我田引鉄だけじゃない? 原首相のまったり運営

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我田引鉄だけじゃない?

我田引鉄だけじゃない?06 信義を持って、衡平な取引を

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 公正取引法発布に向けて
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 「特区」の支配体制は、本国政府の思惑によって大きく変わっていった。

 首相補佐官風間誠は、商取引に関して、海外の人間が納得する前提として、法整備を進めていた。

商いあきないの損得勘定は、相手の信条や信仰に関係なく、衡平でなければならない」

 そういって、契約行為が衡平であることを信義として、公正取引法をコモンローに基づいて提案書を策定していたのである。

「内田さん、こんな感じでどうですかね」

「イギリスのコモンローとエクィティか」

 イギリスの習慣法common lawは、過去の判例の形で蓄積されている。世界で行われている商取引にも慣例や慣行がある。満洲では、まだ形が少ないから、これから蓄積させていくことになる。衡平equityな立場で、信義を持って判断する者を置く。
 満洲と言う地域で、衡平equityであるためには、個人ではなく、委員会として組織する必要があるか。

「はい。どうでしょう」

「イギリスではなく、ローマ帝国の市民法と法務官法にしておけ」

「裁定者の裁量を拡大するのですか」

「拡大と言うより、権限と強制力の強化だな。権限が無ければ、裁定は意味をなさない」

「わかりました、改訂します。個人ではなく、委員会という形で良いですか」

「それで良い。アメリカだと陪審員のようなモノだ。頼んだぞ、原さんには、私から言っておく、原さんもしばらくは官邸から離れんだろ」

 暗殺未遂事件は、非常に厄介な課題を孕んでいた。大正天皇の体調が優れず、譲位を巡る騒動が起きていたのである。親王殿下は、摂政として動いていただいていたが、皇后さまが病弱な陛下のため、家長の権をふるわれ、代行行為をされても居て、宮内省の対応が割れる事態にもなっていたのである。

「そっちは、元老の方に御対応を願うしかないな」

「はい、床次さんから西園寺様へ願い出ています。ですが、、、」

「山縣さんも、体調が優れぬそうじゃな」

「はい」

 明治の元勲も、高齢化が進んでいて、西園寺さんに願い出ていた。

「風間君」

「なんでしょう、内田さん」

「一度、西園寺先生に組閣を願った方が良いかも知れん」

「え、ですが」

「選挙では、原さんの勝ちだ。だからと言って、選挙で支持しない者が、反対を諦めたわけじゃない」

「は、はぁ」

「風間君。
 政治とは、難しいものだ。人種差別撤廃は、現実として人種差別をしている国にとっては、内政干渉にしかならない。だからこそ、協力を得られず、失敗した。

 満洲を含めて、占領地に「特区」を作り、この中だけは、「諸族協和」という目的をもって、万民法の制定を進める。国際連盟を「ローマ帝国」として、「万民法」を定めることが、肝要なのだ」

「欧州は良いでしょうけど、アメリカはどうですかね」

「アメリカは、国是が異なるからな、アメリカの法でなければ、納得せん」

 アメリカの根本は、「メイフラワー神との契約」か。アメリカを信用してはならないのは、神が命じたとされたならば、人と交わした契約など、すべてが無効にされてしまう。

「内田さん、新たな神との契約衡平なる信義を作る必要があるということですか」

「アメリカに提案させた方が良いかもしれんな」

「そうなんですか、内田さん」

「ただ、風間君。アメリカに提案させるには、アメリカに受ける言葉が欲しいな」

「人民の、人民による、人民のためって奴ですか」

「そんな奴だ、何か無いか」

「んー。自由と平等Free and Flatでしょうか」

「おお、良い感じだ自主自尊self-esteemを互いに求めるとして」

「国内はどうします」

「一天万乗の大君が下に、自主自尊たることを願うかな、細かなところは床次さんに頼んでくれ、風間君」

「はい、内田さん」

「風間君、商いというものは統治を嫌うが、万民が公正を求めるのも商いだ」

「わかりました」





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 公正取引は、万国共通の課題なり。
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