首相。そうなのでしょうか」
「日ノ本の民は、万世一系の主上を一天万乗の大君と敬い、民はすべて臣民であり、平等であるという流れを築き上げてきた」
「自分たちが臣民と思えるのは、主上を大君と敬える者達だけとは思わないかね」
「それは、確かに」
「あやかしの君たちは、万世一系を守るために、一族を捧げた者達なれば、臣民の長たる私は、君たちに敬意を払うのは当たり前ではないか」
「首相、、、」
「これからの日ノ本は、この天下安寧を守ることを義とし、国体守護を掲げ、公論に決すことが、大切だと私は考えている」
「我ら、あやかしは、歴代の主上に生かされ、この地で生きてまいりました。これより先も同じと考えております。閣下に生かされた命であれば、閣下の命令こそが、万世一系の主上を守るものと判断いたします」
「そう言ってもらえるとありがたいよ、風間君」
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万世一系の国体を守らんがために
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日ノ本は、一天万乗の大君が下、庶民の国家なり
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外務大臣が、幣原喜重郎から内田康哉に代わったことで、アメリカ重視からイギリス重視へと切り替えたのである。厳密には、フランスやイタリアを加えた欧州重視である。
モータリゼーションを支えたのは、大陸で採掘が開始された石油であった。
イギリスやフランス、イタリアの調査隊が、満洲に油田を発見したことで、満洲の生産性は一気に向上した。大連に日本が重化学工場を建設したように、イタリアが採油プラントと石油精製工場を大慶に建設したのであった。イギリスは、ニコラエフスクに精製所を建設した。満洲里からニコラエフスクまでを、最終的にパイプラインで繋ぐ計画を建てたのである。
イタリアによる採掘事業、大慶-哈爾濱のパイプラインは、工兵大隊による工事で、急ピッチで完成させた。イタリアは、石油精製プラントを建設し、張学良への事業委託をおこなった。張学良は、ガソリンと軽油の優先配布権を得て、日本の「走竜」「火竜」を大量発注し、前線へ投入したのである。これは、北洋軍閥と中華民国との確執から、緊張状態を作り出す行為となった。
大慶から哈爾濱までのパイプラインを引いて、石油精製工場を建設したのである。大慶で5000万トンの生産量を得て、日本の年間消費量以上に大陸から賄うことができるようになったのである。
大日本帝国は、日露戦争の勝利によって、平穏な後方を確保し、耕耘機や稲刈り機を使った、
食料生産が軌道に乗って、食料にも余裕が生まれたのである。農業への機械化の浸透で、溢れた農家の子供たちは、工兵学校へ入学するか、帝都や大都市で働くかを選択するようになったのである。
一方で、自動車組み立て工場をはじめとして、部品工場を含めた、グループ会社として工場の系列化が進み、一大産業地帯を構成していった。帝都や大都市に出てくる若者達は、海老名、日立、横浜、川崎といった一大産業地帯へと吸い込まれるように流れていったのである。
モータリゼーションの浸透から、野党から、帝都から地方までの大街道の建設計画が要望されたが、原内閣は、地方の街道整備計画を優先した。地方の街道整備には偏りが多かったので、近距離交通網が整備されながら、都市間を繋ぐ長距離交通網の整備には、様々な横槍を入れて、地方財源を確保していったのである。帝都周辺や大阪などの都市開発計画と、地方の開発計画は、根本的な相違があって、整合性が取れていなかったのである。
明治以降は、公務員は、基本的に国家公務員であり、地方勤務という形態であった。だからこそ、公務員俸給を定額手形支払いという荒業が使えたのである。
大陸の戦闘は、西涼から蒙古、極東ロシア、黄河周辺で戦われていて、大陸は後方支援基地として稼働していた。日本からも義勇軍として、2万がシナ派遣軍から蒙古および極東ロシアへ派遣されており、シナ派遣軍自身も営口郊外にオーストラリア軍と共同で10万、後方の遼陽に2万、旅順に5万を展開させていた。シナ派遣軍司令官根本大将は、オーストラリア軍と共に、営口に布陣していた。満洲鉄道都市警備局が、後方支援および兵站を担っていた。本土における機動軍を50万に後方支援を中心とする支援隊が70万編成されていた。
支援隊のほとんどは軍属であり、工兵学校の学生を含み、普段は工場で統制エンジンの組み立てや、共通型兵装の製造・組立調整を行う部隊であった。大学校の学生や卒業生は、工兵学校卒業生を中心として、工兵大隊を編成し、災害支援活動だけでなく、耕耘機や稲刈り機といった、地域要望の特殊車両の開発改善も行っていた。海軍工兵隊は、上陸支援舟艇の開発や、海上交通維持のための灯台整備を含め、電波灯台の整備を担っていた。
陸海軍の共通型兵装については、量産性の確保、メンテナンス性の向上を含めて、製造体制が拡充し、国内機動軍の兵装は、充実したものになっていった。特に、統制エンジンの駆動車と牽引車の開発は、多岐に渡って開発され、戦車や自走砲だけでなく、建機や重機に至るまでが量産されていったのである。南洋庁経由で、南方の島嶼防衛施設にも送られていったのである。
日本の経済は、国内に投下される資本による内需拡大に支えられていた。内需拡大は成功し、大日本帝国の国家経済は、二倍に向上した。このため、昭和3年から5年は、軍事費の据え置いたままで定額手形の効果で、歳入が大きく歳出を上回り、日本は、海外の国債購入を含め、外貨獲得を進めるだけの地力を付けることができたのである。
海軍の正面戦力は、仮想敵国アメリカとした防衛計画が継承され、正面戦力について互角に持ち込むことは許容されたが、互角以上の戦力保有は、議会で予算が通過しなかった。
「首相。正面戦力だけで、大丈夫なのでそうか」
「あぁ、軍として編成上の戦力は、構わんだろ」
「えっ、どういうことでしょう、首相」
「風間君。支援隊は、軍属であり、軍の戦力には入っていない」
「あ。はい」
陸海軍の支援隊は、兵站輸送から資源輸送、製品輸送を担う、インフラ整備を担当していて、資源の輸入を含めて、小型商船や小型貨物船が、量産されていた。普段は、郵便業務の配送部門であり、親書奉書から鉛筆戦車まで、何でも送る配送部隊であった。
統制型エンジンでは、大型船舶は作れないが、小型船舶は、いくらでも作ることができる。結果的に1000トン未満の小型船製造では、世界最大の生産国となっていた。工兵大学校では、製造はできなくても整備は必要と、横浜と八幡の工兵大学校では、大型船舶用のドックを新設し、2万トンの商船までを扱えるようにし、統制型船舶の設計・製造に入ったのである。国内用途であれば、1000トン未満で問題がないが、南洋島嶼への輸送では、どうしても大型船が必要となる。
海軍工廠や技術部が、正面戦力を開発する中で、海軍の工兵大学校では、支援戦力の充実が求められるようになった。支援戦力には、防衛戦闘能力が組み込まれることとなり、護衛艦の建造も進められるようになり、護衛総隊という部隊が編成されるようになったのである。
「なぁ、風間君。日ノ本の民は、あまり他国のことを気にしないとは思わんかね」
「原首相。そうなのでしょうか」
「日ノ本の民は、万世一系の主上を一天万乗の大君と敬い、民はすべて臣民であり、平等であるという流れを築き上げてきた」
「自分たちが臣民と思えるのは、主上を大君と敬える者達だけとは思わないかね」
「それは、確かに」
「あやかしの君たちは、万世一系を守るために、一族を捧げた者達なれば、臣民の長たる私は、君たちに敬意を払うのは当たり前ではないか」
「首相、、、」
「これからの日ノ本は、この天下安寧を守ることを義とし、国体守護を掲げ、公論に決すことが、大切だと私は考えている」
「我ら、あやかしは、歴代の主上に生かされ、この地で生きてまいりました。これより先も同じと考えております。閣下に生かされた命であれば、閣下の命令こそが、万世一系の主上を守るものと判断いたします」
「そう言ってもらえるとありがたいよ、風間君」
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