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天下泰平なれど外憂在り
天下泰平なれど外憂在り05 技能技術科学の底上げは、創意工夫を向上す
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無線車両の開発を行っていたのは、宮城工兵大学校であった。電気科で指導にあたっていたのが、八木博士であり、マグネトロンの開発やアンテナの研究といった、無線関連の改良を推進していたのである。
無線車両は、移動体であり、指向性アンテナを使用した場合、方位計測が可能となることが確認された。無線の発信位置は、複数のアンテナを用いることで、推定することができると報告したのである。
海軍および安土航空から、海上における誘導電波の発信と位置推定技術について、研究資金が流れ、管制塔から航空機の位置推定技術が開発されていったのである。
無線の開発と安定化は、取り扱う技術者の能力が、底上げされるとともに、信頼性が向上していった。様々な地域で、無線通信を用いたラジオ局が開設されるようになり、工兵学校の電気科では、ラジオの製造および、ラジオ局の整備・改良を担うようにもなったのである。
東京工兵大学校の機械科では、成瀬博士の指導により、インボリュート曲線の加工を行うための加工機を製造し、一枚歯、二枚歯、三枚歯といった加工を行って、歯車の設計開発をおこなっていた。高ギア比を達成する、遊星歯車の製作によって、港湾用の大型クレーンの開発を行っていた。
軍からの研究依頼で、航空機用に使用できる過給機の開発と改良を推進していた。統制エンジンを使って、還流型過給機の開発に成功したのは、昭和5年のことであった。
安土工兵学校建築部では、コンクリートやモルタルを利用した、難燃性建築を推進し、竹筋コンクリート建築とヴォーリーズ氏の設計による、安土市庁舎の建設を行った。筋材に竹を利用することで、形状をかなり自由に設計・製作できることから、コンクリート舟艇の開発や掩体壕の開発をおこなった。モルタルを使うと柔軟性が得られることから、折り畳み舟艇の開発まで行ったのである。
安土工兵大学校の発表を受けて、横浜工兵大学校では、1000トン級の小型船の竹筋コンクリート船の建造に成功した。3月に卒業生を中心として、竹筋コンクリート造船所を建設し、漁船や曳航船の製造を開始した。
極端な波が立たない琵琶湖は、水上機の最適地であり、水上機の改造も行われていた。下駄ばきと呼ばれるフロートが必須となる水上機は、航空機としての性能が、どうしても陸上機に劣るという欠点があった。フロートを引き込み式にした実験機が、安土工兵大学校で試作された。安土工兵大学校機械科と電気科が、建築科と共同で巨大な風洞実験装置を作るために、風洞実験用の掩体壕を製作した。実機と同形状で、風洞実験することを可能にしたのである。
金沢工兵大学校では、耕耘機の改良を進める中で、高耐圧油圧ポンプの製作、冷却器を含めた油圧系の構築に成功し、建機の小型化に成功した。量産性およびメンテナンス性を向上させ、小型建機の量産化に成功した。工兵大学校の傍に建機製造用の工場を建設し、量産体制の拡大をはかった。各工兵大学校の傍には、鉄工所や鍛冶屋、造船会社、自動車工場が移設されるようになり、各地方の工業地帯を構成するようになった。横浜工兵大学校は、川崎や三菱といった大企業を含めた、巨大な工業地帯を作り出していった大学校もあったのである。
地震や風水害の多い日本では、防災および災害復興に、建機を各地で必要としており、陸軍工兵隊は、災害時の救助活動および復興活動が活発に行われた。工兵学校および工兵大学校は、災害対策および復興作業の実施部隊であった。平時は車両整備や、上下水道、電気設備、焼却場等の設置運営および維持管理業務を担当していた。卒業後、そのまま維持管理業務を担当した。
帝国陸軍は、関東大震災後、復興業務を軍務範囲としてから、都市整備業務が加わり、軍事予算そのものは、年々拡大していったのである。人件費である俸給が、政府発行の利期限無利子の定額手形であることから、人手を必要とする、インフラ整備、上下水道の維持、電気設備やごみ処理施設、さらには地域の医療設備についても、陸軍の業務範囲となった。エリート将校が、陸軍中枢を占める一方で、工兵隊を中心とした地方の部隊は、地域密着型の国土防衛隊に移行したのである。帝国陸軍地方施設隊は軍属となり、地域防衛局に改組された。
無線車両は、移動体であり、指向性アンテナを使用した場合、方位計測が可能となることが確認された。無線の発信位置は、複数のアンテナを用いることで、推定することができると報告したのである。
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無線の開発と安定化は、取り扱う技術者の能力が、底上げされるとともに、信頼性が向上していった。様々な地域で、無線通信を用いたラジオ局が開設されるようになり、工兵学校の電気科では、ラジオの製造および、ラジオ局の整備・改良を担うようにもなったのである。
東京工兵大学校の機械科では、成瀬博士の指導により、インボリュート曲線の加工を行うための加工機を製造し、一枚歯、二枚歯、三枚歯といった加工を行って、歯車の設計開発をおこなっていた。高ギア比を達成する、遊星歯車の製作によって、港湾用の大型クレーンの開発を行っていた。
軍からの研究依頼で、航空機用に使用できる過給機の開発と改良を推進していた。統制エンジンを使って、還流型過給機の開発に成功したのは、昭和5年のことであった。
安土工兵学校建築部では、コンクリートやモルタルを利用した、難燃性建築を推進し、竹筋コンクリート建築とヴォーリーズ氏の設計による、安土市庁舎の建設を行った。筋材に竹を利用することで、形状をかなり自由に設計・製作できることから、コンクリート舟艇の開発や掩体壕の開発をおこなった。モルタルを使うと柔軟性が得られることから、折り畳み舟艇の開発まで行ったのである。
安土工兵大学校の発表を受けて、横浜工兵大学校では、1000トン級の小型船の竹筋コンクリート船の建造に成功した。3月に卒業生を中心として、竹筋コンクリート造船所を建設し、漁船や曳航船の製造を開始した。
極端な波が立たない琵琶湖は、水上機の最適地であり、水上機の改造も行われていた。下駄ばきと呼ばれるフロートが必須となる水上機は、航空機としての性能が、どうしても陸上機に劣るという欠点があった。フロートを引き込み式にした実験機が、安土工兵大学校で試作された。安土工兵大学校機械科と電気科が、建築科と共同で巨大な風洞実験装置を作るために、風洞実験用の掩体壕を製作した。実機と同形状で、風洞実験することを可能にしたのである。
金沢工兵大学校では、耕耘機の改良を進める中で、高耐圧油圧ポンプの製作、冷却器を含めた油圧系の構築に成功し、建機の小型化に成功した。量産性およびメンテナンス性を向上させ、小型建機の量産化に成功した。工兵大学校の傍に建機製造用の工場を建設し、量産体制の拡大をはかった。各工兵大学校の傍には、鉄工所や鍛冶屋、造船会社、自動車工場が移設されるようになり、各地方の工業地帯を構成するようになった。横浜工兵大学校は、川崎や三菱といった大企業を含めた、巨大な工業地帯を作り出していった大学校もあったのである。
地震や風水害の多い日本では、防災および災害復興に、建機を各地で必要としており、陸軍工兵隊は、災害時の救助活動および復興活動が活発に行われた。工兵学校および工兵大学校は、災害対策および復興作業の実施部隊であった。平時は車両整備や、上下水道、電気設備、焼却場等の設置運営および維持管理業務を担当していた。卒業後、そのまま維持管理業務を担当した。
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