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我田引鉄だけじゃない?
我田引鉄だけじゃない?13 「特区」拡大、泥沼に陥るアメリカ
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アメリカという国家は、世界標準である。そんな本を書かれた人がいるが、それは間違いである。 アメリカが世界標準なのではなく、アメリカが他国の標準を拒んでいるだけなのだ。つまり、アメリカが正しく、他国は間違っている。自分たちのやり方をごり押して、基本的に妥協しない。世界中どこに行っても、アメリカ人はアメリカを正しいとする国家なのだ。
世界中でキロメートルを使っていても、マイルで表示する。長さはインチ、重さはポンド、量はガロン。結果として、国際度量衡が譲歩して換算式を明確化することで、認めるという方向に妥協させたのである。これが、アメリカなのだ。北米三カ国という、ローカルな規格であっても、IEEEは国際規格なのである。
日本が、大正から昭和への改元で、様々なトラブルに対応に追われていた頃、アメリカは、度重なるアメリカ人への暴行や殺害といったテロを受けて、国際連盟に「特区」拡大を求めたのである。比較的に安定している、満洲を含めた、東三省と同様に、黄河流域から北方を「特区」とすることを求めてきた。
アメリカは、沿海州に極東鉄道を設立、鉄道の敷設運用を開始した。沿海州では、ボリシェビキによる破壊活動はあったものの、陸軍による支援を受けながら、ウラジオストックからハバロフスクまでの経営を遂行することができた。これは、沿海州では、ボリシェビキの反発はあっても、資本が投下され、住民の収入が向上したことから、犯罪等はあまり起きなかった。これは、帝政ロシア時代の農奴制が消滅し、資本主義経済の浸透を、住民側が受け入れてくれたという側面があった。帝政ロシア時代よりも、イギリスやアメリカ、日本といった国々のほうがマシという状況から、治安が維持されたということになる。
これは、満洲でも同じであり、ロシア帝国占領下から、日本、フランス、イギリスを中心とした国々の占領下へと変わったが、餓死者や未就労者が減って、帝政ロシア時代から、生活環境が改善されたというのが、治安維持に大きく貢献していた。
しかしながら、山東省では、テロではなく、暴行や殺害に強姦といった犯罪が頻発し、治安維持に支障をきたしていたのである。これは、既存権益を持つ軍閥などによって、権益が寡占されているために、資本投下が住民まで浸透しないことを意味していた。つまり、投下された資本が、途中で搾取されて、末端に行き渡らないという状況になったことを意味している。
結果として、過激な共産主義者による、金持ちから収奪して富を分配することが正義になり、アメリカ本来の政治体制に対して、真っ向から挑戦する結果になっていた。
アメリカ軍が、点と線を維持することに追われて、面の維持管理ができないため、無法地帯となった占領地での対応に苦心していた。軍閥による軍事行動は、ゲリラ活動であり、嫌がらせに近い形で活発化していた。極東鉄道の社員に被害がでると。民間人に犠牲が出たことで、アメリカの世論が活発化して、対中政策が厳しくなり、ゲリラ活動が活性化するという、悪循環に陥っていた。
1920年代の状況として、清帝国の崩壊から始まる混乱は、中華全土に広がっていて、収束する見通しが立たない状況であった。
「アメリカは、苦労しているようだねぇ、風間君」
「はい、松岡大使からの報告では、中華民国からの代表に対応を迫ったそうですが、、、」
「それは、無理だろ、風間君。アメリカは、そんなことで本当に上手くいくと思っているのか」
「はぁ、どうもそれが思っていたようで」
「その結果が、これか」
報告書の束を見ながら言ってきた。
松岡大使からの報告には、アメリカ軍が、「特区」拡大を求めてきて、中華民国側が受け入れられないと反対していた。状況報告書が、外務省で作成され、原首相に提出されていた。
「はい。首相。その通りです」
「ダメだよな、風間君。これでは、単に、戦域を拡大させるだけだ、泥沼になるぞ」
「はぁ、新たな「特区」の範囲は、明確化に定義していません。強いて言うなら、アメリカの好きにさせろといったところですか」
「確定しようとすると、揉めるだけだよな、風間君」
「はい。アメリカは、中華全土を支配するつもりでなければ、対応できなくなります」
「できると思うかね」
「できるかどうかよりは、認めるかどうかではないでしょうか」
「認めるかどうか、それはなんだ風間君」
「首相。中華をアメリカが実質として支配することを、日本と欧州諸国が認めるかどうかです」
「さすがに、それは認められんだろう」
「しかしながら、首相。アメリカが強行する可能性が高くなります」
「民間人の死傷者が出たのでは、そうそう引くことはできんか」
「アメリカは、同国人の死を許容できません。民間人であれば、なおのこと過激に動くと思います」
「風間君。なんとか、アメリカを抑えられんか、流石に黄河北方をアメリカに獲られるのは、日本としても許容はできんよ」
「そうですね、首相。もともとは中華民国の内政問題です。彼らに責任をとってもらいましょう」
「中華民国による北伐かね」
「はい」
「実行できるのか、風間君。中華民国は、揚子江流域すら、抑えきれてはおらんのだろ」
「首相。今、北伐の決断ができなければ、黄河流域から北方を、国際連盟管理とする。段祺瑞には、そういって脅しをかけます。蒋介石には、イギリスからも脅しをかけてもらいましょう」
「軍の支援を日本がするのか、金がかかるぞ。議会が納得せんから、予算は通せないぞ」
「上海の河川航行利権と満洲からの投資で、対応できる範囲で支援します。満洲からの投資を兼ねて、5個師団分であれば、武器と兵粮の確保はできます。海上ルートで、営口から上海に、イギリスに運んでもらいます」
「イギリスは支援できるのか。本土の復興が優先なのだろう、風間君」
「上海と営口は、かなりの利権になっているようですよ。なんとか内田さんに動かして貰いましょう」
「わかった。頼む」
「はいッ」
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戦争回避の号令が下る。
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世界中でキロメートルを使っていても、マイルで表示する。長さはインチ、重さはポンド、量はガロン。結果として、国際度量衡が譲歩して換算式を明確化することで、認めるという方向に妥協させたのである。これが、アメリカなのだ。北米三カ国という、ローカルな規格であっても、IEEEは国際規格なのである。
日本が、大正から昭和への改元で、様々なトラブルに対応に追われていた頃、アメリカは、度重なるアメリカ人への暴行や殺害といったテロを受けて、国際連盟に「特区」拡大を求めたのである。比較的に安定している、満洲を含めた、東三省と同様に、黄河流域から北方を「特区」とすることを求めてきた。
アメリカは、沿海州に極東鉄道を設立、鉄道の敷設運用を開始した。沿海州では、ボリシェビキによる破壊活動はあったものの、陸軍による支援を受けながら、ウラジオストックからハバロフスクまでの経営を遂行することができた。これは、沿海州では、ボリシェビキの反発はあっても、資本が投下され、住民の収入が向上したことから、犯罪等はあまり起きなかった。これは、帝政ロシア時代の農奴制が消滅し、資本主義経済の浸透を、住民側が受け入れてくれたという側面があった。帝政ロシア時代よりも、イギリスやアメリカ、日本といった国々のほうがマシという状況から、治安が維持されたということになる。
これは、満洲でも同じであり、ロシア帝国占領下から、日本、フランス、イギリスを中心とした国々の占領下へと変わったが、餓死者や未就労者が減って、帝政ロシア時代から、生活環境が改善されたというのが、治安維持に大きく貢献していた。
しかしながら、山東省では、テロではなく、暴行や殺害に強姦といった犯罪が頻発し、治安維持に支障をきたしていたのである。これは、既存権益を持つ軍閥などによって、権益が寡占されているために、資本投下が住民まで浸透しないことを意味していた。つまり、投下された資本が、途中で搾取されて、末端に行き渡らないという状況になったことを意味している。
結果として、過激な共産主義者による、金持ちから収奪して富を分配することが正義になり、アメリカ本来の政治体制に対して、真っ向から挑戦する結果になっていた。
アメリカ軍が、点と線を維持することに追われて、面の維持管理ができないため、無法地帯となった占領地での対応に苦心していた。軍閥による軍事行動は、ゲリラ活動であり、嫌がらせに近い形で活発化していた。極東鉄道の社員に被害がでると。民間人に犠牲が出たことで、アメリカの世論が活発化して、対中政策が厳しくなり、ゲリラ活動が活性化するという、悪循環に陥っていた。
1920年代の状況として、清帝国の崩壊から始まる混乱は、中華全土に広がっていて、収束する見通しが立たない状況であった。
「アメリカは、苦労しているようだねぇ、風間君」
「はい、松岡大使からの報告では、中華民国からの代表に対応を迫ったそうですが、、、」
「それは、無理だろ、風間君。アメリカは、そんなことで本当に上手くいくと思っているのか」
「はぁ、どうもそれが思っていたようで」
「その結果が、これか」
報告書の束を見ながら言ってきた。
松岡大使からの報告には、アメリカ軍が、「特区」拡大を求めてきて、中華民国側が受け入れられないと反対していた。状況報告書が、外務省で作成され、原首相に提出されていた。
「はい。首相。その通りです」
「ダメだよな、風間君。これでは、単に、戦域を拡大させるだけだ、泥沼になるぞ」
「はぁ、新たな「特区」の範囲は、明確化に定義していません。強いて言うなら、アメリカの好きにさせろといったところですか」
「確定しようとすると、揉めるだけだよな、風間君」
「はい。アメリカは、中華全土を支配するつもりでなければ、対応できなくなります」
「できると思うかね」
「できるかどうかよりは、認めるかどうかではないでしょうか」
「認めるかどうか、それはなんだ風間君」
「首相。中華をアメリカが実質として支配することを、日本と欧州諸国が認めるかどうかです」
「さすがに、それは認められんだろう」
「しかしながら、首相。アメリカが強行する可能性が高くなります」
「民間人の死傷者が出たのでは、そうそう引くことはできんか」
「アメリカは、同国人の死を許容できません。民間人であれば、なおのこと過激に動くと思います」
「風間君。なんとか、アメリカを抑えられんか、流石に黄河北方をアメリカに獲られるのは、日本としても許容はできんよ」
「そうですね、首相。もともとは中華民国の内政問題です。彼らに責任をとってもらいましょう」
「中華民国による北伐かね」
「はい」
「実行できるのか、風間君。中華民国は、揚子江流域すら、抑えきれてはおらんのだろ」
「首相。今、北伐の決断ができなければ、黄河流域から北方を、国際連盟管理とする。段祺瑞には、そういって脅しをかけます。蒋介石には、イギリスからも脅しをかけてもらいましょう」
「軍の支援を日本がするのか、金がかかるぞ。議会が納得せんから、予算は通せないぞ」
「上海の河川航行利権と満洲からの投資で、対応できる範囲で支援します。満洲からの投資を兼ねて、5個師団分であれば、武器と兵粮の確保はできます。海上ルートで、営口から上海に、イギリスに運んでもらいます」
「イギリスは支援できるのか。本土の復興が優先なのだろう、風間君」
「上海と営口は、かなりの利権になっているようですよ。なんとか内田さんに動かして貰いましょう」
「わかった。頼む」
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