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綱の庵

宵闇の杜屋、葛葉の想い

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 「三日夜の儀」は、約束を交わし通って、三日夜みかよの朝に餅を食べる儀のこと。
  男が妻の元へ通い、三日目の朝を迎えて、餅を食べるが古今の例となっている。綱の新しい家で、三日夜みかよの儀として迎えることとなった。妾は、綱に求められ、男と女おのことおなごになって、妾の身体は、綱に抱かれると、綱を追い求めるように、離せぬほどに淫らになってしもうた。
  惚れるよりも、惚れられた方が、いっそう淫らに乱れると言うが、恥ずかしぅてならぬ。
  百乃達が用意してくれた餅の味も、わからぬほどであった。



  妾に、人とあやかしひとならざるものの垣根を超えた世を届けたい。



  保名は、妾を五日五夜抱き続け、想いのままに淫らに、妾の本性を露顕ろけんさせた妾は、すべてを保名に捧げて妻となった。三日夜みかよの儀は、途中であった故、餅を食べるよりも、保名を迎え入れ耐えることに必死であったな。
  道長に抱かれ、抱かれねばならぬと思いつつ、反射的に突き飛ばしてしまった。綱以外の男に触れられることが、これほどできぬとは、想いもしなんだ。妾は、綱に三日夜みかよを望まれた時、淫らに溢れる身体を必死で抑えていた。
  承知して、綱の笑顔を見たら、堰が切れたように、綱を押し倒し、綱を迎え入れて、善がりイきくるうように淫らな女となった。



  そんな妾に、綱は、すべてを捧げてくれる。



  綱を責めて、幾度となく、子種を受け入れながら、妾の想いは、西の杜屋から見れば、本殿のある方から白々と明るくなっていった。綱の狩衣は、破れ、乱れ、褥に散乱して居た。
  すまぬのぉ、妾は、淫れに溺れて、我を忘れておったようじゃ。
「はッ、はぁッ、だ、だいじょうぶ。まだできるよ」
  褥の内で、猛り勃つ綱が、必死で返す綱が可愛く、妾がまた淫らに溢れていくのを、必死で抑えた。
  綱や。妾の身は、綱のモノじゃ。
  そう言って、ようように離せた。



  後朝きぬぎぬの歌が文に託けられた。
後朝きぬぎぬの歌は歌えじ。
     “葛葉が、好きだ”   綱」



  可愛いのぉ、百乃。
「ほほほ、葛葉様も可愛ゅぅございますよ」
  これ、からかうでない。
  百乃にからかわれるも楽しく、夢のような日々を過ごしているようであった。
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