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天下泰平なれど外憂在り
天下泰平なれど外憂在り03 半島は、お荷物となりつつあり
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あまり、妃殿下については、語ろうとしない風間を揶揄うように、駐仏大使石井菊次郎は言った。
「妃殿下にも、そのような態度なのか、風間君」
「申し訳ありません、閣下」
「まぁ、内親王殿下を迎えるのだ。風間君としては、外憂は減らしたいのだろ」
「あ、あの、閣下」
「気にすることは無い。ロシア帝室の保護は、日本にとっては利益となる。フランスとの交渉がしやすいしね」
「ありがとうございます、閣下」
ロシア帝室の利権は、満洲の鉱山や炭田利権をフランスに委託することで、莫大な利益を上げていた。ロシア帝室にとって、フランスはロシア帝室の対外交渉を委託していて、日本は北樺太の漁業利権や油田の利権を確保する代行として、帝室への支援をおこなっていた。
アメリカは、ビッグスリーの車両生産拠点が、満洲にシフトしたことで、非常に多くの利権を確保することに成功していた。中華民国が安定していけば、さらに利権の拡大が見込めるというのが、アメリカの大陸進出を加速させていたのである。ドイツは、山東省から北京までの鉄道利権をアメリカから貸借し、敷設運営にあたっていて、外貨獲得のほとんどを担うようになっていた。大陸での戦乱で、線路の爆破や置石といった嫌がらせは、ドイツの負担を重くしていたのである。
蒋介石の国民党が、南京を中心とした地方政権でしかないことを、アメリカは今更のように愚痴っていた。
「しかし、風間君。アメリカもようやく、中華民国が地方国家と認識できたのだろうな」
「はぁ、なぜ理解できなかったでしょうか」
「それは、風間君。中華という地域そのものが、理解できなかったという方が正しいな。アメリカは、自国を基準として、他国を測る。だから、中華を理解できない」
「アメリカの基準ですか、閣下」
「そうだ。契約を交わし、契約を守る、それができなければ、アメリカの相手はできん。ただ、アメリカが守るのは、アメリカを基準とした契約であって、国際法ではない」
「それが、国際法を守らない、アメリカということですか、閣下」
「そういうことだ。大戦の借款が多かった間は、イギリスやフランスには、アメリカへの遠慮があった。最近は、イギリスやフランスも強気だからな、アメリカも今までと同じにならないことに、戸惑ってもいるのだろうよ」
「閣下。アジアにしても、南洋にしても、必死で調査して対応している日本とは、えらく違うのですね」
「拓殖学を専門に教える学校を作るくらいだからな」
台湾統治政策から始まり、大日本帝国は、各地の統治政策を進めるために、各地の状況や歴史などを含めて、調査分析を行っていたのである。日本が、占領地政策で、一定以上の成果を上げれなかったのは、半島だけであった。結果的に、日本政府は、半島の鉄道権益をフランスへ売却して、内需拡大を推進した。日本の利権は、駐留軍の常駐と港湾利権を中心として残し、自治政府への移管を進めたのである。既に、朝鮮都督府の機能は、大連の関東都督府に吸収されていた。ポストとして、都督府があったが、平壌などの地域行政府として活動していた。半島内にある鉱山については、ロシア帝室への売却後、フランスへの委託という形式をとっていた。これは、ロマノフ家にお預けとなる、内親王殿下への日本政府からの祝いとされた。
大陸の政治情勢が混沌とする中、半島の開発は、コストパフォーマンスが悪い、不良物件となっていったのである。フランスは、安東省を含めて、大陸利権を確保することとなる。
「妃殿下にも、そのような態度なのか、風間君」
「申し訳ありません、閣下」
「まぁ、内親王殿下を迎えるのだ。風間君としては、外憂は減らしたいのだろ」
「あ、あの、閣下」
「気にすることは無い。ロシア帝室の保護は、日本にとっては利益となる。フランスとの交渉がしやすいしね」
「ありがとうございます、閣下」
ロシア帝室の利権は、満洲の鉱山や炭田利権をフランスに委託することで、莫大な利益を上げていた。ロシア帝室にとって、フランスはロシア帝室の対外交渉を委託していて、日本は北樺太の漁業利権や油田の利権を確保する代行として、帝室への支援をおこなっていた。
アメリカは、ビッグスリーの車両生産拠点が、満洲にシフトしたことで、非常に多くの利権を確保することに成功していた。中華民国が安定していけば、さらに利権の拡大が見込めるというのが、アメリカの大陸進出を加速させていたのである。ドイツは、山東省から北京までの鉄道利権をアメリカから貸借し、敷設運営にあたっていて、外貨獲得のほとんどを担うようになっていた。大陸での戦乱で、線路の爆破や置石といった嫌がらせは、ドイツの負担を重くしていたのである。
蒋介石の国民党が、南京を中心とした地方政権でしかないことを、アメリカは今更のように愚痴っていた。
「しかし、風間君。アメリカもようやく、中華民国が地方国家と認識できたのだろうな」
「はぁ、なぜ理解できなかったでしょうか」
「それは、風間君。中華という地域そのものが、理解できなかったという方が正しいな。アメリカは、自国を基準として、他国を測る。だから、中華を理解できない」
「アメリカの基準ですか、閣下」
「そうだ。契約を交わし、契約を守る、それができなければ、アメリカの相手はできん。ただ、アメリカが守るのは、アメリカを基準とした契約であって、国際法ではない」
「それが、国際法を守らない、アメリカということですか、閣下」
「そういうことだ。大戦の借款が多かった間は、イギリスやフランスには、アメリカへの遠慮があった。最近は、イギリスやフランスも強気だからな、アメリカも今までと同じにならないことに、戸惑ってもいるのだろうよ」
「閣下。アジアにしても、南洋にしても、必死で調査して対応している日本とは、えらく違うのですね」
「拓殖学を専門に教える学校を作るくらいだからな」
台湾統治政策から始まり、大日本帝国は、各地の統治政策を進めるために、各地の状況や歴史などを含めて、調査分析を行っていたのである。日本が、占領地政策で、一定以上の成果を上げれなかったのは、半島だけであった。結果的に、日本政府は、半島の鉄道権益をフランスへ売却して、内需拡大を推進した。日本の利権は、駐留軍の常駐と港湾利権を中心として残し、自治政府への移管を進めたのである。既に、朝鮮都督府の機能は、大連の関東都督府に吸収されていた。ポストとして、都督府があったが、平壌などの地域行政府として活動していた。半島内にある鉱山については、ロシア帝室への売却後、フランスへの委託という形式をとっていた。これは、ロマノフ家にお預けとなる、内親王殿下への日本政府からの祝いとされた。
大陸の政治情勢が混沌とする中、半島の開発は、コストパフォーマンスが悪い、不良物件となっていったのである。フランスは、安東省を含めて、大陸利権を確保することとなる。
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